2022年02月28日

建物の側面は見てみたい

ちょっとしたついでに、
たまたま見かけた建物があれば
そして事情がゆるせば
(立入禁止とかじゃなくて、人通りも無くて)
やはり側面は見てみたいじゃない。



なぜって?



「そこに側面があるから」としか言えないな。



建物って、正面は確かにキレイに化粧がしてあって
程度の差はあるけれども
見た目に気を遣っている

どちらかというと余所行きの顔なのだ。


でも側面は、そういった呪縛から開放されていることが多い。


もちろん、繁華街の建物や象徴的建造物なんかだと
側面にも裏面にも気を遣わなくちゃならないこともあろう。


ニンゲンだって、ある程度の立場の方々になれば
その風体に隙があってはならない。

ただ、ごく一般の庶民はそんなことはなくって
全く見目に気を配らない人もいるし
目につく部分だけに手を加え、
あまり目につかない部分は省略されていたりする。


それと同じだ。



そして、
着飾っていない、素のままの様子にこそ
その人の人格がにじみ出るように
建物も化粧っ気のない側面や裏面にこそ
その品格(品確、じゃないよ)や性格が
表されてくるのだ、とは言い過ぎかな。



まあ、あれだ。


尤もらしい理由は後付でなんとでも言えるが
要するにそういう趣味なのだ。



というわけで、
今回の鑑賞作品は、これである。


22022801.JPG


雑草生えまくりで
あまり気張らないタイプの建物である。



側面に並ぶ換気用のフードは、
珍しいとまでは言わないけれど
あまり多数派ではない形状の製品だ。

それだけでも結構眼福なのである。

外装目地の下端に合わせて取り付けられている。



プルボックスの高さも、
センター基準ではなくて下端基準にしてある。

そういう配置なんかも、見どころだ。


電線管はダクターに留め付けてあるだけ。
ほんとに、気張らない造りだ。


あと見える設備は
散水用の水栓と水道メーターの指示計、
草に埋もれかけのメーターボックスくらいか。


すんごく感動しなくても良いのだ。


ただ、「みんな違って、みんな良い」のだ。


家柄がどうの、育ちがどうの、成績がどうの、
そういう物の見方もあるのだろうけれど、
純粋に「今ある姿」に目を留めてみるのも
良いのではなかろうか。


そりゃね、人それぞれなんだから
感想や思いは異なるのさ。


でもね、世の中自分だけが存在しているわけでもない。
いろんな考え方、価値観の人々の集合体なのだから
プライドとか過去のしがらみとかに固執しだすと
収拾つかなくなってくるのだ。


ただ素直に、現状を見てみる。
それをまずは心に受け入れてみる。

そこからで、いいんじゃないだろうか。



ただ、相手が攻撃的な性質の人であったら
可能なら逃げるしかないかもしれない。



逃げることが能わないばあいは……。

闘わざるを得ないときも、あるのだろうね。
(「建物の側面は見てみたい」おわり)
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2022年02月25日

屋上緑化……

千代に八千代に、っていうほど時間はかからない。

苔むすまでには。



だって、百年も経ってはいないよね?


22022501.JPG


そりゃ、周囲から砂や泥だって飛んでくるだろう。
葉っぱや虫の死骸や、そういった有機物も供給されるだろう。

適度に日も当たるだろう。

そして、適度に湿潤環境が保たれるような
ちょっと陰になりやすい、そんな場所なんだろう。

胞子だって、どこかしらから浮遊してくるんだろう。



だからって、
成長するまま、放置しておくのはどうかと思うのだ。



確かに、SDGs などと称して、環境配慮は叫ばれているよ?

「屋上緑化」も、省エネメニューのひとつに
数えられてはいるよ?



でもそれは積極的な、アクティブな行動としての
屋上緑化のはずだ。



いや、現代はむしろ、エネルギーを使わないで
目的の環境を構築する
パッシブな手法が好まれるって?



そっかぁ。


パッシブ屋上緑化なのか。


なぁるほどぉ。


22022502.JPG



建物維持管理の怠慢じゃないんだ。


日頃の状況確認を疎かにしたわけでもないのだ。


むしろ、積極的に手を加えるんじゃなくって
少しずつ少しずつ成長するコケ植物を
慈しむ気持ちを持ちながら
毎日、毎月、毎年
愛で続けて今があるんだ。



そういう理屈だって、
成り立たつと言えなくもないのかもしれない。


なんて。



まあ、安保理の常任理事国が
隣国の首都に爆撃しちゃっても正当化するような時代。


国内の治安維持と称して、
特定民族の不妊手術を強制的に行ったりする時代。


何十年間も内戦に次ぐ内戦で
あるいは統治機構の崩壊により
北斗の拳のような国々が現存する時代。


なんだから、そういう言い方も、通ってしまうのかもしれない。



今に限ったことじゃないか。


ある民族を根絶やしにすべくガス室に送って殺したり
他国の大統領を暗殺したり
「共栄圏」と称して「ありがた(?)迷惑」を押し付けたり
あちこちの占領地の住民の居住地をシャッフルして反抗勢力を押し込めたり
敗戦国の支配階級を一族郎党皆殺しにしたり

まあ人類がこれまでもやってきたことであったりする。



科学技術は目覚ましく発達したかもしれないけれど
「人類」という種の考え方や行動に関しては
ちっとも変わらないのじゃないだろうか。



さざれ石の巌となりて……


誰の代であったとしても、
栄枯盛衰は常で、諸行無常で、
たいてい酷いことになるのである。


残念ながら。



そんなこんなに比べたら、

「パッシブ屋上緑化」

かわいいもんだ。
どんな屁理屈を並べたとしてもね。

見た目と雨漏りくらいの実害しか生じないんだから。
(「屋上緑化……」おわり)
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2022年02月21日

書いてあるとわかりやすいんだ

自走式の、立体駐車場。

時々利用するんだ。



何度か同じ場所を使っても、
停める場所はその都度違うから
(月極利用じゃないのだ)
その都度、見るともなしに観察してしまう。


22022101.JPG


雨水管と、そこに挿入される凍結防止ヒーター、
それ用の電源を送る電線管やボックス、
粉末消火か何かの配管、
車室管制用のセンサーとレースウェイ、
そんなこんなが、目に入る。



たまたま停めたところが、
パイプスペースの脇であった。


「スペース」と言っても囲われているわけではなく
文字通りのスペースであった。


22022102.JPG


確かに、別に囲う必要も無いよね。

どうせ周囲は鉄骨やら消火配管やら露出しまくっているのだ。
立管だけ囲って隠してもあまり意味はあるまい。



そんな中、配管の用途をしっかり書いてあるのは
ギョーカイの者としては嬉しかったりする。


だってさ、管だけ並んでたら
何だかわかんないでしょ?


