とある集合住宅に目が留まった。
なんか、賑やかだったから。
片持梁で支えられた共用廊下用のスラブが
なんとなく心もとなく見えるのだけれども
それとともに、廊下に面した外壁面の賑やかさに
視線を奪われたのである。
給湯機や電力量計が埋まった、パイプシャフト風の出っ張り、
ぽつぽつと並ぶ玄関灯、換気フード、
片持梁同様の形状で下ろされる雨水排水管、
これらが、とってもいい表情を出しているように見えたのだ。
自転車まで置いてあるけれど、
避難通路としての幅は大丈夫?
とか
手すり脚部の曲げモーメント大丈夫?
とか、
他人事ながらちょこちょこ気になったりしつつ。
ぱっと見で目を引くイマドキのオシャレなスッキリした建物ではない、
ごちゃごちゃ感があったり、
古さを感じさせたり、
生活感ダダ漏れだったり、
そういう「フツー」の建物のほうが
味があるよなと思う。
じゃあどういう所に住みたいかと問われれば、
そんな表面的なことよりも
間取りだったり周辺環境だったり交通の便だったり
何より家賃との費用対効果とか、
そっちのほうが自分にとっては重要な要素だったりするものだ。
商売柄、給水給湯冷暖房のシステムも気になる。
見た目の賑やかさなんて、二の次なのである。
(「賑やかな共用廊下」おわり)