ワタクシは博物館の類が好みである。
一般的なものももちろんだが、
少々マニアックなものがあれば、
なおよろしい。
ただ、そうそう頻繁に行けるかというと
そういうわけにもいかない。
情報収集だけは、それなりに続けているのだけれど。
そんな中、存在は知っていたけれどなかなか行けていなかった所に
ようやく訪れることができた。
目黒駅から少々あるいた場所に、それは在る。
寄生虫を扱うところなのである。
このビルの1階と2階が展示スペースになっていて
一般の見学者を入場無料で受け入れている。
公益社団法人に認定されている。
「広く寄生虫学の発展に寄与することを目的とした」
公益に適うところであると認定されているのだ。
決して広々としたスペースではないのだが
ワタクシとしては見ごたえがあった。
1階の展示スペースは
このくらいのサイズ感である。
たくさんの寄生虫の標本が
ホルマリン漬けになっている。
中央の標本(表・裏)と、
壁面に並ぶ標本や説明パネル。
決して面白おかしいものでもないし、
費用をふんだんに投じてなんとか工藝社とかに委託したような
洒落た展示というわけではないだろう。
でもやっぱり「実物展示」は魅力的である。
じっくり見ていると、どんどん人がはけていく。
だから、こうして撮るタイミングも到来する。
2階に上がる。
山口左仲展示、寄生虫学の歴史、の小部屋。
昔々、顕微鏡とスケッチで進めた研究成果が
地味に並べられている。
地味だが、たいへん貴重に思える。
分電盤やライティングレールやエアコンよりは
人々に気づいて見てもらっていると思う。
人獣共通寄生虫という括りがあって、
ヒトや動物の体内で繁殖・成長する生活サイクルが
説明されていた。
こういうことがわかってきたのは
長い人類の歴史上においては
ほんの最近のことである。
昔は、「原因不明の病」ばっかりだったに違いない。
実際に人体から回収された、日本海裂頭条虫(サナダムシ)。
この長さを、よくぞキレイに回収できたものだ。
体感8.8mの真田紐は、
コロナ下ゆえ展示中止となっていた。
触るものは、基本的にダメなのね。
ま、仕方ないね。
実物標本は小さいので
大きくした模型も展示されている。
蠟などでこういうものを作り上げる人たちが
いるのである。
すごいね!
人体寄生虫にもいろいろあって。
ぎょう虫検査ってやつがあるけれど
「かつては80%以上の子どもに感染がみられた」
なんて書いてある。
日本の衛生環境の改善のほどがわかろうというものだ。
この建物の設備はと言うと。
そんなに特別なものは無い。
展示物を照らすために
ライティングレールが設けられているくらいで
あとはフツーの照明、火報、ITV、放送、非常照明、
そしてエアコンだ。
公開されていない研究スペースなどには
ちょっと特殊なものがあるのかもしれない。
ミュージアムショップのコーナーもあって
寄生虫プリントTシャツとか、写真集とか
各種グッズが置かれていた。
このテの博物館も好きだが、
寄生虫Tシャツを着て街を歩く度胸はない。
行くのが好きなのであって
積極的にアピールするようなタチではないのだ。
ま、人それぞれということで。
この目黒寄生虫館、入場は無料だ。
ただ、任意の寄付金は募集していて
募金箱が置いてある。
維持管理にも、研究事業にも、費用はかかるであろう。
ささやかながら箱に入れさせていただいた。
老舗の店舗やローカル鉄道線もそうだが、
閉店・廃止が決まってからそれを惜しむのは身勝手というものだ。
行く、買う、乗る。
自らが出来る限りの応援をして、支えるべきなんじゃないかと思うのだ。
ただ、応援者が不足して、あるいは運営費が嵩んで
維持が難しくなってしまったとしたら
廃業もやむを得ないことなのだ。
ボランティアではないのだから。
この寄生虫館には、頑張ってもらいたいなぁ。
機会を持てる方は、ぜひ訪れていただきたいものである。
(「行けそうで行けてなかった」おわり)