図面見ればわかるって?


そりゃそうだけど、その図面ってどこにあるのさ。
たいていどこか奥に仕舞われていて
なかなか見つかりゃしないんだ。


見つかったとしても、
単に当初の設計図であって完成図じゃないから
現場の都合でいろいろ変更した部分が反映されていないことも
ザラにある。


たとい「完成図」と称していても
設計図をちょこちょこ手直ししたものであって
必ずしも現況を正確に反映しているわけでは
なかったりする。

その後の改修履歴は残っていなかったりするし。



少なくともワタクシは、
ほんとうに現況をしっかり反映してある完成図なるものを
未だ目にしたことはない。

たいてい、結構違っているのだ。



だからこそ、
こうやって現物に表示してあると
謎が減ってすこぶるよろしいのである。

明示しておくのは、とても大切なことなんだと
痛感するものである。



ま、テロ対策とか何とかで
なるべく「手の内を明かさない」ほうが良い建物も
あるのだろう。

そういうところでは、ちゃんと鍵付のパイプシャフトに
納めておけば良い。

けど、シャフト内の管にロクに表示が無いことも
少なくないよね。



書いとくの、大事!

と、ワタクシは一人そう思うのである。
異論は、あるんだろうなぁ。意匠屋さんとか。
(「書いてあるとわかりやすいんだ」おわり)
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2022年02月20日

上から見たらわかることもある

なんとかは高いところが好き、と言われる。

ワタクシも、まさしくそのクチである。
そこは断固、否定できない。

いやむしろ、積極的に肯定しようじゃないか。
そんなところを取り繕おうとしたって、
どうぜ化けの皮はすぐに剥がれまくるのだ。
施工不良のタイルだ。



高いところが好きなのは、
上からしか見ることのできないものがあるから。


22022001.JPG

といっても、そんなに高層からの眺めでもないんだけれども、
このくらいの高さであっても、結構いろいろ見えて楽しい。



雪をかぶって白一色かと思いきや、
むしろ白くない部分が一層に目立って引き立つようにも感じられる。


そして、それぞれの建物の屋根に突き出た諸々と、
外壁に並ぶモノたちとが、
その建物が建った年代であったり、
その設備システムであったり、
そういった類の事柄を明示して或いは暗示してくれるのである。

「暗示」の大部分は、ワタクシの勝手な妄想に違いないのではあるが。



屋上に突き出す塔屋の高さはそのまま
時代を表すものであると思う。


塔屋が2層あるならば、
だいたい塔屋1階がエレベーター機械室、
塔屋2階が高架水槽室なのであろう。

そういう時代に建てられたということだ。


「そういう時代」とは、
まだ性能の良い安価な加圧給水ポンプユニットが
普及していなかった時代、である。


だから、どこかに受水槽室があって、
揚水ポンプで高架水槽に汲み上げて、
重力給水により各所に水が送られるのだ。


そしてそれらの建物の中には、
未だ地下ピットを受水槽として利用しているものも
あるはずだ。

現在の確認申請では絶対に通らない。
「既存不適格」である。



高架水槽室がある建物であっても、
近年の直結増圧給水方式への改修奨励策に伴って、
給水方式を変更している建物もだいぶ増えたことだろう。


そういう建物では、
高架水槽が撤去されて、倉庫として利用されていたり、
水槽撤去やコンクリート基礎解体にかかる費用を節約するため
配管だけ外してタンクはそのまんま残してあったり。

それぞれの建物の所有者や管理者次第だから
ほんと、さまざまである。



22022002.JPG


手前は4階建ての共同住宅。
だいぶ昔に建ったもののようだ。

高架水槽室も設けられている。

塔屋2階が、塔屋1階よりも広げてある。
水槽周囲の離隔を確保するためか、
こういう造りもたまに見かける。

古い建物に多いから、減る一方ではある。



手前は4階建て、奥は5階建てだけれど、
エレベーターは無さそうだ。

年を召すと、なかなか大変になるだろう。
若い人向けかもしれない。


そして、各住戸を縦方向に貫く
共同煙突が林立している。

頂部の形状が異なるのにも、何か理由があるのだろう。
ドラフトの調整かなにかだろうか。


この共同住宅に住もうと思えば、
煙突式のストーブを調達しなければならない。

だから、ホームセンターでも売っている。
ステンレス製の煙突部材も一緒に。

でも、だいぶ減っただろうな。
煙突ストーブの需要は。
煙突工事も。



建物所有者の許可があれば、
外壁に穴を開けてFF暖房機を設けたりもできるのだろうけれど
賃貸では難しいだろうし、
分譲でも外壁の改変は共用部規定にひっかかるから
可能になるかどうかはその組合次第だろう。


あと、各住戸に灯油を送るシステムの有無も
影響が大きいだろう。

5階まで自分で灯油ポリタンクを運び上げるのは
かなり大変だろうから。

タンクローリーから圧送できる範囲ならだいぶマシだろう。


ただ、中央式の給油設備を設けると
設備設置費が格段に跳ね上がるから
この類の建物にはついていないことも多い。



もうすこし小さい住宅やアパートも
上から見るといろいろあっておもしろい。


22022003.JPG


ドカ雪の後だったからだろうか。

屋根の上の雪は、結構な厚さになっている。

勾配屋根であれば、雪が落ちるから
その除排雪には気を遣うだろう。

陸屋根であれば、全面には雪は落ちないけれども
縁からは落ちるし、
あんまり分厚く積もると
積雪荷重もトン単位で増えていくから
耐荷重が気になってくるだろう。


庇やちょっとした梁の出っ張りなどにも
雪は積もるけれど
こうやって実際に積もっているところを見ないと
なかなか想像し難かったりする。



積雪寒冷地だから、
マンションの共用廊下は屋内になっている。
風雪が吹き込むと大変だから。


でも、ちょっと奥のほうにあるやつは、
その共用廊下がエレベーター停止階にだけあるようだ。

そこだけ外壁が出っ張っている。


昔は、エレベーターの出入口扉の費用を節約するため
1階、4階、7階などのように
停止階を限定して造られたマンションもあった。

当然、停止階のほうが高く売れた。


今じゃ、こんなの売れないよね。
中古で安ければ、売れなくもないかな。



1つ1つ観察していたら、
いつまででも居られそうだ。


高いところは、楽しいのだ。
(「上から見たらわかることもある」おわり)
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2022年02月19日

広い空間だから

ホールのせつびは、
フツーの部屋とはだいぶ違っている。


だって、桁違いに広いから。
幅も、奥行きも、高さも、すごくある。

座席もいっぱいついていて、
多くの人が(コロナ下でだいぶ疎らに制限されているけれど)
この空間に入っている。


空気の流れや温度分布を含めた空調換気に、自動制御、
照明に放送に音響、防災、その他もろもろ、
もちろん建築的にも多くの要素があるのだけれど
「せつび」も普通の建物や部屋とは異なる、
さまざまな要素で成り立っている。


