2023年11月25日

これも配管

山肌に、太いモノが2本。


駆け上がっていくのではなくて
流れ下ってくるもののようである。


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中には、水が流れるのだという。


「配管」と呼んで、
差し支えないのだよね?


「トンネル」に近いのかも、と思ったりして。


径が 1200mm と 1500mm だということだけれど
建築設備の管とは文字通り桁が違うね。



20mmとか25mmとかの細い配管をちまちま接続して延ばしていっても
積算上はごくわずかな工事費にしかならない。


でも、こんだけ太ましい管だと、
ただ直管を伸ばすだけでも
結構な金額になるんだろうな。



「ただ」なんて言っては、申し訳ないね。
これだけのモノを、正確に直線に通す、
しかもこれだけの勾配を維持しつつ。

いろんな力に対抗して。


すんごい手間も時間もかかることなのだろうから。



とてもとても大規模に見えるのだけれども
そして、地図にもしっかり残るであろう配管なのだけれども
上空に上がって俯瞰すると
きっと、地表にごくわずかに現れた
毛細血管に過ぎないのだろう。



ヒトの営みの、
なんと矮小なことか。



なのに、世界中で殺し合い、憎み合い、
蹴落とし合っているのである。


それぞれの事情をもって。


それぞれの正義を掲げて。
(「これも配管」おわり)
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2023年11月24日

建築配管とは異なる

高架に設けられた雨水排水管である。


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防振継手だったり、
TY継手のようでいてそうでもない継手だったり
支持金物だったり
配管の振り回しだったり
両受け継手ですらない合流だったり


普通の建築配管とはずいぶんと様相が異なる。



「建築」が「普通」なのかと問われると
それはそれで疑問なのかもしれないが。



ワタクシが普段見慣れていないということに過ぎない。



「普通」「常識」「当たり前」「当然」


これらは、その言を発する者の
極めて個人的体験に基づく感覚に依存していて
ちょっと異なるコミュニティや文化においては
全くの異質のモノに変化してしまうような
相対的なものであると言えよう。



だからこそ、
その「ちょっとした齟齬」が
気になってしまったりする。


それゆえに、
「なんかヨソ者っぽい」という感覚を抱くのであり
時として村八分的な集団イジメに発展してしまう。



ヨソ者を不審人物扱いすることもあるし、
逆にそれによって本物の不審人物を炙り出すことも
出来たりする。



寛容鷹揚であって
なおかつ慎重繊細。


言うは易し。


ワタクシとは対極の存在であることは
言わずもがな。
(「建築配管とは異なる」おわり)
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2023年11月22日

ハイブリッド滑走路

日本の玄関口の一つ
羽田空港のD滑走路。



羽田発着の際にはいつだって見られるかというと
意外にそうでもない。



天候だったり、座席の加減だったり
使用滑走路や航路の違いにより
見えないことも多々あるのだ。



更には、機内モードにしたスマホを手に
待ち構えてないと、
すぐに離れて行ってしまうのだ。



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おお、いい感じの場所を通過した。

写真下側は、
多摩川の流れを阻害しないよう桟橋形状にしてあって

上側は、ふつうに埋め立てとなっている。



我が国初の埋立・桟橋ハイブリット構造 を謳っている滑走路なのだ。



ぼやぼやしていると、
すぐに離れてしまう。


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だから、意外と今まであまり撮れていなかったのだ。



ホント、建築に比べると規模がでっかいよね。


「地図に残る仕事」だよね。



建築設備は……。

地図にも残らないし、
図面にさえ、残ってなかったりするね。

嘘八百の「完成図」が、すべてだったりする。



「詳しくは、現地で!」


調べるしか、なかったりする。



デジタルデータでいつでも参照できる
正確な完成3Dモデルが欲しいなぁ。

でもそんな時代は、来るのかなぁ。



嘘八百の「なんちゃって完成3Dモデル」が出来る時代は
もうすぐ来るんだろうけれども。
(「ハイブリッド滑走路」おわり)
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2023年11月06日

