2021年05月04日

側溝の凍結防止も

寒冷地では、
屋外駐車場の融雪は重要な要素だ。



重機でガガガーっと寄せるだけのスペースがあれば、
そして、ひと冬の間雪を積んでおくだけの場所が確保されるのであれば
融かすまでもないのだけれど、
建物の屋上とか、自走式立駐とかだと
重機を持っていくわけにもいかなかったりする。



融雪方法にはいろいろあるけれど、
温水(実際の中身は温不凍液だけれど)方式も多数採用されている。



どこか熱源で湯(温不凍液)を作って、
それを融雪箇所まで引いていき、
融雪ヘッダーで分岐して、各融雪パイプにつなぐ。


ヘッダーが入っている、ヘッダーボックスが
ところどころに見える。


21050401.JPG



昇降路の接続部分などには
排水側溝が設けてあるのだけれど
この内部が凍ってしまうと
やがて溢れて、斜路が氷結してしまうので
それを防ぐために、電熱線が入れてあったりする。


21050402.JPG


この防水コンセントの位置が低いので、
ドカ雪が降ったら埋もれてしまわないのか
少々心配ではある。


まとまった雪が降るたびに、
コンセント廻りの除雪をして、
漏電ブレーカーを上げてこなければならないのかもしれない。
(「側溝の凍結防止も」おわり)
posted by けろ at 11:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月03日

エアコン室内機サイズの変化

とある、商業施設の天井にて。


更新されたとおぼしき、エアコン室内機が見える。


21050301.JPG


長方形のパネルに、
正方形の室内機パネルが取り付けられている、
そういう状態。



更新前の室内機サイズは、
一回り大きな長方形のサイズだったから
その天井開口部を塞ぐために
こういう造りになったわけだ。



天井カセット4方向吹出形の室内機は、
かつては125形までは正方形、
140形以上は長方形であったことと思う。


熱交換器や送風機のサイズ的に、
能力の大きな室内機は本体サイズを大きくせざるを得なかったのだ。


しかし、たゆまぬ製品開発の結果、
現在ではその能力でも同サイズで実現できるようになった。


能力の小さいものでは、
一層小さなコンパクトタイプのものも出てきた。



以前の室内機は、筐体も金属製で重量があったけれど
現在は樹脂部分の割合がたいそう増えて
かなり軽くなってきている。



世界の多くは「重厚長大」指向であるのに対して
日本では「軽薄短小」である……と言われたものであるが
現在でもそれは続いていて、
設備機器に関しては、やはり良いことであろう。


天吊のモノが軽くなるのは、
安全上も好ましいことだし。


室外機のサイズも、だいぶ小さくなった。



小ささを追求するあまりに能力や効率が減少するのはいただけないが
それらを維持した上での小型化は、今後も期待したい。



あとは、デザインかな。


もちろん年々改善されていているのだけれど
他の分野の製品と比べると
設備機器のデザインって、なんか周回遅れなような気がする。

とても主観的な勝手な感想で申し訳ないけれど。


優秀なデザイナーさんが、どのくらい配置されているものか
どなたか、ご存知ではないですか?
(「エアコン室内機サイズの変化」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月26日

ガラスアトリウムの空調、足りる?

足元までガラスの、アトリウム空間。


21042601.JPG


床仕上げも屋外と同じで、
かなり「外」っぽい空間。



屋根(?)もすべてガラスの空間。

DPG構法のガラスで覆い尽くされている。


21042602.JPG



ここ、夏は温室そのものであるような。

冬は、放射冷却が厳しいような。



この空間には、どんな冷暖房が行われているのだろう。



21042603.JPG


見渡して見る限り、
それっぽいものがあんまり見つけられなくて。


上の上の壁面に、ノズルが少々。



21042604.JPG


そして、アトリウムに面している、天井のある空間の上部にもノズル。



さて、換気には十分そうだけれど、
大きな冷暖房負荷に対応できるだけの空調空気を送るには
少々力不足では? と、何となく感じるのだけれど。


実際には、どうなんだろう?


高いアトリウム空間の上部に熱気が上昇するので
人間の居る空間はそれなりの温度にできるかな。


床暖房でも入れておけば、冬は何とかなるかな。
出入口からの冷気侵入は避けがたい感じもあるけど。



アトリウムに面したコーヒーショップの口コミには
「夏は暑い」「冬は寒い」という記述もあるから
必ずしも「足りてる」という状況でもないのかも。



ガラスアトリウムって、
見た目オシャレなんだけれど
冷暖房負荷は大きくって、そっちの面では不経済&非省エネ。



それにもかかわらず、
アトリウムで経済的&省エネを目指すと、
居住環境が犠牲になる。



冬に北海道北見市を訪れた際、
朝、氷点下15℃の気温の中、
ナマ足ミニスカの女子高生たちが平然と(したふりで)登校していたみたいに
「見た目、命っ!」
と覚悟を決めるのも、まあ、一つのあり方かな。



高性能断熱材に劣らない断熱性能を有するけれども
可視光線は透過するというような
そんな都合の良い透明素材が開発されるといいなぁ。
(右寄せ)(「ガラスアトリウムの空調、足りる?」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月20日

蒸気の補給水セット

機械室の一角に、あったモノ。


21042001.JPG


左から、軟水装置、薬注装置、レシーバータンク(と下部に給水ポンプ)。



蒸気ボイラで水を沸騰させて蒸気にする場合、
水に含まれている成分が析出してしまうと
あっちこっち固形物で機器内や配管が詰まってしまうから

軟水装置でそれらの成分(カルシウムとか)をある程度除去してから
給水してあげなくてはならない。



もちろん、補給する水の成分がどうか、ということ次第なんだけれど。



明治大正昭和の頃までは
暖房用にも蒸気ボイラがよく使われていたけれど
現代はなかなか使われない。



大病院とか、食品工場とか、自衛隊とか、
ごく限られた場所でしか、新築では使われないだろう。



既存の建物では、
まだ蒸気ボイラが活躍中のところもあるだろうけれども
それも徐々に他のシステムに置き換わっていくのだろう。



蒸気管の設計なんて、
とんとお目にかからなくなった。



ロストテクノロジーと化してしまったと
言えなくもない、か。
(「蒸気の補給水セット」おわり)
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2021年04月18日

壁掛形エアコンのドレンアップ

エアコンは、室内の空気を冷やす。


冷やされた空気からは、結露水が生じる。


空気の中に含むことができる気体の水の量は限られていて
温度が低いほどその量は少なくなる。

だから、冷やした結果含みきれなくなった水は
気体から水に変わって出てくる。


「出てくる」は変な言い方で、
実際にはそこにあった気体が液体に変わるだけなのだけれど
気体の水は人間の目には見えないから
液体になったことで「出てくる」ように見える。

これを、ギョーカイでは「ドレン」と称する。



このドレンは、そのままにしておくわけにいかないから
配管を通して排水されるべきなのだ。



気体と異なり、液体は高いところから低いところに流れる。
(「超流動」が起こるのは、特殊条件下だけだ)


だから、いわゆる排水と一緒で
自然勾配にて排出されることになる。



それが可能ならそうするし、
それが不可能な場合には、
一度溜めてからポンプアップしてやることになる。



天井吊タイプの室内機には、
たいてい「ドレンアップメカ」が内蔵されていて
天井内ある程度の高さまで汲み上げて
以降は自然勾配でどこかへ持っていくことができるように
なっている。



壁掛形の場合には、
壁の裏などにドレン管を通すことができれば良いのだけれど
条件によってはそれができなかったりする。


となると、別途、ドレンアップの装置をつけることになるわけで。


21041801.JPG



室内機の右側についている、
結構大きなボックスが、それ。


結構、目立つよね。



でも、条件によっては仕方がないのだ。



機能、見た目、納まり、費用、その他もろもろの条件によって
一番マシなものを選ぶわけである。



これを内蔵にしちゃうと、
「圧倒的に安価な壁掛エアコン」ではなくなってしまうから
オプション対応にするのも致し方ない。

そういうものなのだ。
(「壁掛形エアコンのドレンアップ」おわり)
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2021年04月12日

床置エアコンの固定、どこまで

床置のエアコンが設置されていた。



壁掛とか天吊とか天井カセット形は結構よく見かけるけれど
床置形のエアコン室内機は
あんまり見ることが多くないかもしれない。


床置のFF式温風暖房機と見た目が似ているから
暖房機だと認識されていることも多いかもしれない。



21041201.JPG


ここに設置されているのは、
確かにエアコンであった。



よく見ると、背面に鋼材が見えるのだが
わかるだろうか?


外壁側が窓になっていて
ガッチリ固定する先が無いから
このような納まりを試みたのではなかろうか。


21041202.JPG


耐震性に十二分に配慮して、
念には念を入れて、
十分な強度を持った鋼材で支えるのだ


……そう言いたげな、佇まい。



では、ちょっと上の方を見てみようか。



21041203.JPG


あれあれっ?



鋼材はガッチリしているんだけれど、
エアコン本体とつないでいるのは
なんか浮きかけている鋼板と
細っちいビスが、鋼材に2本、本体に2本。



この室内機の転倒防止に寄与するのは、
要するにこの2本のビスの強度分だけだ。



見た目に反して、
大したことなくない?



他の場所の機器はどうかな。


21041204.JPG


これなんて、
ビスを止めている相手が石こうボードである。


どのくらい、効いているのか
ちゃんとボード用のビスが使用されているのか
よくわからない。



床面でも固定しているから、
頂部が動かないようにするだけで十分だから
こういう細工でも問題ないのかもしれない。


となると、前の機器の背面鋼材のゴツさが
逆に気になる。



21041205.JPG


プレートが、浮いてる。


要はビスが止まっていればいいのだから
差し支えないのかもしれないが。


もうちょっと、見た目マシな部材は無かったのかな。


ま、第三者が後から茶々入れるなら
何とでも言えてしまうけれど。



で、足元はどうなの?



21041206.JPG


なるほど。

これは、さっきの鋼材を、
腰壁と床面にボルトナットで留めている、と。


こっちは、さっきのビスよりはかなり効いていそう。


実際、こっちのほうが大きな力がかかるし。


これだけするなら、
頂部の軟弱ビスはもうちょっと丈夫な方が良かったのでは?
とも思うのだけれど。


それなりに耐震計算をして、
「つけたほうが良い」という判断だったのか、
「とにかくとにかく丈夫さを醸し出したい」だけだったのか。



MITSUBISHI ELECTRIC のロゴが書いてある。
三菱電機のスリムエアコンだろうか。


昔むかしは、三菱電機もFF式温風暖房機を出していたんだけれど
一酸化炭素中毒の事故があってから
ほとんどの家電メーカーは撤退してしまった。

だから、これはエアコン。



設備機器の耐震措置は重要なんだけれど
必要な措置を、必要な分だけ実施するのが
たぶん良いはずだ。

あんまり貧弱でも困るし、
ゴツ過ぎても、その分費用が余計にかかるから良くない。


メーカーさんで、計算書付の標準部材を用意していただけると
とても良いのだけれど。
(「床置エアコンの固定、どこまで」おわり)
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2021年04月08日

温水パネルヒーターの納まり方

ストーブや暖炉もいいけれど。

まあ味気ないといえば味気ないけれど、
エアコンだっていいんだけれど。



機械室で温水を作って、
ポンプで循環させて、
パネルヒーターで放熱するっていう、
温水暖房も、結構魅力的。



たとえば、カウンターの下に納めると
いい感じになる。


21040801.JPG



外壁・外窓側に放熱器を置けば
外皮負荷の処理には都合が良いのである。



21040802.JPG


椅子が置いてあるけれど
パネルがある分、脚を入れるにはちょっと邪魔かもしれない。


もうちょっと、パネルを外壁側に寄せて取り付けても
良かったのかもしれない。



でも、こういう納まりも、結構あったりする。


21040803.JPG


パネルの裏側の空間、
ただの空間に見えるけれども
床スラブの下には「梁」が存在していて
梁を縦に貫通させて配管を通すわけにはいかないから
こうなっちゃう。


パネルを壁付にするために、
柱脇にPSを設けたり、
温水の接続管をスラブ埋設にしたり、
床仕上げ面を1段上げて、床下空間に配管を通したり、
まあいろいろやれば出来るけれども
なにぶんコストも要することだから。



ここでは、こういう納まりで良しとした、
そういうことだったんだね。
(「温水パネルヒーターの納まり方」おわり)
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2021年04月01日

ひと冬埋もれかけてた

エアコンの室外機は、
どこに置いてもいいってもんじゃない。


なるべく通気性の良いところが良い。

大気との熱交換器なんだから。



そして、
人間が容易に到達できる場所が良い。

だって、ノーメンテじゃ、やっていけないんだから。



更に、積雪地では
雪の溜まりにくいところ、
除雪しやすいところが良い。

雪に埋もれてしまったんじゃ
役に立たなくなっちゃうから。



それでも、
意匠的、構造的要請によって
室外機の置き場には制約が多いのが実情で
仕方なく、条件のあまり良くない場所に置かれる。

そういうことが、多々ある。


多々、ある。


とても、多い。



ああ、ちょっと興奮してしまった。



で、とある建物で
全館にマルチパッケージが置かれている建物で、
その室外機を確認したかったんだけれど。



ひさし部分に連立設置されているということで
そこに行きたかったんだけれど。



まず、そこに到達する点検口が、開かない。



扉の向こう側に雪ががっぽり積もっていて、
開かないようなのだ。



ややしばらく格闘して、
がんばって、ちょっと開くようになったのだけれど、
さぁて、どうしたもんか。



21040101.JPG



何とも、雪が吹き溜まりやすい部分に並べたもんだ。



日差しでわかるかなあ?

北側の庇なのだ。

そりゃ、溜まるでしょうに。



除雪もされなければ、
機器の点検も実施されなければ、
要は、ほったからしだったのね。



まあそれでも、
室外機が架台の上に載せられているおかげで
本体の大部分が埋没、なんて事態は
辛うじて避けられている。


雪が多い年だったら、
埋没してたよね?


これじゃ、まずいよね?
(「ひと冬埋もれかけてた」おわり)
posted by けろ at 11:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月29日

壁付の灯油タンク

建物の外壁に、
灯油タンクが貼り付いていた。


2基。



21032901.JPG


どうやら、左上に見える給排気トップを抱える
FF式温風暖房機に灯油を供給するためであるようだ。



縦型の大型の暖房機であるためか、
タンク1基に暖房機1台を対応させているようだ。



灯油タンクは脚のついたタイプが一般的だけれど
このように壁付にするやつもある。



危険物を貯蔵するものであるゆえ、
タンク同士の離れや、総容量、
隣地境界との離れ、
取付外壁の仕様、
周囲の開口部
などについて、規制や指導(という名の強制)が
かかることも多い。


消防法にも記載があるが、
多くはその地域の火災予防条例などで
詳細に規定されているはずだ。


更には、所轄消防の危険物係などで
運用を決めていることも少なくないだろう。



建物の計画に際しては、
建築基準法に適合することはもちろんだけれど
消防法も重要なので、
建築指導課や指定確認検査機関だけではなくて
消防にも事前確認しておくことが望ましい。


っていうか、しておかないと、いざ確認申請を出した際に
消防同意が得られなくて……という事態になりかねない。



「建築消防advice」なんかもとても役に立つけれど
各市町村の条例までは網羅できないから。



「周辺の他の建物でもやってるから、たぶん大丈夫」
も通用しない。

あとから改修で勝手にやっている、ということも
少なくないのだから。



というわけで、上の写真の状況が
かの地の消防関係の規定に適合しているかどうかは
見ただけではわからないのである。



タンクの下に、
ストレーナーと灯油配管(被覆銅管)が写っている。


たま〜に、
この管を切って灯油を盗む輩が出没するので
(寒冷地では、たまに報道が出る)
そういう事例がたまにある地域では
防犯対策を取ることもある。
(「壁付の灯油タンク」おわり)
posted by けろ at 10:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月26日

壁についている室外機

壁についている、室外機。


誰からも注目されることなく、
関心を持ってもらうこともなく、
そこについている。


21032601.JPG


雪が積もっていても、
誰かが除けてくれるわけじゃなし。



架台が錆びてきても、
だれかが塗り直してくれるわけじゃなし。



本体が錆びてきても、
傾いてきても、
汚れてしまっても、
だあれも構ってくれはしない。



きちんと働いているうちは、

「それが当たり前」



故障してしまって、
うまく働かなくなったとき、
初めて存在を意識してもらえる。

正確には
「存在していたことを認知してもらえる」
かな。



「あら、もうくたばったか」

「役立たず」

「さっさと取り替えよう」



結構、アッサリと見切られる。



21032602.JPG



「困るなー。こんな時にダメになっちゃって」

「もっと頑張ってくれないと」

「こっちの都合も考えてよね」


使っているほうは、
普段恩恵にあずかっているほうは、
そんな意識しか持っていなかったりする。



……なんてふうに捉えてしまうと、
悲しくなっちゃうよね。


室外機に身を置き換えて、
感情移入してしまうオトーサン、オカーサン、
居るかもしれないなぁ。



他者からの評価や認知があれば、
そしてその評価が良ければ、
それはそれで嬉しかったり励みになったりするけれど

でもそれを自分でコントロールできる要素は
あまりない。



自分に出来ることは、

自分なりに納得した働きができること、

それに満足できること、

それで十分、それ以上はオマケ、くらいに
捉えることかなあ。


そのくらいのほうが、
気楽だし、
ストレスも少なくて、
楽しめるじゃない。
(「壁についている室外機」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月22日

ガラスの下の、放熱器

雪降るような地であっても、
広いガラス面を設ける建物は、ある。


意匠的には、
ガラスの透明感は何としても欲しいところが、ある。



けれども
どんな高性能断熱ガラスであったとしても
一般的な断熱材付外壁に比べれば
「断熱性能」なんて無きが如し。


コールドドラフトは、
起こらないわけがない。



だから、
ガラス面の下部には
放熱器が、欲しい。


21022201.JPG


全スパンに渡って
弱くていいから放熱するものがあれば
理想的なのだろうけれど
そうではなくても有るだけで効果はあろう。


床暖房、という手もある。

窓付近は、放熱パイプのピッチを狭くする、
なんてことも出来よう。



もしも、このような出っ張りが気になるなら、
床面にグレーチングを設けて
その下に放熱器を収めることだって可能だ。


そういうことが出来るかどうかは、
意匠設計者がそれを知っているかどうかにかかっている。


プランが固まってしまったあとに、
取ってつけたように設備設計を慌てて外注したのでは
取ってつけたような設備を設けるしか
選択肢がなくなるのだから。


ま、でも結構、
この類の放熱器は
一般の方々の視界には入らないものだ。

あまり隠そう隠そうとしなくても
まったく構わないのかもしれない。
(「ガラスの下の、放熱器」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月16日

ヒーティング、してます

わさわさと雪が降ると、
ロードヒーティングは忙しいことになる。


とは言え、一瞬で融かせるわけでもなし。


時間をかけて、徐々に融かしていくのだ。



その過程において、
ヒーティングパイプの走向がわかるのだ。


21021601.JPG


積もった直後にも、融けきった後にも見られない、
ひとときの地上絵。



「頭上 落雪注意」


注意して通れ、

というのではなくて

雪がドサッと落ちてくるんだから
この下に来るな!

という意味である。



道路標識にある「落石注意」よりは頻度の多い、
甘く見ていると被害に遭いやすい事象なのだ。
(「ヒーティング、してます」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月13日

冷蔵倉庫を冷やすやつ

家庭用の冷蔵庫なんかよりもずっと大きな
冷蔵倉庫。



部屋全体が冷蔵庫なのだ。



壁も屋根も床も、
分厚い断熱材でぐるり覆われている
そんな部屋なのだ。



室内には、そこをガンガン冷やすための機械がついている。


21021301.JPG


エアコンの冷蔵倉庫版、っていう感じかな。



日立だったら「クーリングシステム」を名乗っているやつ。


製造社が日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社で、
販売者が日立グローバルライフソリューションズ株式会社で。



三菱とか東芝とかパナソニックとか日立とかダイキンとか、
各種製品を出している会社は
社名が結構変えられていくから、
なかなか面倒くさい。


社員の方々も、
そのたびに名刺が変わって大変かも。

あと、名前が長いし。



それはともかく、
冷蔵倉庫だ。



倉庫だから、
見た目はほとんどどーでも良い、という感じ。
機能が果たせれば、問題ない。

そんな作り。



冷媒管の貫通位置と、
ドレン管の伸ばす距離感が、
ちょーっと想定と違ったのかな。


21021302.JPG



フォークリフトなんかで
引っ掛けたりしなければ、
無問題。



もしも、もしも、
冷蔵倉庫や冷凍倉庫に入る機会があったら、
こんなやつがついていないかどうか
見てみて欲しい。



上の写真2枚は、
エアコンで言うところの室内機に相当するものだ。


よって、どこか屋外に室外機が置いてあるはずだ。
そこまで、冷媒管がつながっているはずだ。



ヒートポンプの温度条件が
一般のエアコンよりも厳しくなるので、
使用される冷媒ガスも異なる場合がある。


上の日立の製品では、
一般的な R410A の他に、
R448A や R404A を使用するラインナップがあるようだ。


冷蔵温度や冷凍温度の条件によって、
組成を決めているはずだ。

そんなのも、室外機に貼ってある銘板を見ると
書いてあったりする。
(「冷蔵倉庫を冷やすやつ」おわり)
posted by けろ at 23:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月10日

吹出口をなんとなく隠してある

少し広めの空間の
上の方を見てみる。


と、壁面に吹出口とおぼしき、長方形のグリルが見える。


21021001.JPG


木質の内装材が、
そこだけカットされていて
吹出しを阻害しないようになっている。



でもだいぶ上の方なので、
意識してそのあたりを見ない限りは
決して気づかれることはあるまい。



手前のすぐ上にある照明器具、
LEDならでは。


蛍光灯や白熱電球では
こんな表現はできなかったろう。



照明デザイナーにとっては
世界が拡がったんじゃないだろうか。



それに比べて……。



吹出口、吸込口や
換気フードって
旧態依然というか、
あんまり昔の製品と
代わり映えがしないような気もする。



露出のファンコンベクターとかも
そうだね。



エアコンの室内機も、
昔むかしのものとくらべると
かなり改善されてきたように思うけれど
まだまだ、デザインの余地は十分にありそう。



建築設備のプロダクトデザインは、
これから、である。



今がんばれば、
ブルーオーシャンじゃないかな?
(「吹出口をなんとなく隠してある」おわり)
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2021年02月06日

パネルヒーターも配管も年数が経つと

壁掛けの、温水パネルヒーターがあったのだけれど
取り付けられてから、だいぶ年数を経ているようだ。


21020601.JPG


パネル端部のヘッダー部分、
塗装が剥げた部分は錆びっ錆びである。


配管も、そうだ。
塗装の剥がれたネジ部、
床の貫通部、
かなり、キてる。


還り管のレタンコックも
青銅が錆びて緑色になっている。



ここまでになるのに、
どれだけの月日、頑張ってきたんだろう。



無生物であって、
意思も感情も無い、
ただのパネルと配管なんだから
「頑張る」もへったくりも無いのだけど
それを観る主体であるワタクシ自身が
ややもすると感情移入してしまったり。



モノは、古びる。



昔の人は、だから「諸行無常」を語り、
記したのである。



人の世の栄枯盛衰を、そこに映したのである。



今の時代は、
スクラップ&ビルド じゃない。


こういうモノを、
いかに費用をかけないで、
長持ちさせるか。

場合によっては、
騙し騙し使い続けるか。



そんな腕前や知恵が商売になる、
世の中になっているのである。



けどまあ、
本音としては

「そろそろ、取り替えません?」
(「パネルヒーターも配管も年数が経つと」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月02日

ロードヒーティングの熱源は、ここに

駐車場とか、すっきり雪が融かしてあると
助かるものだ。


そんなヒーティングの熱源は、
建物の陰になったところなんかに
ひっそりと置いてある。


21020201.JPG


ヒーティングは、油焚きだったりガス焚きだったり
電熱線だったりするけれど、
ここのやつは油(灯油)みたい。

近くに灯油タンクがあったから。



火気なので、消火器を背負っている。


ステンレスの箱に覆われていて、
ぱっと見、ボイラーっぽくはないけれど
この中に機械が収めてあるのだ。


「ボイラー」って呼びならわされているけれど
ボイルしないから、正確にはボイラーじゃない。

温めるだけだから、本来的にはヒーター。

ま、でもボイラーで構わないや。



箱の上に雪が積もってしまって、
排気口が埋もれそう。

それはちょっとまずい。



箱の左上から伸びている棒の先に
降雪センサーがついているみたいだ。



降雪を検知すると、運転する。



ただ、雪が降るだけで積もらないこともあるから
運転制御を厳密にやろうとすると
結構面倒なことになる。



地温センサーを浅く埋めておいて、
地温がプラスだったら雪が降っていても運転しないとか、

地表に水分センサーを設けておいて
水分を検知しなければ運転しないとか、

降雪センサーも、降雪の度合いに応じて作動させるとか。



積もり具合を見ながら、人力でON-OFFするのは
なかなか面倒だし、大変だから、
なるべく自動運転させたい。

でも、灯油代がばかにならないから
不要なときには動かしたくない。


いろんなセンサー類をつければつけるほど
設置費がかさむ。



どこかで折り合いをつけて
妥協することになる。



まあでもそのうちに
AIとか画像処理とか搭載した
もっと性能の良いものが出てくるに違いない。



東京や大阪などの大都市圏で需要がないから
その開発速度はそんなに早くないんだろうけど。



もしも、積雪地に行って
ロードヒーティングがあるのを見たら
その熱源は何だろう? と探してみてほしい。

見つからないかもしれないけど。
(「ロードヒーティングの熱源は、ここに」おわり)
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2021年01月23日

スリムダクトの色を分けるかどうするか

エアコンは、
室内機と室外機とを組み合わせて使う機械である。

室内機から室外機へ、
あるいは室外機から室内機へ、
『熱』を運ぶ装置なのだ。



よって、室内機と室外機との間を
配管で結んである。



配管(通常は、銅管である)に断熱材が被せてある状態で
露出されていることもあるし、
外壁に出ている部分などには『カバー』がかかっていることもある。



このカバーは、通称「スリムダクト」と呼ばれたりする。

これは 因幡電工 の商品名なのだけれど
一般名詞化してしまっている。



ただ例に漏れず
国土交通省としては商品名を使うわけにはいかないから
公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)平成31年版 では
『保温化粧ケース』などというような名称を捻り出している。
(第2編 第3章 第1節 保温工事 表2.3.1) 



さて、このスリムダクトであるが、
建築外装材に合わせるかどうか、
好みの分かれそうなところ。



標準のカラーバリエーション から選んだり、
別途塗装したり。



外装材の色が変わる部分は、どうだろう?



こんなふうにしてあるところも、
たまに見かける。


21012301.JPG



こうやって色をいちいち分けていないところも
多く見かける。



好き好きである。


ただし、若干の費用の違いが生じることもある。


そのへんも含めて、オーナーさんの好きなように決めれば良いのだ。



設備屋さんの持ち出しになってしまわないように、
こういう希望があるんだったら、
図面に描いておくべきなんだけれど。
(「スリムダクトの色を分けるかどうするか」おわり)
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2021年01月22日

隠蔽形エアコンの露出

エアコンの室内機には
いろんな形式があるのだ。


その1タイプに「天吊隠蔽形」なるものがあるのだけれど。



ある建物で上方を見やると、
ソレがあった。


21012201.JPG



隠蔽形、なんだけど、
天井を貼っていないから、露出になっている。


エアコン本体にドレンパンがあって、
ドレンアップ装置が脇に取り付けられている。

吸込み側・吹出し側に、それぞれチャンバーが取り付けられているのがわかる。

吹出し側チャンバーからは、
丸いフレキダクトが3本、
各方向に伸びている。


その他にも、普段隠れて見えないはずの
ケーブルラックやら電線管やら、
いろんなモノが見えている。



必ずしも費用をかけて天井仕上げを貼らなくっても、
まあ、こういう状態であっても、建物は利用できるのだ。



そう。


「設備も、内装」

なのだったら、なのだ。
(「隠蔽形エアコンの露出」おわり)
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2020年12月30日

室外機の防雪フード、あんなに向かい合わせで

なんか、狭い所に追いやられている、
エアコンの室外機。


雪が降るところだから、
防雪フードも取り付けられているんだけれど。



20123001.JPG


2台の室外機が、
ずいぶんくっついちゃってるね。


防雪フードなんて、
2台あわせて三角屋根、って勢いだ。



メーカーの標準設置間隔を遥かに下回る
近接設置状態である。



どうしても、
どうしても、
仕方なかったんだろうね。



建物には、
いろんな「仕方なかった」が満載である。


そこにあったドラマを、物語を、
いろいろ想像してみるのも面白いものだ。


とっても人間くさくって、
愛らしいものだ。
(「室外機の防雪フード、あんなに向かい合わせで」おわり)
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2020年12月27日

煙突をどこに建てるか

最近は、非燃焼系の熱源も多くなってきているけれど
それでもやっぱり燃焼系熱源も少なくはない。


そうすると、燃焼したあとの排気をどこに出すのか、
それが重要な論点の一つになる。



端的に言えば、

「煙突をどこに建てるか」

ということになる。



あんまり目立たせたくない、というデザイン上の要請があったり、
いっそ、煙突自体をデザインに取り込んでしまえ、という解法があったり、

時として、設備設計が関与し始めるまで
そもそも煙突の存在自体が失念されていたり、

まあいろんな経緯を経て、
それでも必要なものは必要なわけで
どこかに落ち着いてくるのである。



たとえば、こんなふうに。


20122701.JPG



燃焼機器を屋上に持っていけば、
こういうモノは不要になるし。

熱源を非燃焼系にすれば、
やっぱり不要になるし。


でも、燃焼系の良さってものもあって、
その建築全体において、何を是とし、何を犠牲・妥協するか、
そういう総合的プロデュースがあることが
望ましいと言えよう。



世の中にたくさんある、
煙突を背負っている建物。



その煙突が、そこに存在するに至るドラマは
建物の数だけ、あるはずなのだ。



「えええ? そんなモノが、そこについちゃうの?」


たまぁに、現場も佳境に入ってきた頃に
そんな驚愕を持って施工図を見つめる人が、
存在することもあったり、ね。
(「煙突をどこに建てるか」おわり)
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