22021901.JPG


音楽そのものも良いんだけれど、
そして興味を引くからこそ行くのだけれども、
そこにある「せつび」にもまた同様に興味をそそられるのだ。


そしてたいてい、
住宅や事務所や学校などといった
全国に多数存在する建築物とは異なり、
いやまあ、ホール自体は全国に結構たくさんあるんだけれど、
でもたぶん、ほとんどそれぞれが独自の設備であって
そこんところの違いを勝手に想像して眺めるのが
楽しいのである。



このホール、
だいぶ年季を経ているようだ。

何度か改修・改装・補修を繰り返されてきているようであるが、
内外装にその年輪が刻まれているようでもある。


基本システムまで含めての全面改修はなかなか難しいから、
その時代の設備を色濃く反映した造りとなっているのである。


22021902.JPG


意匠屋さんと設備屋さん、電気屋さんたちの協力や対立が
如実に現れていたり、そうでなかったり、
実際のところは全くわからないんだけれども
勝手に想像してストーリーを妄想するのは
構わない、よね?

(実際に手がけられた方々にとっては
 迷惑千万、噴飯ものには違いないが)



博物館や美術館もそうだけれども、
本来の建物用途の利用をするほかに、
こうやって眺めて楽しめるのは、アーモンドグリコだ。

一粒で二度美味しいのだ。
(「広い空間だから」おわり)
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2022年02月13日

雪ニモマケズ

この冬は、全国的に雪が多いようだ。



全国的と言っても、沖縄には降らないし、
東京だって積雪地から見たら大した降雪量じゃぁない。


でも、普段あまり降らないところに降れば
混乱するし、多方面で困ってしまうのは
当然のことである。



普段から雪が降る土地であっても、
普段よりも量が多いとか、短時間で急増したとか、
そういう事態になるとやっぱり混乱するのである。



多いところは多いところなりに、
少ないところは少ないところなりに、
雪に伴う混乱は、避けて通れない。


そしてそれは、何も交通関係に限ったことではなくて
「ケンチク」や「せつび」だって多大な影響を被るのである。


22021301.JPG


がっぱり積もった雪を戴く屋根も目につくけれど、
盤やらボックスやらにも、
何なら木の枝にさえも、
ガッツリ積もってるのがわかる。


ボックスの上に、「へにょ」っと乗っかっている雪が
なんとも愛らしいのだけれどね。



宮沢賢治作の冒頭は有名だけれども
3行目には「雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ」と謳っている。

「丈夫ナカラダ」と書かれているから、
精神論ではないんだけれど
いやでも心持ちの事も、含んでいるのかな。何となく。



暦の上では春が立っているけれども
まだまだ土地によっては雪との闘いが続く。


そして土地によっては、そろそろ花粉との闘いに移り変わる。



コロナウイルスとの闘いは
新しいフェーズに入っているようで、
さてこの後、どのように移り変わっていくことやら。
(「雪ニモマケズ」おわり)
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2022年02月09日

何がどう埋まっているか

歩道を歩いていると、
時々「落書き」のようなものが描いてあるのに
気付くだろうか。



工事の前段階に、あるいは最中に
現地にメモ書きをしてあるのだ。


22020901.JPG


レーダーなどによる地中埋設管探査装置を使用して
紙やタブレット画面の図面に描いていくのも良いだろうけれど
実際に掘る場合には直接描いてあったほうがわかりやすい。



図面も一緒だけれど、
描く人の性格や特徴が出やすそうだ。


「不明管」


これがまた、悩ましい。



掘ってみないと、いや、掘ってみてもわからない。
もう死んでる(使ってない)管なのか、
まだ生きている(使われている)管なのかも、わからない。


ホント、困るよね。

困るけど、あるんだから仕方がない。



そういうのは、日本全国津々浦々にゴマンとある。
(いや、5万じゃもちろん済まない。もっと大量にある)

そういうのもぜ〜ぇんぶAIが判断してくれるように
なるだろうか。

そんなことを考えるコンサルなんて
必要なくなるだろうか。



さて、どうだろう。

そのAIに材料を提供するのはニンゲンだし、
プログラミングするのもニンゲンだし、
なんならバグを修正したり、エラーを検知するのもニンゲンだし。

何らかの形で、ニンゲンの存在価値は、無くならないはずだ。



無くなるとすると、
もはやニンゲンに思考力が失われてしまった時であろう。

AIに飼われている状態?



……じつは、そのほうが平和になるのかもしれないけど。
地球環境や野生生物にとっても良い状態になるのかもしれないけど。

でも、それって、ニンゲンにとって必ずしも幸せでないような。
いや、そういう状態なら、そんな事さえも考えなくなってるかな。
(「何がどう埋まっているか」おわり)
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2022年01月21日

富次さんの管

会社名に、人物の名前がつけられることも多い。

トヨタ、スズキ、ダイムラー・ベンツ、ロールス・ロイスとか。


モノの名前にも、人名が多く採用されている。

メルセデス・ベンツ、ホチキス、レオタード、ギロチン、沢庵とか。



せつびにもそういうのが少しあって、
たとえば天井内を覗くとそれが見えてきたりする。



22012101.JPG


左下の太い配管は、
塩ビ管の外側に不燃材で耐火被覆したものである。


一般名詞として「耐火二層管」と称されるけれども
古い人には「トミジ管」と呼ばれることも多い。



塩ビ管に耐火被覆したら、
鋳鉄管なんかよりも軽くて施工しやすくて安くなるんじゃね?



と言ったかどうだか、
とにかく発明して特許を取って会社を起こしたのが
樽川富次さんという方だったようである。


会社名を 東亜石綿工業(後に、株式会社トーアトミジ)
商品名を トミジ管 とした、という。


発明者の名前を取るのは、まあ、よくあることだ。
いろんな病気に発見者の名前がついていたりするが
それよりはなんかイメージ的に良い感じがする。


あまりにも普及したから、一般名詞として流通するまでになった。
国は商品名を使うわけにいかないから、
「耐火二層管」なる言葉を造語したのであろう。


22012102.JPG


結構がっちりした感じの製品だ。


最初の社名に冠されているように、
元々は耐火材としてアスベスト(石綿)含有材が使用されていた。

石綿ビニル二層管とか呼ばれていた時代のものだ。
古い建物の排水管解体の際には注意が必要な場合がある。

もちろん、アスベスト被害が顕在化して以降は
繊維混入セメントモルタルによる被覆になっている。


だから現在は全く問題はない。
少なくとも人類に知覚されている範囲では。


22012103.JPG


枝管部分にもトミジ管が使われている。

奥のほう、一部鉛管らしき部分も見える。



富次さんの起こした会社は、今世紀に入ってから倒産してしまった。

それを引き継いだ バクマ工業株式会社 も、
今年度でトミジ管の製造から 手を引く


諸行無常、なのである。



ここの天井内の製品は……。


22012104.JPG


フネンパイプ と書いてある。

フネンアクロス株式会社 の製品だ。



耐火二層管は、この会社のほかに

株式会社エーアンドエーマテリアル

昭和電工建材株式会社

などで製造されている。



業界ではすごく広まって大変有名な「トミジ」なのであるが
残念ながら一般の方々には全く知られてもいなかった。

せつび「あるある」である。
(「富次さんの管」おわり)
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2022年01月15日

