2007年08月17日

猛暑と冷房

猛暑、いや酷暑ですね。

国内最高気温記録更新とか。ご愁傷様です。


ワタクシの地域では、大抵ある日を境に『秋』になります。
それが、昨日、8月16日でした。
本日は大層涼しく、過ごしよい一日です。
ぱたっと10℃くらい下がってしまうのが、北国の有難さですね。


前日の15日は、今夏最高の気温。
最低が24.8℃(平年+6.0℃)、最高が34.2℃(平年+8.0℃)


このような気温になると、当然来るのが「暑いぞぉ」というクレーム。
冷房の効きが悪い、というものです。


自分が設計した建物でそのようにクレームがついたら、どうします?

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設備設計の観点からすれば、

「しょうがない」

となります。(その言葉でクビになった大臣もいましたが)


「そんな無責任な。おまえの設計が悪いんだろう」

なんて、言わないでくださいね。

酷暑の夏、冷房の効きが悪いのは、設備設計のせいではないのです。

それは、「想定外」なのだから、効かなくて当然なのです。


冷房負荷計算を行う場合、まず設計条件を決めます。
設定室温とか、外気温とか、湿度、日射、ブラインドの使用、在室人数など。
その時点で、それよりも悪い条件下での「冷房の効きの悪さ」が決定します。

つまり、外気温31℃、室温28℃で設計すれば、
外気温が35℃になったときには室温を28℃に維持できないということになります。


あとは、クライアントの要求の程度と、空調設計者の考え方次第。


官公庁の庁舎だから、設計条件を超える場合に暑いのは「しょうがない」と考えるか、
高級物販店舗だから、外気温38℃くらいを想定して何が何でも室温維持を図るか。


「安全側に、条件が厳しいほうで常に設計すべきじゃないのか」

そういうご意見もあるでしょうが、普通はそういう設計をしません。

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酷暑でも室温が維持できる能力がある、ということは、かなり能力の大きな冷房装置が設置されることになります。

当然、機器費や工事費が高くつきます。
クライアントがそれを受容できるかが課題になります。

また、酷暑ではない時には機器の能力が余ってしまいます。
100の能力を持つ機器を30の能力で運転した場合、大抵効率が悪くなるものです。
燃料や電力を余計に消費してしまい、環境的にも経済的にもよろしくありません。
50の能力の機器を2台設置するとか、30+30+40の3台に分けて設置するとかして効率改善を試みたりしますが、台数を分ければ設置スペースを多く必要とし、機器費総額も高めになってしまいます。
平面計画的に、また工事費的に、それを受容できるかが課題になります。

そんなわけで、設計条件を決める際には、ある程度のところで手を打って
「それより暑い場合は我慢ね」
となるのです。



そのあたりを説明せず、自分で確認もせずにいると、クライアントから
「ちゃんと設計してくれると思っていたのに、騙された」
とか非難されかねません。ご注意を。

くれぐれも、設備設計屋や空調機メーカー、設備工事業者に責任を押し付けて、しらばっくれてしまうことのないように────。


設備設計屋から、「外気温度条件は? 室温条件はどうします?」なんて聞かれて
「あーもぅうるさいなぁ。それなりに普通に適切にやっといてよぉ」
「外気33℃80%、室内28℃50%でいいですか?」
「いいです、いいです。そんな感じで」
とかいい加減に返事をしてしまうと、あとあと困ります。
最初にきっちり詰めておきましょうね。


何月何日何時、某所打合せにおいて□◇建築設計事務所の本件担当△▽氏より空調設計条件について指示有り

とか、しっかり議事録が残されていたりするものです。


(「猛暑と冷房」おわり)
posted by けろ at 17:35| Comment(5) | TrackBack(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご無沙汰してます。
北国と違い、こちら南国では、連日35度以上の猛暑が続いています。
冷房の入っていない室内で33度。エアコンを使ってようやく30度という状態です。
これ以上暑くなったら、仕事で使っているパソコンたちが軒並み熱暴走してしまいそうで、連日ひやひやしてますが、背筋は冷えても汗は止まりません。

建築の世界とは直接関係ない話ですが、やはり、暑さには風だなあと思うこのごろ。
わが仕事場も、「冷やす」より「風を当てる」方がはるかに快適です。
私の仕事場は自宅の部屋なので、家庭用のエアコンと扇風機で過ごせるのですが、事、会社のオフィスとなると、この風が自由にならないんですね。
立派なオフィスビルの部屋に扇風機というのは、経営者の「見栄」が許さないと見えて、知る限りの取引先で、事務所で扇風機を使っているのは、平屋建ての老舗?に限られています。
(こういうところに限ってエアコンがなく、夏にはコンピュータが暴走して稼がせてくれますが・・・)
しかし、空気というものは重いものですね。
エアコンの噴出しくらいでは、少し離れるとほとんど風は感じられなくなってしまいます。
冷たい空気が他と混じらないので、冷える所と冷えない所ができてしまいますが、空気は目に見えないので、なかなかわかりません。
一度エアコン使用時の室内温度の分布状況を調べて、扇風機などを使って空気を攪拌し、部屋中が均一の温度になるようにすれば、社員も快適、省エネにも役立つと思うのですが、どこも、自社の業務には熱心でも、社内の環境については、あまり関心がないようです。
Posted by 兼業主夫 at 2007年08月26日 22:26
兼業主夫さま、お久しぶりです。
&酷暑の中、ご愁傷様です。

人間が「暑い、寒い」と感じる要素は、気温と湿度だけではありません。兼業主夫さまの感じられたとおり「気流」も重要な要素。クールビズに代表されるように「着衣」も。(こういうのを「温熱環境要素」といいます)。ですから快適な空調のためには、これらを適切に調節することが肝要。

余計なエネルギーを使わないということは「快適、省エネ」のみならず「経費節減」にもつながります。

> 空気というものは重いものですね。
1m3あたり約1.2kgあります。
部屋全体では、結構な重さになりますね。

まだまだ暑い由、お大事に。
Posted by けろ at 2007年08月27日 10:57
けろさん、質問させてください。

>人間が「暑い、寒い」と感じる要素は、気温と湿度・・「気流」も重要な要素。

とありますが、私はビル等に入ると、季節を問わず息苦しさというか、暑いというか何か、空気の重たさを感じるのですが、空気中の酸素量で、体感温度が変わる気がするので、換気をもう少し多く取り入れたらよいと思うのですが、その様にした場合弊害(ロス)が多いのでしょうか。
Posted by つなぎの水道屋 at 2008年04月08日 23:47
いろいろ読んで下さって、ありがとうございます。

ある程度のビルでは給排気バランスを取って設計されている筈なのですが、運用上給気側をケチって館内負圧ということも多いようです。
風除室を入るときに、ヒューヒュー鳴ってるビルが結構ありますから。

そんなことも「酸素濃度の薄さ」を招いているのかもしれません。

当地のような寒冷地では、給気量の増加はエネルギー費に直結します。給気量をちょっとでも減らして外気負荷を削減すべく、システムを組んだりしてますから。

それを「省エネ」と称しているんですが……。決して良いことだけではありません。
Posted by けろ at 2008年04月09日 00:38
>当地のような寒冷地では、給気量の増加はエネルギー費に直結します。給気量をちょっとでも減らして外気負荷を削減すべく、システムを組んだりしてますから。

ただたんに、給気すればよいという話では、ないのですね。
返信ありがとうございました。
Posted by つなぎの水道屋 at 2008年04月09日 18:45
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