北海道の玄関口といえば、
圧倒的に新千歳空港である。
コロナ禍で大減便したとは言え
世界の中でも屈指の発着数を誇っていた羽田便をはじめ
ローカル空港を含めた国内各地を結ぶ路線とともに
海外路線も徐々に回復しつつある。
が、新千歳空港の所在地は千歳市と苫小牧市(跨っている)であり
こと目的地が「札幌」であるならば、札幌市内に立地する空港を利用したほうが
便利ではある。
札幌市東区
丘珠町に立地する、
丘珠空港。
近隣に対する騒音問題とか、短い滑走路だとか
大型機の発着はできないものの
プロペラ機や小型ジェット機により運用されている。
地下鉄東豊線の終点「
栄町」からバスで5分、
徒歩でも20分ほどというアクセスの良さも「売り」である。
都市近郊の空港としては、
たとえば伊丹空港や福岡空港や県営名古屋空港などがあって
すぐ近くに街と建物が密集していて
「その都市にやってきた感」を得られるのであるが
この丘珠も同様である。
事情により、丘珠発の際の写真になってしまったが
札幌の市街地を、さながら遊覧飛行しているが如く
google earth で眺めるよりもずっと鮮明な都市の様態を
観察することができる。
もちろん、低い雲が垂れ込めていない天候の時に限られるけれども。

空港を飛び立つと、東区の街が眼下に見える。

左右に延びるのは、札幌と小樽とを結ぶ
札樽自動車道である。

左上に見える
藻岩山までの平野に広がる、
人口200万人に少し足りない、そんな都市である。
首都圏のように上方へ高く高く聳える街ではなくて
歴史とともに広く広く拡がった街である。
東京都区部の面積が619q2であるのに対して
札幌市の面積は1,121km2であって、かなり広い。
(もっとも、そのうち658q2は南区が占めているが
ほとんど山である)

北海道を象徴する、カニ型の施設……なわけではなくて
建物用途の都合上このような形態になっているに過ぎないが
これは札幌刑務所である。
札幌市内を貫通する、
そして札幌扇状地を形成する原動力となった
「
豊平川」と、その河川敷も眼下によく見える。

豊平川を過ぎると、札幌ジャンクションのループが見える。
北海道を南北に通る道央自動車道と、札樽自動車道との結節点である。

あいにくこの日は低めの雲がたなびき、
だんだんと市街の視界が遮られていった。

機体の旋回に伴い、
丘珠空港の滑走路が見えるようになってきた。
びっしりと建物で埋まっているが
比較的低層のものが多い。

上の画像の中央部にある緑地は
北海きたえーる(北海道立総合体育センター)と
それに隣接する豊平公園である。
航空機で移動すると、
自動車で何時間もかかる距離が
文字通りひとっ飛びである。

ほどなく、中央部に中島を浮かべる洞爺湖と
太平洋(噴火湾)が見えてくる。
もう雲が多くて、地形がよくわからないかもしれない。
便数は多くはないし、
航空券も新千歳発着のLCCと比べると高めであるし
小さな機体ゆえ持ち込み手荷物は小さなものに限られるが
都市上空の遊覧として、
こんな空港を利用してみるのも楽しいんじゃないだろうか。
(「遊覧飛行のような」おわり)