点検歩廊

ダム堤体の下の方を覗き込む。


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ちゃんと、下まで行けるようになっているよぉ。


ケーブルラックが、歩廊に沿って
ずうっっっっっと伸びている。



手すりがあっても、背かごがあっても、
怖いものは怖いよねぇ。


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いい運動にはなるか知れんけど。



そしてなぜか、
ここだけはこんなん。


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施工用に、足場は組んだんだろうけれども。


電線管の曲げといい、折返しといい、
なかなか特徴的な造りである。



人が何か作業をするには、
足場が必要なのだ。


地面がその用を成すのがいちばん良いのだけれど
そう都合よくどこにでも地面があるわけじゃないから
足場を設けることになる。



間近で目視する「点検」であったとしても
やっぱりニンゲンは重力の束縛下に有るものであるからして
歩廊なり梯子なり、
体重を支える何かしらのモノを必要とする。



「設備付帯構造物」と呼べるのかもしれないけれど、
大切な、無くてはならぬ存在なのである。
(「点検歩廊」おわり)
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2023年10月13日

言わば、配管

取水渠を構築している現場、なのだそうだ。


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四角い断面が2ヶ所。

ここを、水が流れていくのだそうだ。

言わば、設備で言うところの「配管」なのであるが
スケールが著しく異なる。



掘削土量もすごいものだし、
底版に基礎を打設して、
管渠を接続して伸ばし、繋げていく。

建築設備の配管と比べると、
ものすごく規模が大きいのである。



まあ、これでも「小さい」と感じる方も
おられるのかもしれない。


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土木工事では、決して大きなものとは
言えないのかもしれない。

でも普段、ケンチクの世界で生きていると
なかなかどうして、びっくりだ。



もちろん、人間が余裕で入れる。
幅・高さとも、2.5mあるそうだからして。


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配管は4mとか5.5mの定尺管を継手で繋げていくのであるが
この管渠の場合にはもっと大変だ。


2条の管路を構築する部材はかなりの質量である。
目地を含めて1mごとに並べて接続していくのだ。

しかも、上下2分割にしてある。
ある程度の揚重機で上げられるように。


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そして、それぞれの部材を接続していく。

もちろん、ある程度の止水性が無くてはならないから
相応の施工方法があるらしい。

鋼管にネジを切ったり、
MD継手で接続したりするようなわけにはいかない。


これを延々と数百m伸ばしていくというのだから
大変なことである。

細い配管を何系統もあちこち繋げる設備配管と比べると
システム的には極めて単純、と言えなくもないけれど。



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しっかりと接続されたら、
順次埋設していく。


掘削も埋戻しも、結構な土量になる。


しかもこの場所、
掘ってみたら岩盤だったんだって。

ああ、大変そう。


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たまーに、
スケールの違うモノを見てみるのも
興味深い。



機能としては、「配管」なんだけどね。
(「言わば、配管」おわり)
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2023年07月19日

ミニ港

とある実験施設を見る機会があった。


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水を張って、波を起こすことができる実験室である。


そこに、防波堤とか護岸などを施して
波力に対する堅牢性や効果的な護岸方法などを
日々研究しているのだという。


もちろん、実物大でやるには相当大掛かりなことになってしまうから
スケールモデルで実施しているのだ。


そのためのいろんな部材もミニチュアである。


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テトラポットなんて、
型枠に材料を流し込んで
自前で製作できるみたい。


なんか、面白そう!



「そんなもん作って、どこに置く気?」


批難しか得られそうにないけどね。
(「ミニ港」おわり)
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2023年07月10日

山線鉄橋

千歳市西端にある支笏(しこつ)湖に
赤い鉄橋がかかっている。


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「山線鉄橋」と書かれていて
支笏湖から千歳市内を流れ下る千歳川の始点部分を
横断しているものである。


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支笏湖は、秋田県仙北市にある田沢湖に続いて、
日本で2番目に深い湖であるという。

最大水深 360m、平均水深 265m と記されていたり
最大水深 363m と書かれていたり して
どちらが正確かよくわらかないけれども
深いことに違いない。


支笏カルデラに水が溜まったものであって
かつて北海道中央部を壊滅的に襲った 大噴火 の産物であるという。



現在は観光地として、その美しい姿を世界中からの来訪者に披露している。


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鉄骨トラス・リベット接合の赤く塗られた鉄橋は
それ単体でも画になるものであって
それを撮る人たちもまた多い。


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この鉄橋は、離れた地から移設されたものである。


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碌な重機の無かった時代に
遠く空知川から、山奥の湖にまで移設してきたとは
恐れ入る。