時代感が溢れている

昭和は遥かに過ぎて平成、令和と元号が変わり
建物は建て変わり、あらゆる設備は古びていく。


そんな中、昭和の面影を色濃く残す建物と
それに付随する数々の設備が愛おしい。



10年古いものは、遅れてる。

20年古いと、古臭い。

30年古いと、ボロボロ。

40年古いと、一周回って新鮮。


……なんて、誰かが言ったか言わないか。
時代ごとの流行ってものがあるのだけれど
何事でも突き抜けて古ければ、
むしろ価値あるモノとして取り扱われよう。



たとい不注意で割ってしまっただけの食器であったとしても
2000年を経て出てきたものは立派な遺跡の出土品である。



さて、縄文時代まで遡るようなスケールではないのだが
こういう建物を見ると、なんか嬉しい。


22011501.JPG


ああ、この時代感。

そして、それに負けない設備たち。

一部新しくなっている部分が混在していたりして
それがまたカワイイ。



今にも壊れそうな、
いやむしろ、もうとっくに壊れてない? 的な、
古びに古びた設備たちが、愛おしく見えてこないだろうか?



側面にも、いろいろと取り付けられている。


22011502.JPG


それらのすべてが、時代感に溢れ、カワイく、愛おしい。



この建物も、たぶん背面側面を見ているからそう思うのであって
正面の表通り側はきっと、キレイに塗られていて
時代感はそれほど感じないのではあるまいか。



ま、ニンゲンも同じで、
古びてきてもオモテはそれなりに取り繕うものだ。
見えないところや中身は、年齢相応にくたびれてきていたとしても。



奥に見えるビルなんか、もうさっき建ったばかりのように
見えてこないだろうか。
超近代的な感じに。


いやでも、あれもそれほど新しくないはずだ、確か。


古代エジプト展などで、3千年前とか4千年前とかのモノをたくさん見た後で
奈良とか鎌倉とかの時代の事物を見ると
ずいぶん新しく見えてしまったりする、アレだ。
錯覚の一種なんだ。



地震国だし、他の自然災害も多いし、
日本では古い建物がそのまま残されて利用されることも
多くはない。

けど、まあ、何でもそうなのだ。
日々流転、諸行無常、どんどんと変わっていくのだ。


その一瞬一瞬を切り取って、
今を生きているのだ。われわれは。
(「時代感が溢れている」おわり)
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2022年01月13日

そこにあると邪魔だから

一般的にはあまり普段気にすることが多くないはずだけれど
天井の所々には点検口が存在する。


もちろん趣味でつけているわけじゃなくって
必要性があるからつけてあるのだ。



たいていは、天井内に据えてある設備関係のメンテ用だ。



「点検」という名がついているけれども
ただ見るだけの「点検」ではない。

目視点検以外にも
部品を取り出したり取り替えたり
フィルターなどを清掃したり
電流値を測ったり
いろいろやることはあるのだ。



だから、点検口の部分には
人間の上半身が入るくらいの空間は確保しておきたい。


点検口を開けてみたら、
配管やらケーブルやらで塞がれていたり
いろんな吊りモノが乱舞していたら困るのだ。



とある現場で、全熱交換ユニットが吊ってあって
接続ダクトも施工されている状態。


国土交通省用語の「全熱交換ユニット」であるが、
一般的には三菱電機の商品名である「ロスナイ」が
一般名詞化して使用されることも多い。

けど、ここではダイキン製の「ベンティエール」が
設置されていた。


製品として売られている以上、
それなりに流通しているはずなのだけれど
ワタクシはあまり見たことがなかったので
一種の眼福と言えるかもしれない。



さて、上のデッキプレートに、何か書いてある。


22011301.JPG


「点検スペース 全ネジ禁止」


おお、なるほど。わかりやすい。


ここに全ネジボルトを取り付けられると
本体の全熱交換素子を取り出して清掃したり
フィルターを交換したりすることができなくなる。


このように表示しておけば
事情を知らない誰かがうっかり取り付けてしまった
なんていう事態を避けることができそう。



ちょうどこの下に天井点検口ができると
なお良いのだけれど、
さて、どうなることか。

天井を貼ってからのお楽しみ。



基本的に、天井伏図の総合図を描いて
そのあたりの取り合いをやるので
だいたいは大丈夫なんだけど
たまに、ね。
(「そこにあると邪魔だから」おわり)
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2022年01月10日

スイッチ類の並べ方

照明とか換気とかエアコンとか
そういうスイッチはどういうふうに並べます?


絶対こうしなきゃならない、なんて法律は無いので
結構場所によっていろいろな気がする。


電気設備工事と機械設備工事とで手が違ったりするから
なおのこといろいろなパターンがある。



部屋の照明器具、24時間換気、スピーカー、エアコン、
この4種類のスイッチがあるなら、
どう並べたいだろうか?



あるところで見かけた例は。


22011001.JPG


左上が換気、右上がスピーカー、
左下がエアコン、右下が照明。



それぞれの設置高さをどうするか、
スイッチどうしの離れをどうするか、
エアコンのように大きさの違うスイッチを
どう配置するか、
いろいろ好みや考え方があろう。


端で合わせるのが好き?

センターで合わせるのが好き?



