展示されていた。
はるか昔に現役を退いて、
普通であれば鉄くずとして溶かされる運命にあったところ
展示物としてその姿を後世に残す目的で。
現役バリバリの頃には、誰の目にも触れず
ただそこに在ってその役割を全うするのみであった。
いったいどれだけの人が興味関心を持ってくれるか
その説明板を読んでくれるのか
甚だ心許なかったとしても
それでも専用の基礎を用意されて
そこに在るを許されている。そんな存在。
そのまま展示しても面白くないと誰かが考えたか
モニュメント化されたものも、あった。
画としては見て面白いかもしれない。
さまざまな口径の管の輪切りが
同心円状に合体されていて
バーベキューで焼かれる玉ねぎ感を醸し出している。
造形物とみるか、悪趣味と取るか、
その人の感性にもよるだろう。
かつて各地で巡回展示されていた『人体の不思議展』的な
感覚を覚える人もいるのかもしれない。
(アレはなかなかキワモノであったと今でも思う)
いやいや、ただの配管たちであるからして
人体とは比較するようなものではなくて
単純に見て楽しめればそれで良いだろう。
現役の頃には決して人々の目に触れることのなかったモノが
こんなにも堂々と置かれて
都市を睥睨することになろうとは!
こういう場所があっても
いいよね。
(「役割を終えてなお」おわり)
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