まだ日本国内では製作できなかったゆえ、
移設して利用するしかなかったのであろう。



そして、発電所建設資材運搬用の鉄道を敷くにあたり
用いられたとのことである。



平成19年度経済産業省近代化産業遺産に、
そして2018年土木学会選奨土木遺産に
選定されている。


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製作したイギリスの銘板もきれいに残されている。


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1899年に、Shaft & Axletree 社によって製作されたものだと
記されている。


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イングランド・バーミンガム近くの、
ウェンズベリーに立地していたものである。



この時期に、英国技師 C.A.W Pownall 設計による錬鉄製トラス橋が
日本全国に据えられた という。


表2 の下から2行目、1919年に廃止されたものが王子製紙株式会社に払い下げられて
大正13年(1924年)にこの地に移設されたと、上の看板に説明されている。



説明看板の裏面には、
200フィート・ダブルワーレントラスの青焼図があった。


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これを見て、アンモニア臭を想起する人は
それなりの年配者であろう。


当然ながら、スケールはインチ・フィート単位である。


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CADの無い時代であるからして、すべて手描きである。


構造計算にも、コンピュータは使用できない時代。


昔の人たちの個人としての技術力や知識は、
凄いものがあったのだと思う。


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現代は現代で、いろいろな知識の集積や電算機を利用して
更に進んだ技術を社会に提供しているのだけれども
身1つで開国したばかりの極東の国に出向いて
近代化に貢献した多くの欧米の技術者たちのようなことができる
現代人は多くはないのではなかろうか。


いや、実際には海外協力隊などとして、
現在でも多くの技術者が、各国で多大な貢献をしているのかもしれない。



建築の片隅の、建築設備の一番隅っこの欠片のホコリの一粒として
ほそぼそと糊口を凌いでいるだけのワタクシにとっては
縁遠い話ではあるのだけれども。
(「山線鉄橋」おわり)
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2023年05月27日

炭鉱街の衰退

三笠市 の 博物館 に、炭鉱紹介コーナー があった。


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かつては産炭地として栄えた街である。

殖産興業の要として、
小樽港から鉄道まで敷いたくらいだ。

その産業遺産たる、炭鉱の様子が紹介されている。



真っ暗な坑道内を照らす、坑夫用ランプの充電器があった。


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火花が散ろうものなら爆発の危険性があるからして
防爆タイプであったのだろう。

地中深く、これだけが頼りなのは
さぞ心細かったことと思われる。

爆発、火災、落盤その他の事故により、
犠牲者はたびたび生じていたという。



明治初めに炭層が発見されてから、
90年後の昭和34年にピークを迎えた人口は
6万人を超えたという。


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が、石油へのエネルギー転換により炭鉱の閉山を迎え
人口の流出が進み、
2023年5月1日現在の市内人口は7,614人となっている。
ピーク時の12%である。



全国の産炭地が同様で、
人口が激減した自治体では、
各種行政サービスを縮小し、
人口規模・予算規模に合わせた市政へと転換を迫られる。


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人間社会において、
経済は重要な要素である。


食い扶持があれば、人が集まるし
食いっぱぐれるようになれば、人は離れていく。


少なくとも、最低限の生活が成り立つだけの収入基盤がなければ
そこに住み続けることはできない。


地方の少子高齢化が、過疎化が、限界集落化が問題とされるけれど
経済、すなわち生活が成り立たないのだから、当然のことなのだ。

国全体としても、そうなのだ。



こんど発行される新一万円札 の肖像が渋沢栄一である。
明治期の日本を「食える国」にした功績は
やはり相当に大きなものなのであろう。



時代とともに、社会は変わり、産業構造は変遷し、
経済の牽引力も変化していく。


だから、人もそれに合わせて変わらなければならない面は
必ずある。



「昔は○○だったから」

とか、

「自分は△△のままで良いのだ」

とか、

頑として変化を拒絶するのは
どんなもんだろう。



主義主張とか、アイデンティティとか、
たとい死んでも変えたくないというものは
あって当然だろうけれども、
冷静に客観的に見ると、
じつは大した事のない事柄について
無駄に頑固であるだけだったりすることも
多いんじゃないだろうか。



そゆわけで、
「ケンチク」の人たちも、「せつび」を吸収しようよ。
いつまでの「建築付帯設備」として脇に追いやるのはやめようよ。
一体として機能しなくちゃ、成り立たないモノなんだからさ。