好き好きかもしれないけれど。



よぉく見ると、
微妙に高さが違ったり、
プレートが傾いていたりすることも
結構あるものだ。


観察してみてはいかがであろうか。
(「スイッチ類の並べ方」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月09日

年季の入ったピット配管たち

トイレにある、床点検口。
分厚いスラブに開けられた開口部に
結構な重さの蓋が乗っかっていますよ。



よっこいしょっと。


22010901.JPG


蓋を開けますよ。
そして、ちょいと中の様子を拝見しますよっと。


それにしても、重たい蓋だこと。



蒸気用の鋳鉄製放熱器が据えてあっただけのことはある。


22010902.JPG


ちょうと末端の放熱器だったんだね。
管末トラップが吊ってある。


配管の状態から言って、
一度は更新されたもののようだ。


ちょこっと錆が出ているとはいえ、
たいへん美しい状態であるからして。


新築時の配管のままだったら、
もっともっとボロボロに朽ちていたに違いないから。

見るからに、湿潤環境のピットだし。



スラブ面を見てみよう。


22010903.JPG


さすが、トイレ。

だいぶ珍しい存在になりつつある和風便器の下部が
顔をのぞかせている。


支えている鋼材は、だいぶ、だいぶ錆びている。



排水管は、たぶん何度か改修されているね。
フレキ管と塩ビ管とが接続されている。


たぶん元々は鉛管と鋳鉄管であったはずだ。



ちょいと横の方も見てみようか。


22010904.JPG


手前はループ通気管かな。
ねじ部の錆止めが、しっかり塗ってあるのがハッキリわかる。

被覆のかかった吊り棒は、比較的新しいものなのだろう。


奥の給水管かな。保温外装が朽ちて剥がれつつある。
長年の湿潤環境に耐えかねてしまったか。


奥の方には、鉛管や鋳鉄管が見える。
新築ではまずお目にかからなくなった。



地中梁? の上部から伸びている鉄筋は一体
なんじゃらほい?

こんな設計であるわけないから、
一体構造図はどうなっていることやら。
構造屋さんにご検討願おう。



別の面を見てみると。


22010905.JPG


古いの、新しいの、補修したやつ、朽ちかけたままのやつ、
などなど、いろんな状態の配管が混在している。


古い施設あるあるだ。


設備大規模改修か何かで一気に全部更新する場合もあるだろうけれど
なかなかそういうのは難しいから。


何度手間にもなってしまうけれど、
給水管のみ改修とか、暖房管のみ改修とか、
予算やら何やらの都合を見ながら
なんとかかんとかやっていくしかない事情も多かろう。



左側には、ずいぶんゴッツい鋼材が吊られている。

これは……。


22010906.JPG


伸縮継手用の固定架台なのだ。



複式の伸縮継手本体を、ここで固定している。

これに接続されている配管の右側、左側にずっと伸びた先で
配管が固定されているはずだ。


内部流体の温度が大きく変化する金属管の場合、
温度変化によって伸縮してしまうから
それをこの継手で吸収する。


それなりにゴッツく、それなりに費用がかかるから
結構省略されてエルボ返しなんかでお茶を濁されることも
少なくないけれど。

この施設では、しっかり使ってあるのであった。



撮影するアングルによっては、
なかなかにぎやかな見た目に写るかもしれない。


22010907.JPG


新旧入り乱れたごちゃごちゃ感が、
美しくはないだろうか!?



ピット内のブロック壁が一部壊してあるのは
なぜでしょう。

何のためでしょう。

ピット内には、こんな不思議も隠れ潜んでいる。



お、これはだいぶ新しめの排水管だ。


22010908.JPG


低位ドルゴがついているもん。


少なくともこれが発売されるようになって以降の
施工なのだから。



ピット内にある程度の気積があれば、
たぶん大丈夫だよね?


床点検口も密封蓋ばかりじゃないだろうし。


どうだろう?



それにしても。


「完成図」とは、全然違うね。

改修履歴がちゃんと図示されているようなこともないし。

だから、調査が必要なんだ。本来は。



「調査なんて要らないから。既存図を信用して図面描いて」


そういう依頼もまた、
すごく多いんだけど。


だから、現場の設備屋さんは、
たいへんなんだ。

申し訳ないとは思うんだけどね。

「設備設計」には、
あんまりカネをかけたくないっていうんだから、
文句はそう言う立場の人に言ってほしいな。
(「年季の入ったピット配管たち」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月04日

正面じゃないからこそ

外壁の出っ張った部分に、
まあまあ大きなガラリが、2個。


どっちかが給気で、どっちかが排気なのか。
どちらも給気、どちらも排気か。
見ただけじゃ、わかりかねる。


22010401.JPG


更に奥の下には、
室外機が並べられている。

皆、防雪フードを甲冑のごとくに纏い、
冬にやってくる風雪に備えている。


そこから大胆に延びる、
冷媒配管用のカバー。

「スリムダクト」は商品名だが
一般名詞化していたりする。



正面玄関のすぐ横には、
こういう細工は設けない。

これらは意匠的に忌避されるモノたちだから。



でも、建物の側面や背面であれば
これらが陣取っていても
あまり文句を言われることは多くない。


こいつらをキレイに隠す必要があるような類の建物じゃなければ
脇に置いておけば十分なのである。



高級ブランドが売られている小洒落た商業ビルだとか
高級レストランが出店しているとか、
国家の威信をかけた迎賓機能のある施設とか、
そういうのじゃない限りは、これでイイのだ。


正面じゃないからこそ、
コソコソせずに設備は存在できるのだ。



別に、きらびやかな表舞台は、
望んじゃいないのだ。
(「正面じゃないからこそ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月01日

ニセコ町民センターのせつび

皆さま、新年明けましておめでとうございます。


……と書いてはおりますが、
年賀状と同様に、新年に放映される各種番組同様に、
昨年内に書いて予約投稿しているものであって
新年にあたり心機一転筆を執った(キーボードを叩いた)ものではないので
悪しからず。

世の中、そんなもんです。



業界新聞にも各界のお偉いさんたちによる
数多の挨拶文や対談記事が溢れているけれども
全部、ぜぇ〜んぶ、昨年内に行われ、昨年内に原稿にされ、紙面組みされ、
印刷までされて、元旦に届くってやつです。

