どう考えるか、という思想の問題なのであろう。
左のマンションでは室外機をベランダに置いている。
ベランダの面積が食われるし、
水勾配次第では安定した置き方に配慮が必要だし、
壁貫通部から伸びる冷媒管が目立つし、
手すりと目隠し板のせいで空気流通が悪くなり
熱効率は落ちそうではある。
けど、メンテ(どうせ殆どしないんだけど)しやすいし
交換も容易だ。
室外機に直射日光が当たらなければ
冷房時は有利であろう。
一方、右のマンションではベランダ上部に
室外機が吊られている。
あまり広くないベランダだから、
吊ることによって面積を有効活用できる。
でも、この通り外から見て丸見えで目立つし、
架台の留め方が甘かったり古くなって錆びたりすると
落下しないかと不安にもなるし
メンテ(どうせ殆どしないんだけど)しづいらいし
交換も大変だ。
けど、開けた空間に設置されているだけに
外気との熱交換が比較的スムーズなのではないだろうか。
そうすると、同じ電力を消費する場合の冷暖房効率が高くて
節電・省エネになりやすいのではないか。
日射が当たらないのであれば。
たいてい、建築設備にはそれぞれメリット・デメリットがあって
どっちが絶対に完全に有利だ、なんていうことは少ない。
機能、効率、意匠、メンテ、更新、騒音、省エネ、省資源、
イニシャルコスト、ランニングコスト、などなど
トレードオフの関係にある事項も多々あるのだ。
それぞれの事項について、
何を優先するか、何に重きを置くか、
価値観は人によって時代によって地域によって異なる。
自分は、どう考えるか。
何に価値を置くか。
施主の意図、設計者の意図、施工者の意図、
それぞれがうまく噛み合うと
いいんじゃないかな。
そこに齟齬が在ることも
多いのだけれど。
(「室外機、吊るか置くか」おわり)