「ボイラ」と呼ぶけれどもボイラではない温水機がほとんど。
意匠図上のボイラ室に、本当のボイラが入っていることのほうが少なくなりました。
本当のボイラも、蒸気用ではなくて高温水用(これも使わないか)や温水用であったり。
(何でも、ボイラーマンの資格者である職員の職場確保のため、
真空式温水機ではなくて、わざわざ「ボイラ」を設置させる
役所もあるらしいですが)
地域冷暖房とかではなく、新築の各建物のシステムとして蒸気を使うのは、
オートクレーブのある病院や、ある種の工場、自衛隊
そんな感じかも知れません。
ワタクシも、全館蒸気暖房のシステムで新築の図面を描いたのは一体いつのことだったか。
その時も低圧蒸気でしたし。
既設建物の蒸気システム改修くらいしか、お目にかからなくなりました。
既設の蒸気ボイラが入っている建物でも、配管更新を機に蒸気-温水の熱交を置いて、温水システムにしてしまうとか。
蒸気駆動の冷凍機も、排熱回収として設置されることのほうが多いのではないでしょうか。
炉筒煙管やセクショナルの蒸気ボイラ、
フラッシュタンクや還水槽、
細柱ものの放熱器、エアハンの蒸気コイル、
真空給水ポンプユニット……。
書籍を引き引きでないと、ロクに計算も作図も選定も出来ないのじゃないでしょうか。
ちと、やばい。
以上に、淋しい。
でも実際に使う機会がないと、
忘却の彼方に、
記憶の底辺に、
追いやられてしまう一方なのですね。
(「蒸気は遠くなりにけり」おわり)
【追記】
既設建物の調査で、蒸気暖房特有の
「もわっと暖かいピット」に潜ると、
なんだか懐かしい気持ちがしたりしませんか?
もっとも最近は「省エネのため」とか言って
還水管にも保温を施す場合もあるようですが。
地球温暖化対策で、化石燃料自体が使用禁止になりそうな事態です。
蒸気ボイラーどころか、温水ボイラー自体もほとんど売れなくなっているようです。
そのうち、GHP、KHP温水器まで出てきてもおかしくない感じですね。(燃料電池か、マイクロコージェネの排熱ボイラーの方が先行しそうですが)
自動車がたくさん走っていますし、
発電でも石炭・石油を大量に消費。
200年くらい科学技術水準(つまり生活水準)を戻さない限り、大した効果は期待できないような気がします。