ま、気分ですよ、気分。



というわけで、栄えある新年早々の記事の題材となるのは、
「ニセコ町民センター」であります。

理由は、特にありません。
単に、たまたま順番がそうだったというだけなのです。

でも、運も実力のうち、って言うじゃないですか。

今や国際リゾートエリアとなっている、
北海道ニセコ町の町民センターがたまたま元日に記事に当たるというのも
何かの縁。


コロナ禍が開けた後には、今まで以上に世界のリゾート地として
賑わい発展するに違いありません。



……というわけで、本年最初の記事に移っていこう。



町名がカタカナである、ニセコ町。

今は国会議員となっている逢坂氏が町長を務めておられた頃から
結構いろいろと先進的な試みを進めている、そんな地である。



ここの役場近くに、町民センターが建てられている。


22010101.JPG


いかにもカネをかけました、というような造りではない。
いやむしろ、コスト削減に努めました的な造りに見えるのではないだろうか。


ハコモノに「魅せる」という側面を求める向きもあるけれども
本来の設置の目的を考えるならば、必要な機能を果たすことが第一であって
見てくれはその次である。

予算の都合や、供用年数などを勘案して、
シンプルに造り上げるのも一つのあり方であるし
限られた予算の使い方としては妥当なものと言えるのではないだろうか。



生憎の曇天であったが、青い空には映えそうな外観ではないだろうか。
また、深い雪に覆われる冬期にあっても
やはり映えそうではなかろうか。



1階のロビーはガラス面になっていて、
冬期の外皮負荷は相当なものになるであろう。

もちろん高性能のガラスを使用するにしても、
断熱材がガッツリ入った外壁と同等にはなりようもない。


よって、外皮負荷処理のために
放熱器が並べられていた。


22010102.JPG


パネルヒーター的な放熱器が並ぶことも多いかと思うが、
ここでは床置露出のファンコンベクターであった。


でかいし目立つけれども
その分、能力的には確保されるのであろう。


機器と機器との間の部分は、ガラスが結露しないのかしらんと
思わなくもない。

厳冬期に行ってみないと、実際のところはわからない。

薄い温水パネルヒーターを隙間なく通したほうが
見た目的にも機能的にも良いような気もするけれど
見た目だけではなくてコストとの兼ね合いもあろうから
あんまり紋切り型に判断することもできまい。



屋内部分の放熱器も、同様の床置ファンコンベクターであった。


22010103.JPG


敢えて天吊にしなかったのは、
足元の冷えを緩和する意図があったからなのかどうか。

床暖房にすると、コストが跳ね上がるしね。



床置露出のファンコンベクターの欠点は、
上に荷物を置かれたり、座られたりすること。

そのため、ケーシングが凹んだり、傷ついたりしやすい。

たいてい上面に「ここに座らないで下さい!!!」的な
ラミネート加工された紙が貼ってあったりする。

ここでは見かけなかったけれど、
ニセコの人たちはマナーが良いのかもしれない。


国際リゾート地と化してから、
外国人の居住人口も結構多いらしいけれど
うまく共生できているのかもしれない。

道の駅の野菜売り場に、
いかにも地元在住っぽい西欧系外国人が
レジ袋を持参して買い物に来ていた。

北海道の田舎としては珍しいのかもしれないけれど
ここではあまり違和感がない。



この町民センター、内装コストは結構節約してある感じだった。

天井ボードは、最低限しか貼られていなかった。

だから、露出ダクトも結構あった。


22010104.JPG


全部真っ白に塗ってしまえば、
それほど目立つものでもないのだ。



配管やケーブル類も、然り。


22010105.JPG


部分的に設けられた天井仕上げが、
ケーブルラックを兼ねている。

ダウンライトもそこに埋め込んである。

こういう在り方も、一考に値するのではないだろうか。



屋内消火栓設備の替わりに、
パケージ型消火設備が据えられていた。


22010106.JPG


これだと、消火水槽も消火ポンプも配管も要らない。


限られた予算の中で、必要十分なだけのものを設置する。

そういう考え方のもとで造られたのかもしれない。



あんまりあちこち撮ることはできなかったけれど
なかなか興味深い施設であった。
(「ニセコ町民センターのせつび」おわり)
posted by けろ at 01:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月24日

隙間にも・隙間にこそ

2階建て以上の建物に入ると、
近隣の他の建物を上から見ることができる。


そんな観察が、結構好きである。


設備に関する仕事をしている者としての矜持であって、
「観察家」としての活動の一環でもあるのであって、
決して、決して覗き趣味なんかじゃないってことは
口を酸っぱくして言っておきたい!



まあそれはともかく。



やはり、窓からちょっと外を見る。


21122401.JPG


右側には、平屋建物の屋根面が見える。

鋼板屋根の勾配が中央に向かってつけられている。
周囲に建物が密集しているから、
片流れ屋根にしてしまうわけにもいかないのだろう。


雨樋で受ければいいんじゃない?


たしかに雨であればそれでいいんだけれども
雪が降る地域ではそうもいかない。

この屋根面積分の雪の重みがかかったら
雨樋なんてすぐにぶっ壊れてしまう。



だから、雪はひと冬屋根の上に乗っけたままにする。
それだけの積雪荷重に耐えられるよう、
構造計算がおこなわれ。少なくとも新しい建物は。
(古いやつは……わからん)
想定以上の積雪があったら、雪下ろしをしないと
潰れるかもしれない。


屋根中央の溝部分には、おそらくヒーターが入っていて
製氷皿になることを防いでいるのだが
決して屋根面の雪全部を溶かすことを目的としていない。

溝がぶっ壊れたり、
雨水管内が氷柱となって破裂するのを避けるのが主眼である。



煙突が生えているということは、
煙突式のストーブを使っているのだろう。
もしくは、建てた当時は使っていたのだろう。

今だったら、FF式のストーブとか、
あるいは寒冷地用の暖房強化型エアコンに
置き換えられている可能性も高い。



よく見ると、煙突の根元部分の屋根鉄板が立ち上げてある。
「雪割り」といって、雪の荷重が煙突にかからないように
左右に分ける細工なのである。

これが無いと、雪、もとい、元雪である氷塊によって
煙突が折れてしまう危険性があるから。

何かのケーブルの引込柱がわりにも使われているようだから
折れてもらっては困るのだ。



じつは本日の主目的は、この建物ではない。


左の白っぽい建物との間の「隙間」である。



左の建物の外壁面も、
換気フードやら冷媒管用のカバーやら、
いろいろ見どころはあるのだけれども。



隙間には、何が見えるだろうか?



21122402.JPG



暗いから、ピントがうまく合わない。

外壁の換気フードのほか、
エアコンの室外機とか
プロパンボンベとか
何かのダクトが見えないだろうか?



裏方が、好きなんだよね。

表舞台で、きらびやかなスポットライトを浴びて輝くひとたちも
それはそれで素敵なんだろうけれども
裏でそれを支えている人々、
その人達無しでは実現しない表舞台を作り上げている
名もない人たちにこそ、目を向けていたいんだよね。

