かつて講習で「建築設備士」を取得された方。
設備設計一級建築士の講習を受けるか、訊いてみました。
そしたら、
・制度を知りませんでした。
・だからもちろん講習の存在を知りませんでした。
・当然、終了考査についても知りませんでした。
一応、法改正情報についてご説明し、講習や考査の日程が
発表されていること、建築設備士資格保有者は一部講習の
免除等があるはずであることなどについても触れました。
http://www.jaeic.or.jp/kkaisei-kosyu_b1k_080212.pdf
お返事は、
「実際には設備設計をやっていないし、出来もしない。
設備のことは良く分からないから、そんな講習は
受けるつもりも無い」
でした。
国交省は、
「一級建築士で、かつ建築設備士資格を保有している人」が、結構居るものとして、有資格者の目標数を見積もっていたはず。
でも、建築設備士創設時に、講習だけで資格を取得した方が少なからず居たことを考慮すると(そして、その時には意匠屋さんでも受講した人がそれなりに居たことを考慮すると)果たして目論見通りに人数が集まるのか、疑わしいものです。
それだけではありません。
ここでご紹介したような方が一念発起して「設備設計一級建築士」を目指し、資格を取ったとします。
果たしてそのような方に「高度な設備設計能力」が備わるのか、疑問です。
そんな付け焼刃で何とか試験にパスするような程度でちょちょいとできるほど、設備設計は甘くないのですから。
まして、機械設備・電気設備双方に習熟しなければならない。
がんばれ! スーパーマン!
『設備設計一級建築士の数と質の確保』
国交省が解決しなければならない、難題ですね。
(お偉い学者先生方や優秀な国家公務員の方たちが決めたんだから、ちゃんとやってくれることでしょう。という期待を込めておきます。)
(「設備設計一級建築士になる?」おわり)
【余談】
「あのねぇ、一級建築士って言うのはねぇ、超難関の試験を勝ち抜いた優秀な人種なの。もう2回も学科で落ちてるあんたみたいなバカでもやっていけてる設備なんて、すぐ習得できるに決まってるじゃないのさ」
「ご、ごめんなさ〜い。おっしゃる通りですよね〜。そっかー。一級の人たちが本気を出せば、設備設計一級建築士なんて余ってしょうがないくらい、どんどん増えちゃいますよね〜」
「あったりめぇ〜よ」
「……し、しごと、何か別のやつ、探さなきゃ……」
【追記】
「設備設計一級建築士」の関連記事として、
カテゴリ「建築士制度」の
餡(あん)職人の憂鬱(1)
餡(あん)職人の憂鬱(2)
餡(あん)職人の憂鬱(3)
も、よろしければご参照下さい。
設備設計一級建築士との違いは、講習・修了考査などは無く、実務経験・CPD取得単位のみの審査である事及び、建築設備士取得の場合は、二級建築士・木造建築士も認定可能であり、限定表示(空調・衛生・電気)を行っている所です。(限定表示はそれぞれ3件以上の責任ある実務経験があれば複数表示が可能です)
建築設備技術者協会のJABMEEシニアに認定されている建築士は、申請を行えば、環境・設備専攻建築士に認定されます。(相互認証なので、逆に環境・設備専攻建築士も申請によりJABMEEシニアに認定されます)
一応、CPDを取得しているという事で、勉強熱心な建築士として評価はできると思います。
専攻建築士は、審査のみなのですね。知りませんでした。
「設備設計一級建築士」を話題にされている中で、「一級建築士」「建築設備士」は、よく出ていましたが、「専攻建築士」は話の中で出たのを見たことがないので、ふとした疑問でした。
ちなみに、今回の「設備設計一級建築士」色々な話を拝見させていただいた現場の者が感じた意見等は、当たり前の話だと思いますが、「建基法をどれだけ正確に把握しているか」を問うているように感じました。
私の思っている「設計」は流量や配管サイズの選定等をする事が一番大切な「設計」と思っていたのですが、申請書が受理されるように法的な所を選定する事を一番大切な「設計」とされているあたり、私の今までの解釈かなり、ずれていたのだと思いました。
もともと、一級建築士に要求される能力は、建築設計に関する幅広い知識と、設計図書を取りまとめる能力だけで、構造・設備に関しての専門能力は必要とされていないわけです。 そういう意味では、意匠・構造・設備の調整だけして、設計図書が建築基準法及び関連法令に適合している事だけ確認すれば、業務としては問題無いわけです。
単純に確認申請レベルであれば、無窓居室の換気量や、シックハウスの24時間換気の換気量・ダクトサイズについては計算書は求められます。 また、排水管については、勾配や、管径についての計算書も求められる場合があります。 しかし、受水槽の容量計算や、空調機の負荷計算、機器選定書を求められた事はありません。 同様に排煙ダクトの計算書も求められた事がありません。
電気設備も、トランス容量の計算書や、幹線ケーブルの電圧降下の計算書を求められた事はないはずです。
建築確認で、確認するのは建築基準法及び関連法令なので、ここら辺の技術計算に関する事項は確認する必要は無い訳ですが、設計者は当然わからないと設計できません。
建築士で、上記の計算が出来ない場合は、建築設備士の意見を聴いて設計する事が建築士法上許されています。(その他の人の意見も聴いてかまわないのですが、意見を聴いた人の表示はできません)
技術的な面は、建築設備士にまかせて、意匠・構造との整合性は建築士が行えば、今回の設備設計一級建築士自体不要だったわけです。(法適合性確認のみは設備設計一級建築士が必要となりました)
今回の修了考査の結果がどうなるかわかりませんが、実態として設備設計に関わる技術者が依然として建築設備士が中心となると、今回のみなし講習はあまり意味の無いものとなりそうですね。
構造設計一級建築士は、かなり高度な修了考査だったようなので、むしろ構造技術者の方がきついかもしれません。(個人の構造技術者はかなり廃業しそうです)
見上げた場所に位置する憶測意見への返信ありがとうございます。
「一級建築士」「建築設備士」の守備範囲がなんとなくですが、理解できました。
つなぎの水道屋さんのご質問に答えるだけの
知識を持ち合せていないワタクシといたしましては、
大変助かり、勉強にもなった次第です。
設備より構造の方が高度だったのは、
構造技術者の抵抗の方が強かった、という
ことになりましょうか。
元々一級保持者の多かった構造関係団体の方が、
発言力が強かったのかも知れません。
「意匠屋が簡単に取れるような試験じゃ困る」って。
構造系のBBSでは、修了考査免除組がはたして、今回の修了考査に合格できるレベルなのかが問題視されています。 構造専攻建築士は、建築設備士の講習取得組みたいな扱いで言われていますね。