2021年09月19日

木造の天井内は梁との闘いだ

木造の建物が増えてきた。



住宅はかねてより木造が多かったのだけれども
中大規模の建築物にも採用されるようになってきた。



木造耐火建築物なんかも定義されて、
大規模な庁舎や、高層の共同住宅なども
企画されるようになってきた。


国の政策 として、木造化率を高めようとしているということだ。



林野庁でも 説明 されている。



さて、そうなると建築設備においても木造建築物とのコラボが
多数生じてくるわけである。



従来であれば、木造戸建住宅、
あるいはせいぜいアパート程度の小規模共同住宅くらいでしか
採用の無かった木造。


ほぼ「設備設計」など行われず、プロット図だけを元に
水道屋さんや電気屋さんが状況に合わせて施工していた。



けれども、中大規模の木造建築物が建てられるようになると
それに伴って「設備設計」「設備施工」が
今までRC造やS造との付き合いしかなかったようなワタクシのような者にも
関わりを持ってくるようになってきたのである。



RC造とは、機器類や配管類の納まりが大きく異なる。

月刊建築技術6月号でも 記事 になっていた。



何が違うって、一番大きいと感じるのは、梁との付き合い方であろうか。


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RC造やS造であれば、梁貫通という手法が通用する。
構造の梁成に応じて、ある程度の貫通孔を設けて
そこに配管やダクトを通すことができる。



しかし木造の梁の場合には、基本的に貫通ということができない。


よって、梁下に通すか、梁を横断しない形の納まりにするか、
どちらかになる。


梁下に通す場合には、天井高にも影響してくる。


RC造マンションやS造事務所ビルのように、
梁貫通でダクトを通しまくって階高を抑えるなんていうことは
できなくなるのである。



上の写真、梁下ギリギリを狙って、冷媒管とドレン管とを通している。
電力ケーブル類は、梁下をまたいで通している。



梁の形状は、コンクリートに比べると縦長だ。


梁の間隔も、RCやSよりも狭く、本数が多い。
よって、納まりの制約も多くなってしまうのだ。



木造ゆえ、下地も軽量鉄骨ではなくて木材だったりする。

となると、PSの造作も木材で行われることになる。


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ドレン管と冷媒管が通るだけの、ちっちゃいパイプシャフトだけれど
とにかく何らかの囲いを設けるにもこんな感じになる。



機器を吊る場合にも、RCスラブやデッキプレートからの
インサート金物やアンカーからというわけにはいかないから
木材に打ち付けた鋼材から吊り棒を吊ることになる。



とにかく、梁成が納まりを支配することになる。


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木造架構の構造計算とのやりとりが、RCよりも大変である。



梁成が小さい部分や、天井が下げられる部分だと
少〜し納まりが楽になるけれども。


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これからは、確実に木造の建物の規模が大きくなる。
高層建築物も、増えてくる。


だから、設備業界も追いついていかなくてはならない。

設計者も、施工者も。



RC造やS造とは、全く別の論理がそこにあるのだから
油断しているとなかなか大変なことになってしまう。



なんて、周回遅れのような記事を書いているようじゃ
ワタクシも底が知れているということなのだけれど。

(一応、今までもいろいろ木造には触れちゃいるんですけどね)
(「木造の天井内は梁との闘いだ」おわり)
posted by けろ at 23:34| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月17日

道路工事の舗装仮復旧

道路って、やたらと掘ったり埋めたり、掘ったり埋めたり、
いっつもそればっかり。

公共工事費の、税金の無駄遣いだ!

土建屋の利益確保のための忖度だ!
(「忖度」なんて言葉が誰でも読めるような時代になってしまった……)

特に年度末に道路工事が目につくぞ!
余った予算を、血税を無理に消化しようとしてるんだろうっ!
けしからんっっっt!!!



一般の人々にとって、
建設業っていうのはそういう目で見られがちではある。



確かに、あちこちで道路を掘っている。
どうして何度も何度もおんなじ所を掘ったり埋めたりしてるんだろう。


ま、そう感じてしまうのは仕方がない。



ちゃんと工事看板を見ていれば読んでいれば
それぞれが水道工事であったり、下水道工事であったり、
ガス、電話、電力、共同溝、道路そのものの補修など
目的が異なっているのに気づくはずなんだろうけれど
一瞬通り過ぎる際にそこまで気にすることは普通は無い。


せいぜい、「前にもここ掘ってなかった?」
漠然とした印象が残るだけであって、
結局上のような感想が出てきてしまうのも致し方ないのかもしれない。



これらのインフラが常にメンテ・更新されていて
正常に保たれているからこそ都市生活が成り立っているのであるが
そういうのは普段目にすることはないから意識されない。



景観云々を重視して無電柱化促進を喜ぶ人であっても
それゆえに生じる道路工事には文句を言っていたりすると
本来的には自己矛盾なのであるが、
それらの関係性を理解していなければ別物として意識してしまう。

ある意味、仕方のないことと言えようか。



ちゃんと現実をしっかり見て、正しく理解したうえで批判しようよ。
ただイチャモンつけてるだけじゃ、
無意味だし時として害悪でさえあるんだ。


なんて、言うのは簡単なのだけれど
あまり自分自身にとって馴染みの無い分野については
「正しく理解して」批判するなんてことは、大抵出来ない。



世の中、そんなものだ。多分、ワタクシ自身もそんなもんだ。

報道でガンガン批判されていることの一部には
そういう不当なものも含まれていることだろう。

下手に反論しようものなら、更なる集中砲火を浴びることになるから
不用意に釈明さえできなかったりしそうだ。


故あっての正当な「炎上」ももちろんあろうが、
不当な「炎上」も、多々あるのは皆様ご存知の通り。

ひょっとすると、ご経験された方もおられよう。


特に、自分の普段関わっていて詳しい分野について
自称「専門家」たちが発する無責任な放言や
自称なだけで殆ど素人だろお前、っていう偉い方々の御高説に
あるいは本当に無知なタレントたちによるしたり顔の言説に
辟易とすることは無いだろうか?



