山頂駅から、ややしばらく坂を登ると
展望スペースがある。
そのど真ん中に、怪しいドームが立つ。
異星人による、通信装置か!?
もちろん、そんなわけはない。
裏側に回ると、正体が書いてある。
有珠山火山観測装置なのだ。
北海道大学理学研究院により
継続的に観測されているようだ。
(責任者名と電話番号は画像上消去した)
そしてそれは、リアルタイムで送信・集約・監視されていることだろう。
いちばん新しいのは、20世紀の最後、
2000年の3月のことであった。
数日前から火山性地震が観測され、
明らかに噴火の前兆であるとして、
付近一帯すべての人が避難した。
そのため、かなり大きな火山活動であったにもかかわらず
人的被害を生じることなく済んだのである。
数十年ごとの火山活動 が同じようなパターンで顕在化しており
それゆえに比較的予知のしやすい火山だということである。
さて、上の観測装置を支えるのは
エスロンパイプである。
口径150mmの塩ビ管である。
露出で常に紫外線に晒されているから
パキパキになっているんじゃないかと危惧するけれども
今のところは用を為しているものと思われる。
展望スペースから南を見ると、
噴火湾がある。
その向こうには、駒ケ岳が見える。
写真はイマイチだけれども、
なかなかの絶景である。
そして西側を見ると、
溶岩ドームが屹立している。
ホントの山頂は、あっちである。
たまに、崩落していることだろう。
北を見ると、
洞爺湖と、その中央部に浮かぶ中島。
更に奥には、蝦夷富士たる羊蹄山が聳える。
繰り返される火山の噴火という、
人間の力ではどうしようもない自然災害の地ではあるが
それゆえに温泉資源が豊富であって、
またダイナミックな大地の造形を間近に見られる場所として
平時には魅力的な観光地となっている。
そもそも、洞爺湖自体が大きなカルデラ湖である。
有史の噴火を遥かに凌ぐ超巨大噴火があった名残である。
ユネスコ世界ジオパークの認定地となっている。
実物も素晴らしいし、
過去の噴火を解説した火山科学館などもある。
何なら、洞爺湖観光汽船も運行している。
ジオマニア垂涎の地のひとつなのである。
(「有珠山頂」おわり)