「せつび」の人たちも、それを包含する「ケンチク」全般について
目を向けようよ。
確かに、建築物の内臓であり頭脳であり神経であり、
重要な要素だという自負はその通りだと思うんだけど、
そこ「だけ」に固執し続けるのは、どうなのよ。


いつだって、どんな分野だって、
スペシャリティとゼネラリティとは
両方必要なんだから。



かつての花形産業の衰退を思い、
つれづれ。
(「炭鉱街の衰退」おわり)
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2023年03月08日

川底の下に埋まる

みどりの、川。


青汁みたいだ。


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なんとも、スゴイ色である。



壁面の状況からして、
それなりに水位変動があるようである。



あのタラップを、降りていく必要があったり
するんだろうか。



あの雨水管の奥には、
何かが棲んでいるだろうか。



そして、この川の下には、埋設物が。


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とにかく、あちこちにいろんなモノが埋まってる。


管理台帳で把握されているモノ以外にも、
恐らくイロイロあるはずだ。


わかんないけど、
でも必要性があって掘ると、出てくる。


その度に、当事者は驚き、困り、悩み、
とにかく何か解決しなきゃならない。



ロケット打ち上げの失敗なんかがあると、
文系の方はとにかく騒ぎ立てるような気がする。

「中止」の時にだって、
「失敗って言いますっ」って捨て台詞を吐いたり。


当たり前のように出来ていることって、
じつは全然当たり前じゃぁなくって。

そこに、
多大な努力と研究と犠牲と時間と費用とが注ぎ込まれてなお、
不明なことや未解明なことが次々と出てきて
結果うまくいかないことも多々あるのだ。


ときどき、

「じゃあ、アンタ、やってみ?」

言ってやりたくなったりする。
もちろん出来っこないし、絶対逃げるだろうけどさ。



あんまり文系理系なんてカテゴライズして
分断を図るのはよろしくない事だとは思うのだけれども
技術系の仕事をしていると特に、
なんか、目について仕方がないんだよねぇ。


理系工学系の学部は人気が無いだとか、
技術系はブラックで避けられるとか、
薄給だけど働かされ放題で
責任は全部おっつけられるとか、
今に始まったことじゃないけれども
そういう「文化」って、あるよね。



でも、いいんだ。



この、川の下にひっそりと埋まる下水管のように、
認識されていなくっても、
だぁれも気にしていなくっても、
日頃は恩恵に与っている人たちによって
なんか不具合が生じた時だけ激しく罵倒されたとしても、
そんなもんだ、って思うだけのことなのだ。



さぁて、この国の科学技術は
これからどうなっていくんでしょうね。


文系の経営陣が
安くこき使える従順な技術者を求め続けるばかりだと
お先は暗いかな。



でも、大丈夫。
そうじゃない会社だって、
いっぱいあるんだ。

……そう思いたいね。
(「川底の下に埋まる」おわり)
posted by けろ at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 土木工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月31日

大橋

なんとか大橋、と言われるものは
全国各地に多数存在しているけれども
その表情はそれぞれであって
機能美を醸し出す構造美が目を惹くのである。



そんな「大橋」のひとつの傍らに、
道の駅が造られていた。


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「みたら」……文字通り、見たら? っていうことかな。


「しらとり」ではなくて「はくちょう」と読む、大橋である。



内部の吹抜け空間にある、
ブリーズラインとノズルの共演が嬉しいのであるが
そこを気にする人は誰も居ないようだ。


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その下のイラストは、
やきとり(と称する、豚串)と灯台、橋、船が
山と海とを背景にしている、室蘭市のブランドマーク


こっちは、目にしてもらえていることだろう。



さて、肝心の  であるが、
半島状に突き出た室蘭市の先端部を内陸部とつなぐ
交通路としては意義の多いルートを形成したものであるのだが
かつて鉄鋼や製油で栄えた工業都市が斜陽になりつつある現代、
産業振興としての役割がどの程度果たせるのか心許ない。


むしろ観光資源のひとつとして
人口減少 のなかで活用すべく奮闘中、というところであろう。



瀬戸大橋や明石海峡大橋などと比べると規模が小さいかもしれないが
なかなかに美しいフォルムを持つ吊り橋である。


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橋のたもとにはパークゴルフ場もあるのだが
結構風が強いのでプレーヤーはなかなか大変だ。


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屋外で鑑賞するのはハッキリ言って寒い(盛夏期を除く)ので
「みたら室蘭」の2階から窓越しに見るのが良いのである。


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ここには、建設の経緯やケーブルの仕様、模型など
若干の資料展示もある。


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1階のレストランでは、室蘭のB級グルメ も提供されている。



橋は2階テラスに出て見ることもできるのだけれど
強風で締め切りになっている日も多かろう。



2階記念室の窓にはフレームが多いので、
階段部の窓から見るのが、
いちばんキレイに見えるような気がする。


22123107.JPG


ここなら寒くないし。



こういうのも、平和あってこそのモノだよなぁ。

昨年末は、ロシアによる戦争が起こされるなどとは
誰も(各国の諜報機関を除いて)予想だにしていなかった。

長期戦の構えになってきているけれど、
来る2023年、早期に平和が訪れんことを願いつつ。

間違っても「侵略した側が勝ったぜ」とならないことも、願いつつ。



今年も一年、
この拙ブログを訪れていただき、
ありがとうございました。


よろしければ、また続けてお越しくださいませ。


全く先の見えない時代の中、
それでも「せつび」のあれこれを
発信していけたらと思っております。



またよろしければ 設備と管理 も是非ご購読くださいませ。
(「大橋」おわり)
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2022年11月23日

そこにあるゼロ

小樽港の中をゆく。



石狩湾の西端に造られた港湾は
物流の拠点として、
フェリーターミナルなどとして
明治期の石炭から現代の豪華客船に至るまで
利用されてきたし、
これからも利用されていくであろう。


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港の湾側には、
古くに築かれた防波堤が
なお現役で活躍している。


『港湾工学の父』である、廣井勇によるもので、
北海道遺産 として登録されている。



建設コンサルタンツ協会のページ でも紹介されている。



北防波堤に、赤い灯台。



そして、南防波堤に、白い灯台。


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この灯台の下には、小樽築港2代目事務所長の遺骨が納められている という。



灯台の脇にある文字が気になる。


22112303.JPG


何かの起点か?

それとも水準?


明治期に設けられた文字そのままではなさそうだ。



一体……?



上で紹介しているページなどを見ると、
縦に書かれた ゼロ の左に、海。右に、難、と
丸い看板が取り付けられている。


『海難ゼロ』


というスローガンを貼り付けてあったようだ。


海 と 難 が取れてしまっているのが
現在の状態であるというのが正解のようだ。


ついに、海難が無くなった。


そういう解釈でよろし?

海、難、の2文字が波浪によって取れてしまった事自体が
海難と言えなくもないけれど。



なかなか、
海の構造物も面白いものである。


スローピングブロックシステムなど、
上記で紹介したページを見ていただくと
昔の技術者たちの智慧に圧倒される。



PCやらドローンやら、
道具は目覚ましい進歩を遂げているが、
人間力そのものは果たしてどのくらい進歩できているか。


ちょっと振り返ってみたくなったりもする。



が、まあ、多くの技術者たちは確かに進歩し、向上し、
スキルアップ、レベルアップしているに違いないのだ。


ワタクシは数少ない例外なのかもしれないなぁと、
なんとなく寂しくはある。
(「そこにあるゼロ」おわり)
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2022年09月19日

バイパス管なんだって

それほど大きくもない川があって。


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ほんと、ちょっとした「せせらぎ」なのだ。



だが、その脇に、何やらあるのだ。


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トンネル?

抗口部分が板で塞がれて、ドアが取り付けてある。



22091903.JPG


覗いてみる?



「ライト点けるから、見てね〜」


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おお、中はドロドロである。


22091905.JPG


足跡が中に続いている。

どこへ続いていく?



これ、冒頭の川の上流部分へとつながっている。



この川の途中に、これからダムを造るのだという。

ダム建設時には川をせき止めてしまうのだけれども、
流れは下流に送ってやらねばならぬ。


そのための「バイパス管」としてのトンネルなんだそうだ。



制御弁装置のバイパス管とは、スケールが全く違う!



