2023年07月10日

山線鉄橋

千歳市西端にある支笏(しこつ)湖に
赤い鉄橋がかかっている。


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「山線鉄橋」と書かれていて
支笏湖から千歳市内を流れ下る千歳川の始点部分を
横断しているものである。


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支笏湖は、秋田県仙北市にある田沢湖に続いて、
日本で2番目に深い湖であるという。

最大水深 360m、平均水深 265m と記されていたり
最大水深 363m と書かれていたり して
どちらが正確かよくわらかないけれども
深いことに違いない。


支笏カルデラに水が溜まったものであって
かつて北海道中央部を壊滅的に襲った 大噴火 の産物であるという。



現在は観光地として、その美しい姿を世界中からの来訪者に披露している。


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鉄骨トラス・リベット接合の赤く塗られた鉄橋は
それ単体でも画になるものであって
それを撮る人たちもまた多い。


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この鉄橋は、離れた地から移設されたものである。


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碌な重機の無かった時代に
遠く空知川から、山奥の湖にまで移設してきたとは
恐れ入る。


まだ日本国内では製作できなかったゆえ、
移設して利用するしかなかったのであろう。



そして、発電所建設資材運搬用の鉄道を敷くにあたり
用いられたとのことである。



平成19年度経済産業省近代化産業遺産に、
そして2018年土木学会選奨土木遺産に
選定されている。


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製作したイギリスの銘板もきれいに残されている。


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1899年に、Shaft & Axletree 社によって製作されたものだと
記されている。


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イングランド・バーミンガム近くの、
ウェンズベリーに立地していたものである。



この時期に、英国技師 C.A.W Pownall 設計による錬鉄製トラス橋が
日本全国に据えられた という。


表2 の下から2行目、1919年に廃止されたものが王子製紙株式会社に払い下げられて
大正13年(1924年)にこの地に移設されたと、上の看板に説明されている。



説明看板の裏面には、
200フィート・ダブルワーレントラスの青焼図があった。


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これを見て、アンモニア臭を想起する人は
それなりの年配者であろう。


当然ながら、スケールはインチ・フィート単位である。


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CADの無い時代であるからして、すべて手描きである。


構造計算にも、コンピュータは使用できない時代。


昔の人たちの個人としての技術力や知識は、
凄いものがあったのだと思う。


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現代は現代で、いろいろな知識の集積や電算機を利用して
更に進んだ技術を社会に提供しているのだけれども
身1つで開国したばかりの極東の国に出向いて
近代化に貢献した多くの欧米の技術者たちのようなことができる
現代人は多くはないのではなかろうか。


いや、実際には海外協力隊などとして、
現在でも多くの技術者が、各国で多大な貢献をしているのかもしれない。



建築の片隅の、建築設備の一番隅っこの欠片のホコリの一粒として
ほそぼそと糊口を凌いでいるだけのワタクシにとっては
縁遠い話ではあるのだけれども。
(「山線鉄橋」おわり)
posted by けろ at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 土木工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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