たぶん称賛もされないし、待遇も良くはない。

でも確かに、裏方あってこその表舞台のはずなのだ。

なんか、「せつび」に通じるモノがある気がするんだよね。



近年になって、省エネとか環境とか叫ばれるようになってから
表舞台に引っ張り出されるような機会も出てはきたけれど
やっぱり裏方だよね、設備は。


「建築家」に対抗して作られたのであろう
建築設備家」なんていう呼称も
あまり知られているとは言えない。



影の稼業は、世間一般には知られないものなのだよ。



ああ、「隙間」から逸れてしまった。


続きを見なくっちゃ。



21122403.JPG



雑然とした中に、
なんかゴミに埋もれたように据えられている
設備機器たち。


このバルクタンクにLPGを補給するためには
どこかからホースを伸ばして来なくちゃならないね。

でも裏口側から届くんだろうね。
届かないところに据えるはずはないからね。


あの室外機は、たぶん、ノーメンテだね。
冬の屋上からのの雪庇爆弾に耐えて
今日まで生き残ってきたんだろうね。

影になる場所だから、
夏は日射の影響を避けて
比較的快適に働けるのかもしれない。
風のない日は熱がこもるかもしれないけど。



こんな感じで、
隙間にもいろんな「せつび」が置かれている。隠されている。

むしろ、隙間だからこそ、置き場の無い、行き場のない、
意匠屋さんの目線から隠して欲しがられる、
そんな設備類がひしめき合う場所として
利用される。


そこで、裏方として、表舞台の人々を
支えているのである。



そういう尊い方々は、たくさんおられるけれど、
ワタクシもそうなんだ、と言うつもりはない。

というか、言えた義理じゃない。

そこは残念だけれども仕方がない。
積み上げてきた努力の違いは
如何ともし難いのであるからして。

ま、せめてこれから、ボチボチやるしかありませんな。
(「隙間にも・隙間にこそ」おわり)
posted by けろ at 14:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月23日

見やすい天井内ばかりじゃないけど

天井の中を見ることは、
時々ある。

図面通りになっているかどうかを確認するため、
あるいは、図面が無いから実際にどうなっているかを見るため。

もっとも、実際に図面通りになっていることはまず無いから
そこに天井点検口があって、
脚立の調達ができて、
時間的に許されるならば
(場合によっては、体力も……)
中を見てみる。それが望ましい。



さて、カセット形室内機のある部屋だから
モノはわかるのだけれど、
接続配管や換気ダクトやその他諸々を見てみようと
天井点検口を開けてみた。


21122301.JPG


なぜかしらん。

少々埃っぽい。



そんな時、空間中に舞う微細な粉塵にフラッシュ光が当たって
こんなハローが出てしまう。

決して何らかの霊現象などではない。


ある程度、甘受するしか無いのだが、
ドレンアップの管がぴったり重なってしまっているのは
少々残念である。



たいてい、好き勝手に縦横無尽しているケーブル類が伴う。

手前には、スプリンクラ用のフレキ管もある。

室内機の天井内の様子を見たいのが主目的であったけれど
他のものも、いろいろ見えるのだ。


21122302.JPG

スプリンクラ配管を追いかけてみると、
まあよくありがちなんだけれども、
ねじ切りをした部分に錆止めが塗ってあるところと塗ってないところとが
混在している様子がわかる。

天井下地を、あるいは天井仕上材を施工する前の
僅かな時間では塗りきれなかったのかどうか。

後工程がつかえていて、どうしようもなかったのか。

現場監督の工程調整が杜撰だったのか、
そもそも物理的に到底無理な工期を要求されていたのか
単にズボラだったのか。

そのあたりも、今となってはわからない。

ただ「塗ってない」という結果のみが
眼前に厳として存在するのみだ。


21122303.JPG


古いコンデジの小さなディスプレイではあまり気づかないけれど、
こうやってPCディスプレイに表示すると
白い半透明の丸が矢鱈と目立つ。が、仕方がない、今さら。


スプリンクラのフレキ管と冷媒管とドレン管と各種ケーブルと
換気用ダクトが、入り乱れている。


設計・施工において、
3Dモデリングが徐々に浸透してきつつあるけれど
こういうのをどうデータとして正確に取り込むかねぇ。

点群データにすれば、属性はともかく取り込み可能ではあるけれど
ものすごいデータ量になってしまう。

それにちまちま属性を貼り付けて、整合性を取って、確認して……。


設計も施工も、納期工期が迫ると戦場化してしまって
寸分の余裕も無くなる中、誰がデータを作って確認して管理するものか
現時点ではあんまり出来る気がしない。


2D情報の「完成図」が正確であった試しがないのに
情報量が格段に多くなる3Dデータが正確である保証なんて
あるんだろうか。

ま、今後の技術革新によって可能になるのかなぁ。

3DスキャナとAIによって、
経験ある人間が詳細に調査したのと同じレベルで
データ化できるようになるのかもしれない。

それは、楽でいいなぁ。



外壁貫通部の排気ダクトには
保温材が巻かれてあった。


21122304.JPG


お、この写真には白丸が写っていないや。


国土交通省仕様だと、排気ダクトには保温施工をしない。
けれども、この建物は寒冷地にあって、
そういう地域では、排気ダクトであっても外壁からある程度は
結露防止のために保温施工する。


古い図面をひっくり返すと、
「外壁から1m」とか、1.5mとか2mとか、
結構いろいろある。

最近では、全熱交換ユニットの本体から外壁側は
すべて保温施工されているようである。


いろいろごちゃごちゃしてはいたけれど、
まあまあ見やすい天井内だったかもしれない。



天井ふところがすごく狭いとか、
機器類配管類がぎっちり詰まっていて遠くを見渡せないとか
点検口を配管が突っ切っていて中を覗けないとか
そもそも天井点検口が無いとか、
「見やすくない天井内」もたくさんあるから、
このくらい見えれば、御の字である。


新築で造る時には、見やすく無くてもまあいいんだ。
法的に必要な、防火ダンパーとか区画貫通処理なんかを
視認できるようにさえなっていれば。

でもね、短くない建物の生涯の中では、
設備関係の改修工事は結構何度もあるんだ。

だから、ある程度の「見やすさ」は欲しいのだ。



「でもそれは、設備屋さんの勝手な都合じゃん」

まあねぇ、そうなんですけどねぇ。


でもそれが巡り巡って、建築屋さんの為にもなるし、
ひいてはオーナーさんの為にもなるのだと
ワタクシは思うんですけどねぇ。

せつびの世界のヒト以外には
賛同者は居ないかもしれないけど。
(「見やすい天井内ばかりじゃないけど」おわり)
posted by けろ at 20:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月20日

パイプシャフトが無くっても

建築士の製図試験に関連して、
良く訊かれた質問。


「機械室やパイプシャフトって、
 延床面積の何パーセントくらい必要?」


確かに、何らかの資料を見ると、
統計資料としてそのような率が書いてあるものも
無いわけではない。


けれども建物なんて、それぞれが一品生産品で
設備システムもさまざまだから、何とも言えない。

どんな用途で、どんなシステムを採用して、
どんな使い方をするかによって、
グレードをどうするか、どのくらい隠すかによって
全然違ってくる。

そうとしか、言えない。



まあ、試験の場合だったら
「このくらいにしておけば無難」っていう線を
押さえておけば合格に近づくのだろうから
試験対策としてはそういうアプローチもあり得よう。


でも実際の建物の計画であるなら、
まずは前提条件からおさらいしていく必要があろう。

面積云々は、それからだ。



統計資料は、さまざまな実例の傾向を見るために
処理された結果であって、
個別の事情とはいささか異なるものであったりする。



30代女性の所得はどのくらい?