ま、でも世の中そういうものなんだから、仕方がない。
そうである前提で過ごすしかないのである。


それでも、何とかして印象を良くしたいと
なるべく負のイメージを薄くしたいと、
各界で涙ぐましい努力が今現在も続けられているわけだ。



さて、掘ったり埋めたりを繰り返すと言われる道路工事。
実際には「道路」じゃなくて「水道」だったり「下水道」だったりする工事。


こんな仮舗装表示を見つけた。



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発注者のイメージキャラクター なんだろうね。


どうかな。


少しは、イメージ変わるかな。


仮囲いやバリケードも、そういったイメージアップ戦略の一部なのだ。
工事費積算の項目に、そういう費目があるくらい、
業界全体として(発注者も含めて、である)長年取り組んできた成果が
現れていたり、まだまだだったり。
(「道路工事の舗装仮復旧」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月13日

外壁に並ぶ設備は必要なのか

外壁は、建築的には外界と室内とを隔てる役割を持つもの。

雨風をしのぎ、
日射を遮り、もしくは取り入れ、
断熱材によって、熱の出入りを緩和して
主として人間が過ごしやすいように
外界から室内を遮断するための存在である。



これらの機能を果たすために、
コンクリートあるいはボードが屹立し、
適度に窓ガラスが配置され、
防雨、防湿の措置が取られ、
断熱材が、近年であればかなり厳重に施工される。



「ケンチク」的には以上がすべて、なのかもしれない。



しかし、室内環境を整えて快適に過ごせるようにするには
「せつび」の出番が必要となるのだ。



室内の温度が快適範囲から外れているのならば、
暖め、あるいは冷やす。

現象としては、どこからか室内に熱エネルギーを運んでくる、
もしくは室内の熱エネルギーをどこかに捨ててくる、
そういう事になる。



湿度が不快域にあるのであれば
加湿し、あるいは除湿する。

室内空気中に水分子を気体の形で補給するように
さまざまな方式による加湿装置を設け、
あるいは余計な水分子を除去すべく、
排気、吸着などの手段を講じる。



臭気、二酸化炭素濃度、粉塵濃度に不都合があるならば
換気という手段により空気そのものを入れ換え、
もしくは浄化して、それらを許容範囲内に収めるようにする。



これらの機能を果たすために、
外壁を貫く、さまざまな「せつび」が存在していて、
熱を、物質を、空気を、
さまざまな方法によって運搬している。



とある施設の外壁。


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窓の上に並ぶ丸い板は、
換気口に設けられた防風板である。

目視でその別を判定しづらくはあるが、
給気口あるいは排気口として、
外界と室内との空気をやり取りするための貫通孔である。



窓と窓との間の下部には
おそらくFF式温風暖房機用と考えられる
給排気トップが並ぶ。


室内空気質調整のための換気に資する孔ではなくて、
燃焼式暖房機用の燃焼空気を取り入れ、
燃焼後の廃ガスを排出するための孔である。


あの小さな部材のうちに、
外気取り入れ口と排気口とが設けられていて
しかもそれらがショートサーキットしない造りになっている。



更には、壁掛で並ぶ、エアコンの室外機。


室内に設置されている室内機とセットとなっていて、
それらの間を、HFC冷媒用の配管で接続してある。

室内を暖房する際には、
屋外空気中の熱エネルギーをこの室外機にて回収し
室内に送り込む。

寒い、冷たい外気から更に熱を搾り取って、
外よりは暖かいであろう室内を更に暖めようとする。

熱を低いところから高いところに運ぶので
「ヒートポンプ」と呼ばれる。

冷房の際には逆で、
室内の余計な熱エネルギーを冷媒で回収して屋外に運び
大気中に捨てる働きをする。



「こういう換気フードを、見せたくないんだ」

「室外機を並べちゃったらみっともない」



そう考えるなら、室内と屋外とを結ぶシステムを変えて
外壁に並ばないような方式にしなくてはならない。


あるいは、屋上へ。

あるいは、裏面へ。

あるいは、少し離れた換気塔へ。


もしくは、空気熱源ではなくて、
水熱源のヒートポンプにするとか。



外壁に、何らの「せつび」も見えないとすると、
それらは別の場所で、別の形で屋外と室内とを連絡している。

当然、費用は余計にかかるのだから、
建設費を安く上げたいなら、目につく設備が並ぶようになるし、
カネに糸目をつけなければ、それらが目につかないようにもできる。


設備の沙汰も、金次第なのである。
(「外壁に並ぶ設備は必要なのか」おわり)
posted by けろ at 10:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月01日

煙突と屋根と

熱源を置く建物は、多い。

というか、冷熱源、温熱源と、大抵の建物には
熱源があるはずだ。



最近は空気熱源ヒートポンプ(いわゆるエアコン)が多いところではあるが
燃料を燃焼させるタイプの熱源もまた、多くある。



ちょっとした工房に、やはり燃焼系の熱源が据えてあるようだった。

ようだった、と言うのは、中に入って確かめたわけではないから。



でも、外観を見れば、さもありなん。


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建物の脇に、鋼管煙突が立ててあるのだから
あるに違いないのだ。



煙突の下部に、灰出し口がある。

どうしても灰が溜まってきてしまうから
下から掃除できるように。



屋根は片流れなので、積もった雪が落ちてくる。

建物からの熱放射や日射によって、雪が溶かされ、
冷気で再凍結して、塊となって落ちてくることもある。

そんな時、煙突もろともなぎ倒してしまったら大変だ。



だから、屋根には「雪割り」が設けられている。



煙突の向こう側にある三角の突起が、それだ。



もうちょっと斜めから見たほうが、わかりやすいかな。


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積雪寒冷地では、
煙突周囲にこんな雪割りがついている屋根を多く見かける。


行く機会があったら、
ぜひ観察してみていただきたい。


コロナが何とかならんと、
なかなか出歩けやしないけれど。



でもさ、旅行とかじゃぁなくって、
仕事上已むを得ない場合だって少なくないでしょ?


そんな時、せっかく行くなら
人が密な土産物屋や、
どんな宣言が出ようがそれなりに人が集まってしまう観光地ではなくて
人気(ひとけ)の少ないところを、建物を眺めながらぶらぶら歩いたら
いろんな「せつび」を発見できて、楽しいはずなのだ。
(「煙突と屋根と」おわり)
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2021年08月31日

札幌芸術の森美術館

北海道の道都、札幌市の南区に
芸術の森 という場所がある。



工芸、陶芸、クラフト、美術、音楽など
いろいろな芸術の拠点として造られた場所である。


隣接地には 札幌市立大学デザイン学部 のキャンパスも立地していて
総合的なアート・エリアとなっている。



当然の如く美術館も存在している。

札幌芸術の森美術館
札幌芸術の森野外美術館
佐藤忠良記念子どもアトリエ

などの展示施設があるのだが、
ゆえあって 美術館 のほうに行ってきた。



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前面に水面を配した造りで、
「森」と呼ぶだけあって豊かな緑と(時々クマも出没するという)
青い空、白い雲、美術館それぞれが水面に映り
透明感を醸し出している。



池に沿って歩くことができるようになっている。


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手は入れているようだが、築年数に応じた古さを感じなくもない。



メインエントランスを入って、展示室に向かう通路は
両側をガラスで覆われた渡り廊下型式になっている。


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冬は、寒いだろう。

だから、ガラス上部の折り上げ天井部分から
温風が吹き出すようにでもしれあるに違いない。



見てみたら、ほら。


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間接照明とともに、ブリーズラインが配してある。

そうじゃないと、ガラスが結露して外が見えにくくなるだろうし。



ガラス越しには、先ほどの池を見ることができる。


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反対側は砂利敷の中庭になっていて
この部分にも展示物を配することがあるようだ。


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撮り忘れたけれども、
展示用の出入り口とか、展示物電源用の分電盤とか
そういうものもしっかり設けられていた。


今どきの展示物は、電源を必要とするものも少なくないだろうから。



エントランスの脇には、小展示室もあるのだけれど、
そこは明るくて、天井面が良く見えた。


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グリッド状に配した天井仕上材に合わせて、
でっかいノズルや照明器具、スピーカーなどが
きれいに配置されていた。



「美術館」は、一級建築士試験の製図課題として
ときどき題材となるものだ。

展示品以外にも見どころがいろいろあって、楽しい。


展示品と建物そのもの、二度美味しい美術館は
ワタクシにとってコスパの良い施設の一つである。



事情がゆるすなら、
外周回りも見てみる。

だって、いろいろ置いてあるから。


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ずいぶんと頑丈そうで背の高い、
コンクリート製の基礎というか架台というか。

その上の鋼製架台や、電源ボックス、スリムダクト、
防雪フードなど、見るべきものが多い。


この製品は「ズバ暖」であった。

三菱電機の寒冷地向けエアコン である。

気温の低い冬期の外気から無理やり熱エネルギーを搾り取って暖房できる
そんなエアコンだ。


各社、寒冷地向けエアコンの開発に力を入れていただいたおかげで
今や北海道でもエアコンだけで冷暖房がまかなえるようになった。

(それでも、氷点下20℃に達するような地域では、ちょっと厳しい)



三菱電機なら「ズバ暖」だけれども、
ダイキンは「スゴ暖」
日立の場合は「メガ暖」
東芝では「暖太郎」
パナソニックだと「フル暖」

各社、よく考えつくものだ。
(「札幌芸術の森美術館」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月23日

コンビニの裏側のせつび

ほんとうにたくさんある、コンビニ。

いろんなブランドの店舗が、そこいら中にひしめき合っているかのよう。

結構な田舎に行っても、たいていある。
そんな、コンビニ。


しかし、歯科医院はそれ以上にあるとも言われて いて
かなり競争が激しいのだなぁと驚いたりして。


いやだが、本日のテーマはコンビニなのだ。歯科ではなく。



何やかや、コンビニは利用する。
あのコーヒーは、コスパがすこぶるよろしい、と思う。


まあ喫茶店という店舗には、そもそも「飲む」という事以上に
「滞在する」という価値があるのだから
金額だけで優劣をつけるべきものでもないのだが。



消費税増税前は、各店で競ってイートインコーナーを作り
集客を図っていたものだ。
そして、そこであのコーヒーを喫すれば
なんちゃって喫茶店として結構なコスパなのであった。
Wifiつながるところもあるし。

けど、軽減税率云々の駆け引きの結果として
せっかくの投資が無駄になった店舗がそこここに。


そして更にコロナ禍が追い打ちをかけ、
デッドスペースと化している店舗を多数みかけるようになった。



各店舗は、そのチェーンごとにひと目で分かる看板や内外装、
商品のラインナップで特徴づけられるのだが、
裏側にまわると、その違いはあまり見て取れなくなる。



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右隅にちょこっと写っている三色が無ければ、
どのチェーンの店舗なのか、判別できないのではなかろうか。



店舗調理スペースの排気は、屋上まで立ち上げてある。
外壁からそのまま出してしまうと揚げ物やら何やらの匂いがたちこめて
鰻屋よろしく集客につながるかもしれないけれども苦情も来そうだ。


フツーの換気は、そのまま深形フードから行っている。


狭いところに、FF式の給排気トップがくっついている鉄箱。
その裏の消火器や灯油タンクが示すのは、
灯油焚きの温水ロードヒーティングを行っているということだろう。


現代のコンビニは、駐車場を確保してこそである。
積雪に埋もれてしまって車両が入ってこれなくなると
売上機会の喪失に繋がる。

と言って、ワンオペ、ツーオペのアルバイト店員が必死で除雪したのでは
店舗業務が回らなくなる。

近隣の重機所有業者に除雪を委託しても良いけれど、
ドカ雪が降ったときにはどこでも早く除けてほしいから
この店だけが優遇される理由もなし。

となると、スイッチオンだけで動く温水ヒーティングが適していると言えよう。


積雪期だけの稼働なのだけれども、
必要なものは必要なのである。



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屋上には、各種室外機。

冷暖房エアコン用のものだけではなくて、
冷蔵ショーケース、業務用冷蔵庫・冷凍庫の分もあるから
結構な台数が乗っかっている。


これも、敷地に置くか、壁掛けにするか、屋根に置くか、
いろんな制約のもとで何とか最善を考えたのであろう。


屋根に置くと場所を取らずに良いのだけれど、
ドカ雪が降った際にも簡単に除雪しに行けないという難点がある。


雪に埋もれ、しかし陽は当たる、しかも氷点下の日が数日続くと
室外機全体が氷結しかねない。
だからほんとうはすぐ異常を見つけて雪を払ってあげられる位置のほうが
望ましいのだけれど。ま、「せつび」の都合なのだが。



チェーン店の店舗は、ゼロから設計しなくても良いように、
ある程度規格化された標準図的なものがあるのだろう。

けれども、土地の条件により、地域の気候により、
近隣の状況により、必ずしも標準どおりにはいかない部分があって、
そういうのを適切に調整して建てなければならない。


しかも、迅速に、格安に。


だから、多少気になる部分があったとしても、
仕方がないものなのだ。


このたぐいの建物には、完璧を求めるべきではないのだ。

そういう目的のものではないのだから。


多少の当たり外れは、仕方がないのである。
(「コンビニの裏側のせつび」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月21日

Uダクトかな

どんよりとした夕暮れ時、
だいぶ年数を経たと思われる、集合住宅の脇を通りかかった。


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フード付ベントキャップなどというものが使われるようになる前の建物。



屋上から、煙突様のモノが生えている。


あれは、何?



暖房用の集合煙突、かもしれない。



でも開口部が3ヶ所ある。
ただの集合煙突なら、1ヶ所で良かったはず。



じゃあ、何だろう。


中に入っていないからわからないけれども、
1つは各住戸のストーブ用の集合煙突として、
あと2つは給湯器用のUダクトかもしれない。


今どきのようなFF(強制給排気)式の優秀な給湯器が無かった時代、
FE(強制排気)式の壁掛給湯器を洗面所か台所脇に置いて、
その裏になる部分に各階住戸兼用のDS的なものを造っていた時代があった。


ただの煙突状だと排気の流通が悪いから、
上部2箇所に開口を設け、下部をつなげた「U字形」のDS、
「Uダクト」などと呼ぶ縦の構造があったのだ。



そんなやつ、かもしれない。

でも違うかもしれない。



または、昔はUダクトとして使っていたけれども
現在は何も接続されておらず使用されていない、
ということもあるかもしれない。



令和3年の一級建築士試験の「設計製図の試験」の課題は
集合住宅 ということなのであるが
こんな古いタイプのものを描いちゃ、だめなんだろうね。
(「Uダクトかな」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月20日

並ぶスイッチ

何でもかんでも、スイッチやリモコンで操作する。

操作する対象がいろいろあると、

壁面が賑やかになってくる。



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何がなにやら。


初見では、わからなくなりそう。


左からエアコン、照明、換気、放送、換気、の順だろうか。



タブレットで 全部まとめて操作できるように なんていうものも出ているけれど
わかりやすさ、単純さが無いと、ぱっと見使えないかもしれない。


スマホで操作できたり、遠隔で操作できたり、というものも出ているけれど
それを乗っ取られたらどうなるんだろうとか、
設定変更や接続・解除は簡単にできるんだろうかとか、
イマイチ簡単さに欠ける気もする。


今は過渡期かな。
(「並ぶスイッチ」おわり)
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2021年08月14日

岡女堂は生産地で

「岡女堂」をご存知だろうか?



「豆屋」を名乗っている、岡女堂である。




明治維新前の安政2年にぜんざい屋として創業した後、
甘納豆屋を代々続け、豆全般を扱う店として現代に至っている。


昭和の終わりに、それまでの所在地であった神戸から、
豆の生産地である北海道十勝地方の本別町に工場を建て
現在に至っている。



今でこそ「地産地消」という言葉が普通に使用されるようになっているが
当時はそういう概念がまだ薄かったのではないだろうか。


そんな時期に、時代を先取りした岡女堂なのであった。


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岡女(おかめ)堂なので、イラストも「おかめ」である。


平成の元号を丸々過ごした建物は、
それなりの年季を感じさせるものとなっていた。


国道側はあとから整備したので、比較的キレイである。


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工場直営の売店が開いていて、
各種豆製品を購入することができる。



豆を蒸したりするボイラーか何かであろうか。


三連の煙突が、可愛く並んでいた。

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片流れ屋根の軒先で
思いっきり雪で破損しそうな位置ではあるが
そうだ、十勝は積雪が少ないのであった。

気温はかなり低くなるけれども。


豪雪地であれば、
煙突は妻側に出さざるを得ないから
レイアウトに制約が生じる。


何ごとも、地方それぞれの事情に影響されるものだ。



流通の優れた現代とはいえ、
産地ですぐ加工される豆製品の数々は
やはり美味い。


このご時世出歩きにくいけれども
通販 もやっているから、
お取り寄せによって、せめて現地の味を堪能してみては
いかがであろうか。



運んで下さる流通関係者には
有り難いとしか言いようがない。
(「岡女堂は生産地で」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月11日

浦河町立郷土博物館

浦河町の 馬事資料館 の隣、
実は、優駿の門 の正面にあるのが
浦河町立郷土博物館 である。


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浦河町のかつての事物や産業、生活などについて
展示してある施設だ。



