土地利用が上へ上へと伸びる傾向にある。
高価な土地を有効利用するには、
法律ギリギリまで容積率を稼ぐのが一番だから。
躯体形状は、道路斜線などで許される限界まで確保できるよう
ナナメになってしまうのは致し方ない。
でも設備機器は斜線制限の適用除外になったりするから
その気になれば結構置けたりする。
ああ、あそこにも、狭い所にびっしり並ぶ設備たちが居るじゃない。
隣のビルにも向こうのビルにも、
室外機やらキュービクルやら水槽やら冷却塔やら、
あらゆるモノが並べられている。
不思議と言えば不思議なんだけれども、
こんなに目立つモノがたっぷり載っかっているのに
その存在を意識する人は大変少ないのだ。
一般人だけではない。
「ケンチク」に関わる、特に意匠を気にする設計者においても
不思議なくらい、無頓着だ。
基本計画にも実施設計図にも内訳書にも記載されているのに
実際にモノがつくまで、その存在を気にすることがない。
クレーンで釣り上げられて、設置されてしまった後で
「目立つなぁ。邪魔だなぁ」
と言われても、そりゃ手遅れだ。
ま、でも暫くすれば、慣れるのだ。
じきに、視界から消え去るのだ。
そもそも、一般の人たちは
その存在に気付くことは無いのだ。永遠に。
だから、在っても無きが如くに扱われているから
問題ないのだ。
いざ故障したり古びたりして交換する段になると
またぞろ誰かの意識に上ってくるのだけれど。
それも、一時的なことである。
(「所狭しと載るモノたち」おわり)