2023年12月29日

あそこから吸い込む

ホール的な空間。


天井面には照明器具と、
おそらく空調吹出用のブリーズラインが並ぶ。


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吹き出すからには、どこかでその分を回収する。
室内空気がどんどん圧縮加圧されていくことは
無いのだから。


吹出口を見つけたら、
対応する吸込口を探すのは、
必須の行動である。

設備屋としての(さが)である。

致し方ないことなのである。



正面壁の右側には
床面から天井面まで達する
しっかりした吸込口が設けられている。


天井面に、
ちまちまと小さな吸込口を並べるくらいなら
1箇所でまとめて吸い込んでしまえ。


別に乱暴なわけじゃなくって、
大きめの空間だと、こういうことも結構あるのだ。



この大きな吸込口から回収される空気であるが
室内の隅々にまでしっかり供給された後のものであるかは
なんとも言えまい。


いちばん奥のブリーズラインから吹き出された分については
ショートサーキットに近くなるのではないかしらん。



気流解析とか煙試験とかやってみたら
わかるんだろうけどね。
(「あそこから吸い込む」おわり)
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2023年12月21日

吹抜のノズル

吹抜空間お決まりの、ノズル。


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ノズルの形状や納まりはそれぞれであるので
どのようになっているかは常に関心ごとである。



そしてたいてい、
ノズルは吹き出し用に設けられるものだから
対応する吸い込み口の探索も必要になる。



壁の上方の並ぶ、パンチング最下部の向こうが
吸い込みになっているような感じに見える。

勝手に「見える」だけで、
実態がどうなのかは、知る由もない。



反対側の面も、同じ造りである。


23122102.JPG


ノズルを、壁面に合わせて設けることも多いけれど
このように多少出っ張らせて取り付けるのも
これはこれで面白いかもしれない。


23122103.JPG


デザイン的に、許容されるのであれば。



それにしても、ちっちゃいターミナルビルだ。


便数が増えてきたから、
もうちょっと拡張しないと
すっかり手狭になっちゃってるね。
(「吹抜のノズル」おわり)
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2023年12月09日

縦ルーバーと室外機

ちょっとランダムっぽく、
縦ルーバーを取り付けた外装が
しばらく前からの流行りである。


そんなルーバーの向こう側に
室外機を隠すような隠さないような
そんな置き方をされているビルがあった。


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構造上も、片持ち梁でばっちり支えてあって
室外機をのちのち増設するスペースも十分にありそうだし
何も無く丸見えなのでもなくて、
かと言って、外気との熱交換効率を犠牲にするような
あからさまな目隠しでもなくて、
意匠的にも設備的にも考慮された状態なんじゃないかと
個人的には好ましく思うのだ。


もちろん、好き嫌いに関する価値基準はさまざまだから

「こういうの、大っ嫌い」
という方がおられたとしても、それはそれで一つの意見だろう。


ワタクシが個人的に、
室外機を目隠しで思いっきり覆い隠してしまって
機器効率をものすごく低下させてしまうような措置が嫌い
ってだけなのだ。


でもね、省エネとかSDGsとか、
そういう観点から言っても、
「視線を遮るだけの無策の目隠し」がエコじゃないのは
当然なんじゃないかな、とも思う。


ま、でもね、
ガラスカーテンウォールの
温室みたいな建物を
「キレイ! 素晴らしい!」って表彰する価値観もあるのだから
省エネなんてクソ喰らえというご意見だって
あるのだろうね。



ああ、あのヘリポート、上がってみたい。

機会、無いかな?



高いところは、苦手なんだけどね。

だから、縁近くには近寄らない、
いや、近寄れないんだけどね。
(「縦ルーバーと室外機」おわり)
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2023年12月08日

庇の強度は

庇の上に、ずらっと並ぶ室外機。


23120801.JPG


壁掛になっているものもあるし、
壁面に這う冷媒管を見るに、
屋上にも並んでいるのであろう。


ルームエアコンの室外機はそれほど重たくはないけれど
そうじゃないやつもあるし、
おそらく鋼製架台もあって
全体としてそれなりの重量を支えているはず。

この、出っ張った庇部分で。



強度は、大丈夫なんかなぁ。


もっと言うなら、屋上に並ぶ室外機(と架台と基礎)も
構造計算上問題のない重量の範囲内に
収まっているのかなぁ。


一度に どん と据える場合には
まあそれなりに構造屋さんが関与して
「まあ、だいたいオッケーじゃない?」とか
判断して下さることもあるけれど

あとからあとから追加するような場合には
あんまりそういう評価が無かったりする。



この施設は、どうだったかな。


計算上、必要な強度は確保されているのかな。


それとも……?
(「庇の強度は」おわり)
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2023年11月20日

たくさん並べる場所がある

室外機置場に困る建物がある。


敷地に余裕がない。
屋根面にもスペースがない。
ドライエリア的な場所もない。
壁掛けで並べるにも厳しい。


いろんな理由で。



でも、余裕のよっちゃんで置ける
好条件の施設だって
無いわけじゃない。



23112001.JPG


どう?


とても贅沢なスペースじゃないの!

まだあと、何十台でも増設可能だねっ。


巨大なはずの、おそらく発電機室の
給気フードがあんまり大きく見えないや。



別の場所も、余裕綽々。


23112002.JPG


設備機器置場に
どこでもこのくらいゆとりがあると
なあんにも苦労しないんだけどなぁ。



屋内の機械室とかも、
ひろびろしてると、いいんだけどなぁ。



「営業的価値を生み出す面積」という視点に立つと、
無駄すぎるんだろうけどさぁ。
(「たくさん並べる場所がある」おわり)
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2023年11月19日

煙突に近いけど

屋上に据えられた、冷却塔。


23111901.JPG


屋根の、結構隅っこに置いてあるから
(そもそも、そんなに広い屋根じゃない)
手前側を点検するのは怖すぎるね。



すぐ脇に、躯体の煙突が立っているんだけれど
冷却塔に近すぎないかなぁ。


煙中の成分が取り込まれちゃったりしないかなぁ。


硫黄酸化物や窒素酸化物が含有されてくると
冷却水系の腐食が気になるなぁ。


実態は、如何に!?
(「煙突に近いけど」おわり)
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2023年11月18日

開口部を避けて

クイッと曲がった、油通気管。


まっすぐ直上に伸ばさないで、
ナナメ45度に振って伸ばしてある。


23111801.JPG


すぐ脇に、換気塔があるからかな。

煙突も近そうだからかな。



可燃物貯蔵所であるオイルタンクの通気口は
地上からの高さを確保するとともに
開口部からも離さなくちゃならないんだ。



ガソリンスタンドなんかでも、見かける。
隣地境界線から離すために。

スタンドのタンクは数が多いから
自ずと通気管も数多く並ぶ。



この写真では、2本。

地下タンク用に1本、サービスタンク用に1本
ということなのか、
タンクが2基あるのか、
よぉく観察しないと、判別はつかない。


通りがかりにちょこっと眺めるだけじゃ
ムリかな。
(「開口部を避けて」おわり)
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2023年11月16日

こんな置き方もいいんじゃ

屋根の上に並べるとか、
外壁にずらりと壁付けにするとか、
屋外にまとめて置くとか、
そんな置き方をする、室外機群。



それらの置き場にも困る場合には、
こうやってもいいんじゃないかな。


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鋼材で組まなくちゃならないけども
下に車を停めたり荷物を置いたりできるし
メンテ用の足場もある程度確保できるし
悪くはないじゃない?



たくさんのブラケットで支えたスリムダクトが
ちょっと気になるといえば、気になるかな。
(「こんな置き方もいいんじゃ」おわり)
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2023年10月23日

塗るんか塗らんのか

とある外壁に沿って置かれた室外機。


なつかしい(?)Nationalブランドのエアコンである。


23102301.JPG


架台も本体も外壁色っぽく塗ってあるのだけれど
中途半端感は否めない。

文字部分はいい感じで白抜きっぽくなているけれど
グリルの中は構造上塗りにくいし、
そもそも本体勝手に塗って大丈夫かっていうこともあるし
架台も、塗ってある部材と標準色の部材とが混在している。


だれも気にはしないんだけどね。


こんなところばっかり気にしているから
変人扱いされちゃうんだけどね。

ええ、実際、変人なんですけどね。

だから、仕方ないですよね。



何なら、ガス管も途中から塗ってない。



そんな、どーでもいいことを見て楽しめるなんて
安上がりでお手頃な趣味だと思いません?


べつに、勧めはしませんけどね。
(「塗るんか塗らんのか」おわり)
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2023年10月19日

外壁貫通に困ったとき

レンガ造の建物だと
外壁に何かを貫通させるのに苦労することがある。


テキトーに孔をあけちゃうと
崩れるかもしれないからね。



だからなのか、どうなのか、
2階からの冷媒管を貫通させるには
こうするしかなかったのだろう。


23101901.JPG


いろんな職種の人を動員して
ふんだんに費用をかけるならば
他にもいくらでもやりようはあったのだろうけれども
設備屋さん(エアコン屋さん)の手だけで何とか済ませるには
こんな感じでやるしか、なかったのだろう。



建物の裏側のようだし、
見た目に気を使う必要もなさそうだから
これで十分という判断も成り立つよね。



屋根の上には、今の世にあっても
依然として残るVHFアンテナ。

ラジオ用にでも、使ってるのかしらん。
(「外壁貫通に困ったとき」おわり)
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2023年10月14日

個別空調の極致

建物の脇に据えられた、室外機。


23101401.JPG


ありがちな光景である。


ま、冷媒管にスリムダクト(商品名)を使わずに
ラッキングしているところが少し気に留まるところかな。



だがしかし。

この建物の真骨頂は、ここではない。

上の方にこそ、あるのだ。


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各室の外側に並ぶ、室外機。

鋼材で構築された架台が
大量の室外機を受け止めている。



マルチパッケージにしてしまうと、
室外機の不調が広域に及ぶから
全部ルームエアコンにしてしまえっ!

そうしたら、不調があっても
その室だけの問題だからさ。

そういう思想なのであろう。


23101403.JPG


ただの壁掛設置にしないことで、
メンテナンス(というか、交換だね)もやりやすい。

統一的な架台とすることで
ファザードにも特徴が出る。


23101404.JPG


ルーバーの間隔は、
もうちょっと広くしてあげたほうがいい気もするけど
「せつび」が取り付けられる前提でデザインされた
望ましい例なのではないか、と愚考する。


「好み」の要素も大きいだろうから
人ぞれぞれの感想があるのだろうけれども。


意匠設計が、設備設計とうまく協力できている
そんな一例なんじゃないかな。


デザイン、コスト、運用、その他
いろんな要素を勘案した結果、
このようになった、ということなんだろう。



どうです?

こういうの、お好き?
(「個別空調の極致」おわり)
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2023年10月05日

とにかくつけた

古い、古〜い、ビル。


昭和40年代か、50年代か、そのくらい?
わからんけど。


そんなビルにも、エアコンは設置されているようだ。


23100501.JPG


もちろん、当初からあったわけではなくて
後付けであろうことは想像に難くない。


後付けだからして、
室内から外壁を貫通して出てきた冷媒管やらドレン管やら
そのまんま、外壁を這っている。


屋上に置くしかなかったのだろう室外機に向けて
微妙にうねうねと伸びていく、冷媒管やケーブル。


ビル外壁の劣化具合に紛れて
それほど目立たないんじゃないかな。



部分的に、窓外に据えられた室外機に行く冷媒管は
窓ガラスを貫通させてあるようだ。


23100502.JPG


かと思うと、上の階の室外機は屋上にあるようで。


外壁から突出する電線管類は、
かつて電線地中化をする前に引込線が導入されていた場所かな。



建物は結構長い期間にわたって使用されるのであるが
そこに取り付く建築設備は時代とともに変わっていくし、
10年20年先にどのようになるかは、
想像しづいらいものであったりする。


後で必要になったら、
都度、何とかして取り付けるしかなかったりする。


「とにかく、つけた」感のある「せつび」が
なんとも愛おしかったりするのだ。


見た目の良し悪しはともかくとして、ね。
(「とにかくつけた」おわり)
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2023年10月03日

冷輻射という選択肢

木架構の建物に据えられた、パネルヒーター。


23100301.JPG


パーテーションっぽい、仕切りっぽい、
そんなサイズの、ルーバータイプの製品。


上部をどのように支持するのか、
なかなか悩ましいかもしれない。


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ちょいと特殊な架構形式だから、
まあ、仕方がない。



下部は、こんな感じ。


23100303.JPG


水滴がたくさん。
滴っている。


このパネルヒーター、冬は温水を流して
暖房用に使用するのだけれども
夏は冷水を流して、冷房に使用する。


冷輻射タイプの冷房装置なのだ。


パネル表面が低温だから、
室内空気中の水蒸気が凝結して滴るのである。


冷たいコップ表面の水滴と同じである。



下部には、水滴を受けるための皿構造が設けてある。



もちろん、ただの皿であったなら
じきに溢れてしまうから
ちゃんと排水口も設けてある。


23100304.JPG


目皿が浮いているのは、
結露受けとの間に隙間があるのは
大丈夫なのかしらん。

ま、周囲の床が濡れてないところをみると、
大丈夫なんでしょ、きっと。



たいそう蒸し暑い夏の日、
この放熱器が置いてあることでガンガン除湿され
それほど室温が低いわけでもないけれど
爽やかな涼感が広がっていた。



エアコンで、あるいはエアハン経由で、
あるいはファンコイルを通して、
冷風をひたすら送り込む冷房にしか
普段お目にかからないのだけれども
この「冷輻射」っていうのは、なかなか良きかな。



このご時世、冷水を造って送るっていうのが
なかなか面倒に思われたりするけれど
(何でもかんでもパッケージエアコンだから、ね)
なかなかどうして、冷輻射ってスゴい。


建築士製図試験御用達の、
空冷ヒートポンプチラーで冷温水を造るくらいなら
まあまあいけるでしょ?



ただ、パネルヒーターも結構高いしね、
「コスト」で考えちゃうと、選択肢から外れちゃうんだよね。

コスト以外の価値を、どのくらい見いだせるか。



やっぱり体感するのが、いいように思うんだな。


百聞不如一感。
(「冷輻射という選択肢」おわり)
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2023年10月02日

学校にエアコン

衣替えの暦もやってきて
ようやく、辛うじてようやく、
猛暑もおさまりつつある今日このごろ。



余りにも、あまりにも厳しい暑さであったために
(もっとも、このところ年中行事のようにもなっているが)
学校にエアコンを設置する、という需要が爆上がりである。



比較的標高の高い山間地や東北北海道など
「冷涼」と言われた地域でももはや生存必需品といわれるばかりの
存在となりつつある、エアコン。



ただね、一般の方々にとって「エアコン」というと
6畳間に取り付けるような、壁掛けのルームエコンなんだよね。


「たかがエアコンをつけるのに、
 なんで何千万も何億もかかるんじゃ!
 ヤマダ電機に注文すれば、はるかに安く買えるじゃないかっ!
 建設会社を設けさせるための、馴れ合いじゃぁ!
 汚職じゃぁ!
 市長、辞めろぉ!」


そんなケッタイな抗議が入るところもあるとか。


家電量販店で5万円くらいでエアコン本体を買ってくれば
それで使えると思ってるのかしらん。

というか、何にも考えていないんだ。


そもそも、住宅用の製品とは必要な能力が違う。

部屋の面積が違う。

児童生徒の人数が違う。
1人あたり約100ワットの発熱があるんだから
30人いたら、人体発熱だけで3キロワットだ。

照明の数も違う。
最近はLED化されているとはいえ
住宅の照明とは、数や総発熱量がぜんぜん違う。

日射負荷も、違う。
旧基準で建設された校舎は、
天井が高く、窓面積も多い。
カーテンを引くにしても、差し込んでくる日射負荷は
相当な熱量になっている。

蓄熱負荷も、違う。
鉄筋コンクリートの塊である校舎と、
木造の住宅とを同列に語ることなんかできないのだ。

そもそもね、
鉄筋コンクリートの古い校舎なんて、
下手したら無断熱だったりする。

たといあったとしても、
現代の省エネ基準とくらべたら
無いに等しい、貧弱なものだ。

とにかく、住宅なんぞに比べると
格段に大きな能力を必要とする。



設置するとして、室内機は一体、どこに置くか。


23100201.JPG


ふさわしい場所が、必ずしも見つかるとは限らない。

少子化に伴って1学級の定員が減っているら
1クラス45人だった頃に建った校舎であれば
面積的に、ある程度余裕があるかもしれない。

床を効果的に利用しようと思うなら、
天吊で設置することも検討の俎上に上るだろう。
が、吊る元となる躯体強度は大丈夫か?
なんていう懸念も生じてくるかもしれない。



室外機は、どこに置くか。


23100202.JPG


室内機の極力近くに、
すぐ外に置くのか。

1階なら、すぐ外の地面に置くのか。

2階以上なら、どうする?
ベランダ的な構造があれば、そこに載せる?
台数が多い場合、構造的にもつ?
たいてい、片持ち構造だろうからね。

屋上に並べる?
重たいものをズラッと並べたとして、
躯体の構造強度は大丈夫?



室内外の機器を結ぶ冷媒管は
どんなルートで通せば良い?

壁や窓や床を貫通させて通すことに
支障はない?

防火区画処理とか、開口部補強とか、
必要にならない?

梁とか柱とか耐震壁とか
そもそも通せない場所を避けて計画できる?



そして、これだけのエアコンを取り付ければ、
使用する電力も、ものすごく多くなる。

となれば、既存の電気設備ではぜんぜん足りないのだ。



電力引き込みから、やり変えなければならない。

トランス容量だって足りっこないから、
受変電設備も大改修あるいは総取り替えだ。


それ以降の幹線ケーブルも、
既存系統とは別に確保して、
冷媒管同様に、通せるところを吟味しなくてはならない。



そんなこんなを、
現地調査して、既存状況を確認して、
条例も含めた法規チェックなどもおこなった後に
負荷計算、空調機容量計算、受変電容量計算、幹線ケーブル容量計算、
構造計算、二次部材の強度計算、その他もろもろの計算をして
電気設備・空調設備・構造補強・内装仕上等の解体補修の計画を進める。


既存撤去のための図面群と、改修用の図面群を整備して
各種積算基準に則って積算し、見積を徴収し、
公共工事として発注するに足る設計図書をまとめあげる。



設計料だけで、結構な費用になるのだ。
人海戦術、時間と手間を大量投入しての作業になる。



そうやって算出した予定価格を元に、
工事の入札を行う。
議会案件になることもしばしばである。



「ケーズデンキの在庫一掃処分でいっぱい買ってくれば済むだろ?」


そんなわけには、いかないのである。

そんなことをいくら説明しても
「難しいこと言って誤魔化そうってったって、
 そうはいかねぇぞ!」
ただただ「高すぎる」「役場と業者の馴れ合い」という
強烈な思い込みに凝り固まった人には、届くことはない。

可哀想なのは、それを担当することになってしまった
役場の職員だよね。


正当な主張ならいいんだけれども
ただの言いがかりでイチャモンをつけるようなクレームばかりだと

「じゃあ、もう、エアコンつけるの辞める」

そうなってしまったら、どうすんの。

「ワシらが子供の自分にはなぁ、エアコンなんてものは無くってなぁ、
 それでも元気に走り回っておったんじゃよ」

時代が、違うんだよ。

気候も、違うんだよ、確実に。



ま、とにかく、大変な攻防が、
今もなお、全国各地で繰り広げられていることだろう。

ご愁傷さま。



ただね、更に困るのは、設置工事が終わったあとなんだ。



設置費は議会で通るのだけれど、
これから後、未来永劫かかっている維持費が
従来からの緊縮財政で絞られたまま……なんていることも
あるんじゃないだろうか。


それじゃあ、ダメなんだ。


「わが校の電気代が厳しい状態になっているから
 エアコンは極力使用しないでください」

事務長から、通達が出かねない。



自動車だってそうでしょ?

初期の購入費用だけじゃないでしょ?


日々の燃料費、
時々の点検整備費、
故障時の修理費、
車検や税金や自賠責などの法定費、
法定じゃないけど必須の、任意保険料。


維持運用するためには、
それなりの費用がかかるでしょ?



だから、設備設置費だけOKして
運転費を却下しては、ダメなのだ。
それじゃ、意味がないのだ。



かつて、ワタクシが通っていた学校にも
冷房があった。

しかも、パッケージエアコンじゃなくって、
今思えば、冷凍機と冷却塔とエアハンを擁し
ダクトを経由して各室に冷風を送る、
本格的な冷房システムであった。



年がら年中航空自衛隊の練習機が飛ぶため
窓を開けていたら授業が成り立たないから
でも夏に窓を締め切っていたら暑くて仕方がないから、
防衛庁の補助か何かで設置されていたようだ。

今思えば。



けれども、その冷房装置は
普段は決して使われなかった。


いつも、爆音の中で窓を全開しての授業であった。
もちろん、爆音中は、何も聞こえなくなる。
訓練飛行時間中の授業は、授業にならなかった。


年に1日、夏休み中に、
試運転されるだけの存在であった。
その日の部活だけは、涼しかった。


なぜ?


設置費は出たけれども、
維持費の出処がなかったから。


何のために設けたの? 冷房装置。

意味ないじゃん。



こういうのを、
縦割り行政の弊害による無駄遣いって言うんじゃないかな。



ここ数年、全国各地で大慌てで整備されている、エアコンたち。

キミたちが稼働するための費用は
ちゃんと確保されているんだろうか。


「電気代が高くついちゃったから、
 使っちゃダメよ」

そんなご無体が、まかり通っていやしまいか。

なんとなく、まかり通ってしまっているような気がするのだけれど。


その結果、少なくない費用を投じて設置されたエアコンが
あまり活用されることなく、
熱中症の児童生徒職員を量産しつつ、
ただ、置物と化している……。



そうならないことを、願いつつ。
(「学校にエアコン」おわり)
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2023年09月28日

足元ぬくぬく

窓際に(しつら)えられた、木製カウンター。


洒落た木の椅子とともに
また、窓外に広がる景色とともに
良い空間を形作っている。



そして、足元には温水パネルヒーター。


23092801.JPG


寒い時期であったとしても、
足元が温かいので
落ち着けるのである。



ヒーター用の温水管は、
壁の向こうのパイプシャフトからやってくる。


23092802.JPG


トイレもあるから、
給排水など衛生配管と一緒なんだろう。



カウンターの無い部分にも
壁沿いにヒーターが設けてあって、
でも通路であって人が座るわけじゃないから
頭上のブリーズラインでもって
窓面からのコールドドラフトを緩和している。


23092803.JPG



木材をふんだんに使った造りであるが、
これが5年10年と経ったときに
どんな感じになっているか。



木材って、新築の時にはキレイなんだけれども
時とともに劣化加減が目立つように思うのだ。

外装材は、特に。



それでも、
足元が温かいのは
寒冷地では大切なことなのた。
(「足元ぬくぬく」おわり)
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2023年09月12日

並ぶ室外機

高架下に並ぶ、室外機。



壁面をスリムダクトが這い、
プルボックスから電線管も伸びる。


それなりの容量の室外機たちである。


23091201.JPG


高さ50cmくらいだろうか、
室外機は皆、架台の上に載せられている。


積雪を考慮したものなのであろう。



が、一方で
オプション部品としての防雪フードは設けられていない。



高架下だから、それほど吹き付けないだろうという目算なのか
費用的にやめておいたのか
職員が都度除雪するからねということなのか
その理由は計り知れない。



とにかく、ここに室外機たちが並んでいる。



室内機が設けられている室が並ぶ
メインエントランスとは反対側、
普段ならば誰も気に留めない
視界に入らない場所である。



道路沿いではあるのだけれど
室内と、これら室外機とを関連付けて意識する人が
一体どのくらいいらっしゃるものか。
(「並ぶ室外機」おわり)
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2023年09月04日

仮設間仕切り中だから

施設内の一部を、改修工事中のようだ。


それで、仮設間仕切りが設けてある。


23090401.JPG


工事場所に空調空気を送っても仕方がないから?

壁面のノズルは、取り外してある。


3分の1くらいかかってしまっている吸込口は
まあ、仕方がないよね、ということで
そのまま?



何の改修をしているかがわからないから、
ノズルを外してしまう必要があるのかどうかわからない。


でも、わざわざ外してあるからには
そうせざるを得ないのっぴきならない理由があったに違いないのだ。

誰も好き好んで、ノズルを取り外すわけはないのだ。


なぜなのか、
気にはなる。


夜も眠れないほどじゃ、ないけど。
(「仮設間仕切り中だから」おわり)
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2023年08月30日

目隠しか保護か

間口の狭い店先だから、
室外機はここに置くしか選択肢が無かった。


23083001.JPG


そういうことなんだろう。



ただ置いてあるだけではなくて
ご丁寧に、木枠で囲ってしまってある。


配送のモノやらお客さんやら
ぶつかって危ないから
保護のためにガッチリ固めたのか。



それとも、室外機なんてみっともないものを
少しでも視線から隠したかったんだい、
という意識があったものか。



まあ、前面の排気ファン部分だけは開口されているから
冷暖房機能上は、まあ、支障は少ないことだろう。


メンテとか修理とかが必要になったら
釘を引っこ抜いてバラせば、まあ、対応は可能だわな。

あるいは、上にすっぽり抜ける構造になっているのかな。



「保護」なら、まあ、わらかないでもない。

が、頑丈すぎやしないかな。



「目隠し」なら、どうだろう?

却って、目立たせてしまっていないかな?



ほんとうは

「ほら、カワイイ室外機だよ。見て! 見て!」

目立たせるためのディスプレイだったのだ!!



なんてことは、無いよねぇ。
(「目隠しか保護か」おわり)
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2023年08月23日

アーケード街の室外機

商店や飲食店が並ぶ、アーケード街。


上を見上げると、
2階部分にエアコンの室外機が据えてあった。


23082301.JPG


窓の外に据えるために
鋼材を上下に渡してある。


そして何より、この色である。



標準のアイボリー系ではなくて
この色の製品を選択したのであれば、
素晴らしいなと思う。


こういう心遣いは、欲しいよね。



ただ、もしもこの色に塗ったんだったとしたら
製品の性能だとか、メーカー保証だとか
そんな部分で難点があるかもしれない。

それは、あまりおすすめしない。



メーカー仕様でも、何色か選択できる色があったりするが
それほどバリエーションは多くないだろう。


カタログ等に、わかりやすく、

「この部分は好きに塗って大丈夫ですよ。
 塗料は○○系の△△という製品を推奨」

「この部分には塗装しないでください」

そんな図示があっても良い気がするんだ。


そしたら、かなり、満足度(特に意匠屋さん)が
上がるんじゃないかと思うのだ。


メーカーさん! よろしく!!
(「アーケード街の室外機」おわり)
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2023年08月09日

室外機が並んでる

1000室を超える、大量の客室を有するホテル。


その廊下の窓から、ちょいと見えたもの。


23080901.JPG


わお。


吹き抜け部分に、各室用のエアコン室外機が
並んでいるんだね!


中央式にしちゃうと、
機械がトラブったときに全室に影響が出かねないから
ルームエアコンで完全個別式にした、
ということなんだろう。

その室だけ運用停止すれば
他の室には影響が出なくて済むという算段。


ま、一つの考え方なのだ。

カラオケボックスとかと、一緒なのだ。



各階に、キャットウォークががっつり作ってあって
いつでもどこでも作業ができるようになっている。

ある意味、徹底しているのである。



消火栓箱が写っているのは、ご愛嬌。
廊下のガラス窓越しなので
映り込んでしまった。



そんなに広くはない吹き抜け空間に造られた
密やかな、裏動線。


23080902.JPG


防犯上の対策は、
しっかりあるんだろうな、きっと。



それにしても、
感動的な設備メンテナンス空間なのであった。



ホテルチェーンの建物だから、
過去のいろんな事例から、
こういうモノが必要だという認識があるのだろう。


何の予備知識も経験もなく新築するなら
こんなところにはたぶんカネをかけないだろうと思うから。

そもそも、こういう発想が出てこないと思うから。



結局ね、建物も突き詰めていくと
「設備のメンテナンス」という部分に
目を向けざるを得なくなるのだと
小さな声で主張してみようかな。
(「室外機が並んでる」おわり)
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