外観を見てわかるように、元々小学校だった建物を
博物館として使っているのだ。

正面玄関は、かつての昇降口であろう。


脇に停まっている車は、室蘭ナンバーである。

豊浦町からえりも町に至るまでは室蘭運輸支局の管轄であるので
途中の浦河町も室蘭ナンバーとなるのだ。

もっとも、途中の苫小牧市部分だけは管轄は同じだけれども
苫小牧ナンバーとなっている。



展示室部分の外壁は、倉庫のようにも見える。


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けれどもよく見ると、元々窓があって、
それを塗り込めた状態であることがわかる。

教室が並んでいたのである。



屋根に煙突が飛び出ているのは
薪か石炭を燃やすストーブが各室に置かれていた名残であろう。



中に展示されているのは、
自然、産業など多岐の分野にわたる。


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この地に住む動植物の、写真、剥製、模型などなど。



昔のおもちゃとか、雑誌とか。


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このあたりは、全国共通かもしれない。



漁具の類。


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実際に使われていたものを
保存しておいたのだろう。



農機具も、さまざまに。


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使われ方を示す絵が独特で、
絵の得意な人が一生懸命描いた感じ。



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縄ない機は、いろんな資料館で見ることができるが
それぞれの地で実際に使われていたものが置かれているのだ。


場所によっては動態展示ということで、
実際に縄ないを行うところもあったりする。



籾殻を除去する装置。


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壁に掛けられているのは、鋤のようなものかな。



動力式の脱穀機も残されている。


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昭和34年購入のものだというから
60年以上前になろうか。


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もっと昔、和人が入ってくる前の住宅の復元も。


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かと思うと、近代の住居も。


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ひたすら、いろいろ置いてある。


ランプと囲炉裏が、辛うじて「せつび」である。



廊下部分には、消防ポンプ車が置いてあった。


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と言っても、手動なのだが。


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荻伏消防組 と書いてあるので、
浦河町内でもこの博物館よりだいぶ北西に位置する
荻伏(おぎふし)地区で使われていたものだろう。



さて、かつての学校らしさは
随所に見られて。


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古い建物に天井は、こんな感じのところが多いだろう。


照明器具は後付けだ。もちろん。



火報なども、後から付け加えられている。


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後から増設したトイレへ伸びる露出の給水管は
冬は寒さで凍ってしまうのだろう。


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凍結防止の電気ヒーターが巻きつけてあるようだった。



外には、古い古い丸形庇付の郵便ポスト。


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かつての学校が廃校になって、
このような形で郷土資料館、郷土博物館のようになっている建物が
全国至るところに見られる。


この類の施設も、今後どのくらい保存されるものか、
少子高齢化・人口減少・過疎化の進む日本において
維持できなくなってくるところも
きっと少なくないに違いない。


ぜひ、ナマで見られるうちに、
行ってみようじゃないか。


そして、可能な限り、
ネット空間にせめて画像だけでも
保存しておこうじゃあないか。



Youtubeに動画を上げるもよし、
あるいは徐々に普及しつつあり、廉価化しつつある
3Dスキャナのデータなんかも、いいだろう。



紙や木や石に書いて、あるいは描いて、あるいは刻んで
残すしか手段のなかった時代とは違って
いろいろな残し方ができる現代。


後世に語り告げ、保存し、残す責務が
現代に生きる我々にはあるのではなかろうか。



なんて。



別にカネもらってるわけでもなし、
誰かに頼まれてるわけでも、強いられているわけでもなくて
ただ楽しいから、面白いから、興味深いから
そして好きだから、
そういう動機で良いと思うのだ。

「〜すべき」なんて使命感でやるようなもんじゃないんだ。


ただの趣味。時として変態的なまでの。


それらがいろんな分野で形として残ることにより
これまでも文化が形作られてきたし、
これからも続いていき、発展して、あるいは衰退していくのである。



こういうのを、文化庁あたりの予算で
どっかの企業に委託して「しっかり」やろうとすると
得てしてあんまり面白くない成果品になっちゃうんじゃないかな。

それって、ただの偏見かな。
(「浦河町立郷土博物館」おわり)
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2021年07月27日

質感による色の違い?

公園の中に、ちょっとした建物。


21072701.JPG


木質の外装と、窓のようにも見える太陽光パネルが目立つ。


近寄ると、換気用のフードが多数見られる。


21072702.JPG



フードは指定色塗装品となっているのだけれど、
木質外装材と合わせた色ではなくて
明るめになっている。


木材と金属との質感の違いからこうなった?
と一瞬思ったけれども、そうではなさそう。


敢えて狙ってこの色にしてあることがわかる。



建具の枠とは、色を合わせてあるようだから。


21072703.JPG



軒天は白く、屋根や笠木は濃い色にしてあるから
意図された配色であることがわかる。



なぁるほど。



今どき、色見本なり色番号なりで選べるわけだから
「質感の違い」を気にしなくてもだいたい大丈夫そう。



誰がこの色を決めたのかな。


統括設計監理者?


発注者?


施工者ってことは、無いよね。


設備設計者が決めることも、基本的に無いけれど。
(「質感による色の違い?」おわり)
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2021年07月12日

外壁面をどう使うか

外壁は、建物の内と外とを隔てるものでもあり、
内と外とのあいだで「何か」をやり取りする窓口でもある。


そのため、外壁面にはいろいろなものが
並ぶことになるのだ。


21071201.JPG


電波信号を受け取るためのアンテナ、
電気エネルギーを受け取るための引込線、
電話やネットの信号を受け取るための引込線、
空気を流通させるための窓、
同じく、換気フード、
降雪情報を得るためのセンサー、
などなどが並べられているのがわかる。



降雪センサー?



つまりは、積雪地なのだね。



となると、下の方に見えるものが
気になってくる。

というのも。


21071202.JPG


これって、FF暖房機の給排気トップだよね?



ずいぶん低い位置についているのだけれども、
積雪で埋まってしまわないのかな?

埋まらないように、頻繁に除雪をすることで良しとしたのかな?



それとは別に、
秋になって植物類が枯れたやつが
燃える事態にならないかどうかということも気になる。



さて、真相は如何に!?
(「外壁面をどう使うか」おわり)
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2021年07月09日

あの頭の中には何が?

少〜し年代モノとおぼしき、集合住宅の屋根の上に
「頭」がいくつか並んでいる。


21070901.JPG


最近の新しいマンションではあんまり見られなくなったモノたちが
いろいろついていて、見応えがある。



2層分の塔屋と、それに抱かされている集合煙突。


まだ、FF暖房機なんていうものが発達する前の時代の
建物であることが推測できよう。



あの頭たち、
中には何が入っているのだろうか?



2層分の塔屋に入っているモノと言ったら、
決まってるじゃないか。



塔屋1階は、エレベーター機械室なのだ。

換気フードがついているじゃないか。
あれが、エレベーター機械室換気用のフードなのだ。

きっと内部に有圧換気扇でもついているに違いないのだ。

そして裏面には、給気か排気かわからないけれど、
対になるもう1個のフードがついているはずなのだ。



そして塔屋2階部分は、
高架水槽室である。


高架水槽、高置水槽、書物によって記事によって
呼び名は違えど、同じものだ。



地下か、1階にある受水槽から
揚水ポンプで水を上げて、
あそこに入っている高架水槽へと貯水するのだ。


それ以降は、落差でもって各住戸に給水されているのだ。



「いるのだ」と、断言することは、実はできない。



この建物が建った当初は、そうであったに違いないのだが
現在に至るまでそのまま保存されているかというと
それは怪しい。



もう、建ってから数十年を経ている。
当時の「せつび」たちが、健在であるはずがないのだ。


となると、外壁塗装や屋根防水とは別に、
設備関係の大規模修繕を実施している可能性が高い。



その際に、現代の製品の性能や上水道環境の整備、
社会環境の変化に合わせて
設備システム自体を変更していることが多いのだ。



給水設備は直結増圧給水システムになっていて
エレベーターもマシンルームレスタイプに更新されて
いるのかもしれない。



そうなると、あの「頭」の中は
空っぽになっている可能性もある。


もしくは、管理組合関係の諸々を置く倉庫として
利用されているかもしれない。


場合によっては、撤去・廃材処理の費用を節約するために
配管だけシステムから離断して
高架水槽などは撤去せずにそのまま残置したことも考えられる。



その辺りは、管理者の味噌汁、
ちがう、管理者のみぞ知る、だ。
(「あの頭の中には何が?」おわり)
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2021年06月27日

ボロボロだけど支持できてる?

ピットの中って、結構ワンダーランド。



「あなたが潜ったのは、このきたないピットですか?
 それとも、こちらのきれいなピットですか?」



正直者のテストにされるような、「きれいな」やつは
あんまり見かけることはないなぁ。



水が溜まっている、

アンモニア臭がする、

虫が湧いている、

保温材がべろべろに剥がれている、

結露がびっしり、

保温外装材がカビてる、

ゴミが放り込んである、

コア抜きのコンクリートがらが捨ててある、

残材が隅っこに寄せて置いてある、

余ったコンクリが適当に山になって固まってる、



まあ、いろいろだ。



ここにもまた、ピットがある。



21062701.JPG



ポリタンクがたくさん置いてあって、
物置きとしての利用実態があるようだ。



ジュート巻きの保温外装も
相当に年数を経たものと見受けられる。



床からの配管支持材のアングル金物は
錆びきってしまってどのくらい荷重を支えられるものか
定かではない。


取れて転がってるものまである始末。



今だったら、ピット内(湿気が多い)の支持部材は
ステンレス製にしたり、
下からではなくて上部から取ったり、するものであろう。



下は、見るからに湿りがちのようなのだから
下からの支持材には「錆びてくれ」と言っているようなものだ。



フランジ用ボルトナットも錆び錆びで
これ、外すことはできるのかなぁ。

何とか回そうとしたら、捩じ切れてしまいそう。



こういうやつを、部分的に改修するのは大変だ。

意図しない部分まで破損していくだろうから。



こんなになっていたら、
もう全体を更新するに限る。



結局、それが一番カネと手間がかからずに済む方法なのだと思うのだ。
(「ボロボロだけど支持できてる?」おわり)
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2021年06月22日

天吊機器の振れ止めがあるかどうか

天吊になっている機器は、
じつにたくさんある。



設備機器とか配管とかダクトとか、
一般の人にはあんまり認知されていないから
それらが天井に配置されていることにも
特に疑問はないはずだ。


なんとなく、そこにある


くらいにしか、感知していないことだろう。



もし意識されることがあるとすれば、
大地震などでそれらが落ちてきた時。


でも落ちるような事態になったら
危険極まりないのだけれど。



では、天吊形のエアコン室内機がある部屋の
天井内を見てみようか。


21062201.JPG


天井点検口を、開ける。



硬貨やマイナスドライバーで開けられるタイプだと
調査し易い。


でも最近の建物には
鍵付きの天井点検口が設けられていることも多く感じる。


ここから天井裏に入り込む輩が、
ある程度存在するということなのだろうか。



そういえば以前、
公衆トイレの天井裏に住み着いていた人の記事が
出ていたような気がする。



調査の際にいちいち天井点検口の鍵を借りなくちゃならないのは
結構面倒なんだけれど。

どうせPSやDSの鍵も借りるんだから、
一緒っていえば一緒なんだけれどもね。



さて、中を見てみよう。



21062202.JPG



天井下地の支持材と混在しているけれど、
天吊室内機を吊るための金物が、しっかりと取り付けられている。


既存の鉄筋コンクリート造の建物に
後付けで設置したものらしく、
あと施工アンカーにて吊りボルトが吊られている。



21062203.JPG



機器は4点吊りなんだけれども、
4点吊るだけでは、ゆらゆらと揺れてしまう。


大地震動があると、機器と天井下地との揺れの違いによって
天井が破壊されボードがバラバラと崩れ降ってくる恐れがある。


だから、4本の吊り棒を斜材でバッテンにつないで
振れ止めを設けている。


振れ止めを取り付けるための金物 も
いろいろ販売されている。


実際に揺らしてみた実験動画 などを見れば
振れ止めの必要性が一目瞭然でわかるだろう。



「耐震改修」と称して、
構造体の補強をして満足しているところがあるかもしれない。


でも、ちょっと待った。


天井吊りになっているものや
壁掛けになっているものが
大きく揺れて何かを破損する危険はないか、
落下してしまう危険はないか、
そういうところも含めての「耐震改修」のはずなのだ。



建物は倒壊しませんでした。補強したからです。

でも、いろいろ落下してきて、多くの犠牲者・負傷者が出ました。


では、洒落にならないのである。



振れ止め、してある?
(「天吊機器の振れ止めがあるかどうか」おわり)
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2021年06月16日

煙突のある集住

結構年代を経た風の、集合住宅。

公営の団地なんだろう。



各階住戸用の集合煙突が
屋上から何本も生えている。


21061601.JPG


煙突ストーブが当然だった時代には、
集合煙突は無くてはならないものであった。



建築基準法第2条第三号の定義によれば、「煙突」は「建築設備」とされている。

でもこんな感じの煙突は、どうみたって「建築」だよね。
工事区分も「建築工事」だし。
躯体とは別に建てる鋼管煙突だって、設備屋さんの範疇とは言い難い。
ステンレス板製の細くてペラペラの丸い煙突くらいが、設備の扱える範囲だろう。

もっとも現代は、煙突式ストーブ自体が
新築ではまず利用されないのだろうけれど。



ただ、こういう集合住宅に引っ越すのであれば
煙突式ストーブを購入する必要がある。

ホームセンターなんかにも売ってるし。


ストーブ本体だけじゃなくて、
本体設置場所から集合煙突までの煙突直管、曲管をつないで、
それらを天井から針金か何かで吊ってやる。


ストーブまで灯油を運んでくる配管も必要だし、
灯油を貯めておくタンクだって置かなくちゃ。



古いタイプの建物だと、給油設備を中央式にはしていないだろう。
各住戸の玄関先なんかに小型のタンクが置いてある。


タンクローリーから給油ホースを長〜く伸ばして入れてもらうか、
ポリタンクに入れてもらったやつを、えっちらおっちら運んで
自分で自分の家のタンクに移すか。



バブルの頃のマンション(当時、石油価格がとても安かった)なんかだと
地下オイルタンクからオイルポンプで屋上の中継タンクに送り、
そこから重力で各階PS内にある戸別タンクに送り、
各住戸の各室の灯油コックへと配管でつないでいく。
これだと、住人に給油の手間はないのだけれど
設備費は当然のことながら結構かかる。



急に寒冷地に転勤になったような場合、
どんなタイプの暖房器具を使えるのか、
リサーチがとても重要だ。


コタツがあれば……なんてわけにはいかないものだから。



燃料は灯油か、ガスか、オール電化か。

煙突式か、FF式か、蓄熱式か。

燃料調達は自分でやるのか、建物単位でできるのか。
ごくたまに都市部だと地域暖房も無いわけじゃない。



給湯にも言えることなんだけど。
(「煙突のある集住」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月15日

屋外に並ぶせつび

とある施設の外壁に
せつび機器がたくさん並べられている。


21061501.JPG


建物の正面入口側ではなくて側面なんだけれども
通路脇で結構目立つ位置なのであるが。



せっかく、1層目と2層目で外装色を変えたり
アクセントの石を埋め込んであったりしてあるんだけど。


2層以上に部分には換気用フードが出ないように
意匠上の工夫がなされているんだけど。


21061502.JPG


まだ新しそうなこの施設、
数年経てば、手前に植えた樹木が成長して視線を遮るから
たぶん気にならなくなることだろう。



目隠しの塀なんかではなくて、生け垣のように木を植えてあるから
きっとそのうち見えなくなる。


21061503.JPG


こんだけ設備モノが並ぶんだったら、
この面の外装はこんなに凝らなくても良かったんじゃなかろうか。


21061504.JPG


外装をまたぐスリムダクト、それをまたぐガス管、
そんなところがちょっと楽しい、設備まわりなのであった。
(「屋外に並ぶせつび」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月29日

外壁フードのデザイン

とある住宅に目が向いた。


建て売りではなくて、建築家が入った注文住宅かな? という感じの。



21052901.JPG


おお、セルフードじゃない換気フードがついてる!



何の指定もなければ、
外壁につく換気用フードには 既製品 を使うのだけれど
デザイン上の要請があって
このような造りにしたんだろう。



室外機、ガスメーター、盤の部分も
外壁を凹ませてあって
そこに設備がつく前提の造りとなっている。

敢えて外壁色にしないで
真っ白にしたのにも、何らかの意図があったんだろう。



設備のことを全く考えていなくて、
いかにも後から取って付けたような造りになっている建物も
少なくない。


そんな中で、建物の機能として「設備」がある前提で
全体の中にうまく取り込もうと思うと
意外に手間がかかるものだ。


最初から意図しておけば何てことはないんだけれど
施工の段階になってからでは
段取り的にも費用的にも手遅れとなりがちだ。



たまにこういう「配慮」(その手法の好き嫌いはあるかもしれない)が見て取れると
設備に関わる者としては、なんか嬉しく感じるものなのである。



いわゆる「設備」に対する一般的な傾向として、
特に気にならない、存在に気づかない方が大多数であることは
重々承知しているのだけれど。
(「外壁フードのデザイン」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月20日

石造りの倉庫を店舗にするなら

古い建物をリノベーションして使うってことは
良くやられていること。



石積みの倉庫なんかを
小洒落た飲食店舗にするのなんか、
雰囲気出ていいじゃん?



もちろんメインエントランスは小綺麗に装うのだけれど、
せつびに関わる者としては、むしろ側面や裏面が気になる。


21052001.JPG


調理するから、プロパンを置くんだね。



ガス管を貫通させるくらいの孔だったら
開けても大丈夫そう。



でも、換気用のダクト孔になると、
ちょっと大きすぎて石積みに負担がかかってしまう。



あ、都合の良いことに、上部に窓があるね。


ということで、ダクトが通してある。


21052002.JPG


窓の開口部をパネルで塞いで、
そこにダクトを貫通させるという細工。



暖房機か給湯機かは定かではないけれど
FFの給排気トップも同じパネルを貫通している。



なるべくFFの排気と干渉が少なくなるように
ダクトを心持ち(45度)下方に曲げてあるようだ。


元は、鉄格子でもはまってたのかしらん。



21052003.JPG

窓という窓がパネルで塞がれ、
内部空間と外界との貴重な接点になっている。



無闇矢鱈と孔を開けたら、崩れちゃうからね。



照明用のケーブルを通す孔くらいは
開けたようだけれど。



朱塗りの鉄扉は、開けっ放しでも画になるから
これで良いよね。



強風でバタンバタン動かないように
何らかの細工はしてあるのだろうけれど。



むか〜しの建物を利用した店があると、
そんなところが気になる、今日この頃。
(「石造りの倉庫を店舗にするなら」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月12日

風の館が建っている

実のところ、襟裳岬には「何もない」なんていうことはない。


岬の絶景を、強風吹き荒ぶ環境下にあってさえ穏やかに眺められる施設が建っている。


その名も、風の館



他にあるのは岬そのものと、襟裳岬灯台と、漁家と、旅館が何軒か。


だから決して見落としたり、見誤ったり、見失ったりするような施設ではないのだけれど


とても、とても念入りに、その館の存在を表示してあるのだ。


21051201.JPG


上の画像の中だけで、
一体何箇所の「風の館」表示があるだろうか?



館のアーチゲートの先にも、延々と表示が続く。


21051202.JPG


いや確かに、アプローチは長いんだ。
長いから、「本当にここでいいのかな?」「入り口、こっちでいいんだよね?」
不安になることが無いように、
念には念を入れているに違いない。

そうだ。そうに違いない。


21051203.JPG


とにかく、すごい。

これを見るだけでも、
訪れた価値があるというものだ(言い過ぎ)。



さて、シツコイくらいの表示を過ぎても、
施設本体入り口へのアプローチは続く。


でもあれだけ館名が連呼されていたのだ、
絶対にこの通路の先で間違いない、という確信は揺るがない。

揺るぎようがない。



で、安心して上部を見ることができる。

設備屋としての矜持である。



消火の配管と、各ダクトとが
アールを描く躯体に何とか追従しようとして
絶妙な線形を醸し出している。


21051204.JPG


既製の45度エルボで処理しきれない局部は
加工管で接続してあった。


21051205.JPG


全部これで良かったんじゃ? すっきりするのに。
って茶々を入れるのは、野暮ってもんだ。

設備施工者と監理者とのバトルがあったのかどうか
検査職員の眉間に皺が寄ったのかどうか、
いきさつは伺い知る由もない。



ようやく館内に入ると、
立派なノズルが出迎えてくれる。


21051206.JPG


などと感じるのは、設備屋だけである。
誰も、気にしちゃいない。
存在にすら、気付きゃしないのだ。

でもワタクシひとりぐらい、愛でたっていいじゃない。



さて、件の展望スペース。
ガラス越しに、没入山脈がよく見える。


21051207.JPG


小銭を投入せずとも観られる双眼鏡がいくつも据えてある。

あの岩塊のそこここに、ゼニガタアザラシが居るという。


写真とともに、「このへんに○頭います!」と表示されていて
どうやら毎時、館職員が状況確認をしているようだ。



そのあたりを探すと、
なるほど確かに居るじゃあないか。

肉眼で見てもさっぱりわからないけれど
双眼鏡越しだと、しっかりと確認できる。



やつらは、遠目だと大きさがわからないのだけれど
じつは結構でかいらしい。


21051208.JPG


大谷翔平よりは小さいのかな。

ふふ、人類ナメるな。
って、ワタクシは負けてる。

だいたいもって、
こんな風の中、冷たい海には入ること能わず、だ。



岬の遊歩道から見上げると
断崖の上に建っている様子がよく分かる。


21051209.JPG


良く建てたね。

基礎……は、まあ岩盤だから丈夫だよね、たぶん。

あの大きなガラスを据える際に
風に煽られて大変だったんじゃないだろうか。



景色以外のここのウリは、「えりも風体験」。


21051210.JPG


でっかい軸流ファン(だよね?)による送風の
直撃を体感できるのだ。


最前列だと、25m/s なのだそうで。



感想は……「とにかく凄い」。



こういうのも「建築設備」という括りに入るんだろうかね。



もちろん、フツーの「せつび」も
そこかしこに存在しているから
しっかり眺めることができる。


21051211.JPG


まだこれが建った当時は
消火栓のランプにLEDは使われなかったであろう。



天井裏部分を隠すために、
ブラインドが使用されていたのが面白かった。


21051212.JPG


こういう使い方は、初めて見たから。


ボードを貼ったり、ルーバーにしたり、というのはよくあるけれど
この発想に至った人、なかなか柔軟な思考の持ち主ではあるまいか。



何もない?


いやいや、館があるじゃん。


そんな、襟裳岬。
(「風の館が建っている」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする