2022年03月27日

かつてそこに在ったモノ

建物においては、
躯体の寿命に比べて設備の寿命は短いのである。


物理的に寿命が来る(壊れる)こともあるし、
社会的に寿命を迎える(陳腐化する)こともある。


物理的な面は、たいてい放置されていて
いよいよ動かなく、機能しなくなってきたら
仕方なく取り替えられるようなことも多い。

「予防保全」なんていう措置が取られるのは
ごく一部の建物に過ぎない(気がする)。



社会的な面では、
「見た目」に関わる部分において
結構意識されていて、
それゆえ、未だ機能できているものであっても
しばしば取り替えられたりする。



とある、トイレ。


22032701.JPG


車椅子対応の便器が置かれていたところだろう。

既に便器は取り去られ、
接続されていた給排水管から切り離されている。

壁埋込になっていたフラッシュバルブも
既に取り外されている。

たぶん、破損してしまったわけではない。
ここに設置されていた便器が
社会的寿命を迎えたと判断されて
除去されるに至ったのであろう。

やがて、新しい、そして多機能を有するモノが
据え付けられることであろう。



和風便器というモノも、
めっきり見かけなくなった。


22032702.JPG


ここでも、これはじきに解体撤去されて
洋風便器に置き換えられるはずである。



小便器もまた、そうだ。


22032703.JPG


床置ストール小便器が
3連になっていた様子。

既に本体は取り外され、
タイル面にその影だけが残されている。

感知センサーも、除去された後だ。


イマドキは、床掃除のし易さから
壁掛とされるのが一般的か。



そして、洗面器の跡。


22032704.JPG


カウンターはめ込み洗面器が
ここについていた筈だ。

カウンターと、それを支えていた台も
取り除かれて何か新しい造作になるのであろう。



建物が建て替わると
街の景色が変わる。

地図も変わる。



設備が替わっても、
景色や地図が変わるほどではない。



けれど、実際にその建物に入って利用する人たちにとっては
結構変わる面があるんだと思う。


ただ、それが認識されるのかどうかは
別の話なんだけど。
(「かつてそこに在ったモノ」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 衛生設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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