人間の尺度ではどう見たって「トンネル」であるが
河川を、流体を流す配管として捉えるならば
やはり「バイパス管」なのだ。



これだけスケールが異なると、
あらゆる点で違いが生じるのは仕方がない。



材料も、施工方法も、工期も、費用も。



……当然、設計費も、だよね。
(「バイパス管なんだって」おわり)
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2022年07月26日

湯西川ダム

ちょっと足を伸ばす機会があって、
更に足を伸ばせば行けそうってことで
押し込んでみた。

「足」といっても自動車なのだが。



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湯西川ダムである。



鬼怒川上流域に設けられている、
重力式コンクリートダムである。


22072602.JPG


ここの管理棟でダムカードを入手できる。



堤体はこのようになっている。


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2008年本体着工、2012年完成ということで、
比較的新しい堤体である。

堤高119m、堤頂長320mということである。



減勢池は、かなり下の方に見える。


22072604.JPG



ダム湖側も新しさを感じさせる。


22072605.JPG


ボート発着所か。

観光船でも浮かべたら
それなりに需要あるんじゃないかな。


ま、安全対策、カスハラ対策なんかをやっていたら
管理運営費が嵩んで、採算が取れないんだろうな。


予約制で利用者募集するくらいはやったら
ある程度の収入にはなるんじゃないかしらん。
(「湯西川ダム」おわり)
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2022年07月17日

1トンの石球を手で動かせる

「グラニットボール」は楽しい。


だってさ、こんな1トンもある球体を
手で自由に回せるんだよ。


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普通じゃ動かないようなものが
動かせちゃうって、感動モノじゃない?



ま、ポンプ揚程に依存しているだけなんだけど。


22071702.JPG


文字通り「手玉に取る」ことができるなんて
嬉しいじゃないか。


軽自動車でジャグリングしてるみたいなものだ。



でも、0.064MPaで済むんだね。
「圧力」だから、面積がかかっているから
力としては大きくなるんだね。
(「1トンの石球を手で動かせる」おわり)
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2022年07月04日

橋桁とか橋脚とか

たまぁに、でっかいモノにも目が行く。

べつに「せつびなんてちゃちいモノよりも、デッカイのがいいね」
というわけではない。


せつびを愛でたいのは変わらないのだけれども
他のモノにも目がいく、それだけだ。


移り気が多いって?


対人じゃないから、いいだろ。



さて。



鋼製の構造物も、なかなかたのし。


22070401.JPG



いろんな震災を経て、
橋桁にはたいてい落橋防止装置が装備されている。


かな〜り、ゴツいものたちだ。



剛で固めるもの、
ワイヤーで引っ張るもの、
いろいろだ。


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あのへんのヒンジがガシンガシンと動いて変形して
巨大ロボットにでもトランスフォームしそうな、
そんな造り。


22070403.JPG


第二次大戦後、
何度も何度も各種怪獣やロボットの類に破壊され続けてきた
(つい最近も、シン超人や怪獣どもによってやられている)
首都高速の防衛機能の一環として、
そういう装備があっても良いのかもしれないが、
しかし現状設けられているものは基本的に地震対策である。



「せつび」と比べると、とにかくスケールが大きいのであるが
計算上必要な張力に耐えるだけの強度と断面積を有していれば
その機能は果たすはずである。


22070404.JPG


これらを支える、鋼製の橋脚の
継手部分のボルトナットの数と言ったら。


22070405.JPG


穴の数による断面欠損はもちろん計算に入っていて
結果このようになっているに違いないのだ。


少なくとも、定常の熱負荷計算に比べれば
遥かに工学的に確実性の高い計算となっているはずだ。


長円形の点検口が、カワイく見えるくらいだ。



汚垂れ防止なのか、傘付の点検口もあって、
どういう使い分けをしているのか、
とんとわからなかった。


22070406.JPG



でも、「移り気」だなんて言っても、
やっぱり地面のほうに意識が向く。


22070407.JPG


どこだって、いつだって、
何らかの配管が埋まっているんだ。
(「橋桁とか橋脚とか」おわり)
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2022年06月26日

筋だけが残った

とある公園、というのだろうか
そんな場所で。



敷地の分界ということだろうか、
擬木で作られた柵が設けてあった。



しかし、作られてから相当の年月が過ぎ
徐々に朽ちかけている、そんな擬木。


22062601.JPG


コンクリートが劣化して、部分的に剥がれ、
鉄筋が露出している。


そこから入り込んだ水分によって鉄筋が錆びて膨張し
ますますコンクリートを侵していく。



今まさに、その現場に居合わせているのである。



が、ここはまだマシなのであった。



なぜなら。



22062602.JPG



コンクリートが完全に脱落して
鉄筋1本が残されている部分もあったから。



あと何十年かすると、
鉄筋だけでできた柵が出来上がるのか、
その前に朽ちて倒れるのか、
あるいは修理、あるいは更新されるものか。



いかんせん、どこも予算が厳しいのだ。

なかなか、こういう所にまで
工事費が行き届きにくいのだ。


さて、この先どうなることだろう。
(「筋だけが残った」おわり)
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2022年02月26日

海から生えてる

着陸が近づき、海面が近くなり、
窓の外を見る。


すると、海から何やら生えてきているのが
見える。



22022601.JPG



上空から見るとさほどの距離でもないかのように見えるけれども
約15kmある東京湾の幅の半分を橋で、半分をトンネルで結ぶ
東京湾アクアラインが、ちょうど海から生えてくる場所 なのだ。


全部を橋とか、全部をトンネルにしなかったのは、
橋の業界にもトンネルの業界にも恩恵があるように……なんて話も
あったりしたのだけれど。


首都圏の物流を担う大型船舶が行き交う回路の要衝でもあるからして
「全部橋」というのは支障が大きいだろうし、
換気の都合などもあるから、
全部トンネルというのもかなり大掛かりになってしまう。


ということで、結構妥当な線なんじゃないかと思うのである。



莫大な建設費と長期にわたる工期と多大な労力によって
出来上がっているのだけれど、
こんなのもミサイルなんか撃ち込まれたりすると
一瞬でダメになるだろう。



壊したり、殺したり、燃やしたりするのは簡単である。

ブッ放すだけの話。

エントロピーを激増させるのは
自然法則的に進行方向にあるのだから
簡単で当然。


しかし、エントロピーを縮小させるには
多くのエネルギーを必要とする。


そっちのほうに、知恵と労力とエネルギーとを
使うわけにはいかんのかねぇ。



国と国とが当事者だと規模がデカくなるだけで
内戦や紛争、テロ、殺人事件、傷害事件は
日常茶飯事だ。


ニンゲンのサガなんだろうね。
結局、そういう種、そういう生物だということなのだ。


だけどね、それを言い訳にして
ぶっ壊す側にはなりたくないわなぁ。できることなら。



ま、国家指導者がやっちゃうと
一般国民に出来ることは非常に限定されてくるのだけれども。


そして世の中、綺麗事だけでは済まないのも確かなのであって。



海ほたる(に限らないけれど)、
少なくとも人為的にぶっ壊されるんじゃないことを
願うばかりである。



flightradar24 を見ると、
見事なくらいに、ウクライナ周辺を飛行機が避けて飛んでる。

前に民間機が撃墜されているから
そりゃ避けるよね。
(「海から生えてる」おわり)
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2021年08月15日

石山緑地は凝灰岩公園だ

札幌市の南の方に 石山緑地 と称する公園がある。


開拓当時の石切場の面影を残す公園 として造成された公園である。



今でも札幌市内や周辺地域に多く見られる「札幌軟石」を切り出していた場所の一つを、まるごと公園にしてあるのだ。



あちこちで接道しているので、どこが正面入口かと問われると
難しいところかもしれないが、
メインエントランスっぽい構えのある部分があった。


21081501.JPG


ここで採れる石を主とした構えが、立派である。

石山緑地、札幌市、と彫り込んである。



文字は墓石のようにカッチリと彫ってあるのではなくて、
ドット画っぽく表現してある。


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近づいてしまうと、却って判別しにくくなる。



せっかくの石畳なのに、
それ用の化粧マンホール蓋なのに、
目地を合わせて嵌めていないところが
商売上気になったりする。


21081503.JPG


なんでよ。



「石山」公園なのだが、公園(の半分だけ)の模型は
鉄板で作られていた。


21081504.JPG


石だとすぐ欠けてしまいそうだし、
軟石だから、こういう細かな細工には適していない
ということなんだと解釈した。


等高線に沿って厚紙を切って重ねていく、
「立体地図」を作ったことがあるだろうか。

あの雰囲気になっている。



広場にある、カナル。


21081505.JPG


訪れたのは春先なのだけれど、
夏になるとここに水を流すのだそうだ。


子どもたちの水遊び場となるのかもしれない。



ここの軟石は、支笏火山の火砕流を元にした
溶結凝灰岩であるという。



ガッチリ固まっているため、石材として切り出され
各所の建材として利用されている。


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上のほうは降り積もった火山灰が堆積し固まった凝灰岩。
風雨によって徐々に削られ、少しずつ形を変えていることであろう。



上部から土が落ち、そこから木が芽を出して
花を咲かせるに至ったりしている。


21081507.JPG


この公園に面して、平屋の老人福祉センターが建っている。


そしてさり気なく「熊注意」の貼紙。


21081508.JPG


人口190万人を超える札幌市だけれども、
近年市街地にまで熊が出没するようになってきているという。

シカやキタキツネは前から結構出ていたようだけれども
熊はそれほどでもなかったはずなのだが。


市街地の拡大、気候変動、生態の変化、などなど原因はあるだろうが
ヒトにとっても出てくるクマにとっても、
鉢合わせは不幸なことに違いない。



街灯の根巻きのような形で
軟石が配してある。


こういうのは、フツーの造園屋さんの発想じゃないよな、
と思ったらやはり 造形集団 CINQ のデザインである と説明されていた。



庭園灯も、洒落てると思いません?


21081509.JPG



地下鉄の真駒内駅からバスに乗るか、
レンタカーで行くか、
それほど便利な立地ではないけれども
行ったらきっと面白いはずである。


でもとにかく、どこに行くにも
コロナにカタがついてからじゃないと
難しいかな。
(「石山緑地は凝灰岩公園だ」おわり)
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2021年07月30日

樹脂製の擬木

公園なんかで、擬木 なんか、見たことはないだろうか。



ほんとうは木で作りたいんだけれど、
木だと傷みが早いしだんだん見た目汚くなってくる、ってんで
木に似せて作った「何か」のこと。
それが、擬木。



古い公園や、頻繁には手が入れられていなさそうな観光地などでは
鉄筋コンクリート製の擬木が使われていたり する。



けれど、最近は樹脂モノが多くなってきたように思う。



加工のしやすさ、色の付けやすさ、軽さ、劣化しにくさなどを考慮すると
樹脂製のほうがメリットが大きそうな気がする。

値段はわからないけれど。



21073001.JPG



接続部が、もうちょっと何とかならないんかなぁ。


木肌もイマイチだから、
まあ、こんなもんか。



でもだんだんと、
よりリアルに近い製品が出てくるんだろうな。
(「樹脂製の擬木」おわり)
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2021年07月21日

オロフレ峠の春は

連日猛暑なので、少々涼しげなものにしてみる。

北海道中央部、登別温泉から洞爺湖温泉へと抜ける「道道2号線」の途中に
「オロフレ峠」なる峠がある。

展望台 は、道道から分岐して少々離れているけれど
道道沿いにも駐車スペースが造ってあって、
それなりの展望を楽しめる場所がある。


21072101.JPG


5月半ばの峠には、まだ雪が残っている。

どうです? 涼しげでしょ?



とは言え、路面にはもはや雪なぞ無くて、
山肌に少々残されている程度である。


21072102.JPG


周辺では、まだ新芽が出ていない。

もう少し季節が下る必要がある。


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北海道室蘭土木現業所による、立派な「史碑」が建てられている。


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史誌が長々と刻まれていて、その偉業を後世に伝えている。


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昭和の末期になってようやく、
通年通行できる道路として共用されたようだ。

とは言っても、悪天候時などには通行止めになる。
吹雪とか。


このような地に、明治初期に私費を投じて開削したとは
ものすごい事であったと思うのだ。



碑の裏側には、当時のおエライさん方のご芳名が
しっかと刻まれていた。


21072106.JPG


当時のお役人は、碑文の揮毫もできなくてはならなかったのか。
大変だぁ。


青函トンネルの抗口部にある「青函隧道」は
時の総理たる中曽根氏によるもの である。
軍人ではないから、このような形で名を残したいと
虎の皮の如くに願ったのかもしれない。



今でも、トンネルや橋のたもとには
関係した技術者たちの名が記されて いたりする。



5月中旬と言えば、季節的には一般的に夏と言って差し支えないことだろう。
大相撲だって、5月の場所は夏場所と呼ぶ。


けれども、南北に長い日本列島では
まだまだ春のはじめである地も、あるわけだ。


少しは、涼感を得ていただけたであろうか……。



なお、前述の展望台は、
まだこの時期は冬期通行止め期間中であって
見に行くことはできない。

もう少し季節が進まなければダメなのである。
(「オロフレ峠の春は」おわり)
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