日本人の寿命は何年?

○○県人の体重は何kg?



たくさんの事例を集めて、平均したり標準偏差を取ったり
中央値を見たり、いろいろ統計処理すれば
何らかの数字は出てくる。


けど、個々の人間にピンポイントで当てはまるかというと
全然そんな事はない。


設備スペースに関する数字も、そんな感じだ。



21122001.JPG


こんな建物だと、
空調のための機械室やパイプシャフトのスペースは
無いのかもしれない。床面積としては。


熱源である室外機も、配管も、
全部外壁に貼りつけてあるのだから。


機械類を全部屋上や外壁に据えてしまって、
配管も全部屋外露出にしてしまえば、
機械室もパイプシャフトも要らない。

その外観を、意匠的に許容できるのであれば。


ポンピドー・センターみたく、
敢えて観せるという意匠も、あり得よう。



外壁に、蔦を這わせて、配管も這わせて、
あらすてき。


21122002.JPG


そういう感覚が社会一般に広く受け入れられるような
そんな日が来ることがあるのならば、
これでも良かろう。



ただし、台風の襲来が多いとか、
冬期は凍結するとか、
噴煙が常に襲来するとか、
そういう自然条件によって「露出」が望ましくない場合もあるので
何ごとも条件次第なのである。


でもって、いちばん影響の大きい条件が
「コスト」だったりするのかもしれない。
(「パイプシャフトが無くっても」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月12日

引きちぎったり壊したり

とあるトイレで。



洗浄便座の電源が、
少々高い位置のコンセントから取られていた。


21121201.JPG


でもアース線もちゃんとつないであって、
いいじゃないの。

目立つっちゃ目立つんだけど、
水がかりが無さそうな高さに設けてあるから
安全度は高いのではないだろうか。



コンセントプレートには、
番号と室名とが記載してあって
分電盤の回路番号なのか連番なのかわからないけれども
ちゃんと管理されているんじゃないかという
期待を抱かせるものとなっている。


ちょっとピントがボケてしまったのは
ご愛嬌というか。
単に下手なだけなのだが。

端末のディスプレイ上では、このボケ具合はわからなかったのだ。



ただ、本日のディッシュはこれではない。


もっと目立つモノが、そこにあったから。


21121202.JPG


紙巻器、であった。



二連の紙巻器なのであるが、
両方がだんだん減っていくのが
あまり好ましくなかったのであろう。

片方には厚紙でカバーをかけておいて
使われないようにして、
カバーのかかっていない方を先に使っていただき、
それがなくなったらカバーの在る方へ移行してほしい。

そういう趣旨だったのであろうと推測するのだ。



そのほうが無駄なく使い切れるし、
二連紙巻器の両方がちょこっとずつしか残っていなくて
結局紙切れ……なんていう悲劇に見舞われるリスクがなくなるから
利用者にとっても益となるはず。

そういう、管理者の親切心の賜物だったはずなのだ。



なのになのに、それなのに。


心無い利用者が、
せっかく工夫して作った厚紙製のカバーを
事もあろうに「引きちぎったり」「壊したり」
してしまうと言うのだ。


これは、物申さずにおれようか!!!


……というのは、ワタクシの勝手な想像。

設置者の心の叫びを、
勝手に読み取った気になって解釈した気になって
ごめんなさい。


真相は、如何に!?
(「引きちぎったり壊したり」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月11日

せつびの百葉箱

外壁に、ひっそりとついている
だいぶ朽ちかけた、木箱。


21121101.JPG


巣箱じゃない。



錠がかかっている。

こんなにご丁寧に、何を納めてあるのやら。



ここのはたぶん、
屋外温度計測用のセンサーを入れてあるはず。

日射は遮って、通風は確保する。
雨や雪も直接かからないように。

そのための百葉箱である。


気象観測所にある百葉箱も、
もともとアナログな温度計、湿度計などを納めておく場所だった。

それの建物版、っていう感じ。



今だったら、百均で窓に貼りつける温度計なんかが買えるから
外気温を知りたいだけならこんなモノはいらない。


でもこの中にあるセンサで外気温を測定し、
それに基づいて冷暖房の自動制御をかけたり
室内温度や冷温水温度などと一緒にデータを蓄積したり、
そんな事のために取り付けられているのである。



もっとも、こんなモノを使っていたのは
だいぶ前の時代だ。

現代の新築建物には、
まず見られまい。



見ての通り、だいぶ朽ちかけている。

やがて、朽ちきってしまうだろう。

そうしたら、センサーもろとも撤去・更新されるのだろう。
最新タイプのものに。



躯体に比べると、設備類の寿命は短い。

もののあはれを感じ取るなら、建築よりも設備だ。



建築仕上げも躯体も、いずれ衰えて、劣化して、傷んでいくのには
違いないのだけれど。



なるべく手をかけて、それを遅らせてやるのは良いことだと思う。

普段あんまり気にしてもらえないけれど、
建物や設備の様子は時々見てあげて、
なるべく補修、塗装、などをして欲しいものである。


カネとテマとがかかるから、
放っておかれがちなのだけれど。
(「せつびの百葉箱」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月02日

側面の壁というものは

たいていの建物の、表通りに面していない部分、
側面にある壁は、いろんなモノのために使われている。


まず目につくのは、室外機である。

それらを並べて設置するのに、とても都合が良さそう。


21120201.JPG


でも、それだけじゃ済まない。



電力の盤、換気用のダクト、換気用のフード、
暖房機か給湯機用のFF給排気トップ、
冷媒管やドレン管が納まっている樹脂製のケース、
通信線か何かの導入口など
表にあると何か目立ってやだな、ってものが全部
こちらの面にまとめられている。



設計の段階では、
これらのモノをこのへんに並べることは
だいたい図示してあるのだけれども
立面上でどのように並べるか、
いろんな設備などの位置関係を詳細に決めることはあまりない。



施工する方が、それぞれの美学に基づいて
また各職種間の微妙な力関係だったり、
単に先に乗り込んだ方が優先みたいな感じだったりして
最終的にこういう配置に決めることも多い。



すごくイイ感じで並んでいれば、
「スゴい」ってなるし、

ごちゃごちゃした感じになっちゃってたら
それはそれで「せつび」っぽくって良いし、

いかにも無理矢理つけました感が溢れていると
「やっちゃったな」と
ごく一部のギョーカイ人からは
ちょっと茶々が入ったりすることもあろう。



それぞれが、唯一無二の仕事なのだ。

たとい、人類の大多数が
ほとんど関心も示さず、
その存在にも全く気づかないとしても、だ。
(「側面の壁というものは」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする