2022年02月16日

使う機会は無いほうが良いけれど

建物には、いろんな防災設備が設けられている。

万が一、イザという時のための、さまざまな設備だ。



自走式の立体駐車場の階段を降りていたら
壁面に粉末消火設備地図式操作盤が据えてあった。


22021601.JPG


確かに、走路や車室には、
粉末消火設備の放出ヘッドが並び、
配管が縦横に伸びていた。


それを、ここで操作できるようだ。



その脇には、ご丁寧に操作方法を説明したパネルも
貼り付けてあった。


22021602.JPG


なるほど、これを見れば一目瞭然。


いざという際にも、的確に操作できる……かな?



「え? これって、勝手に操作していいの?」


「建物管理者がやるんじゃない?」


「消防署からやってきた消防士が使うんじゃないのかな」


「で? でもそんな悠長なこと言ってる場合?」



たいていの防災設備は、誰かが操作しないと作動しない。



火災報知設備のように、感知したら鳴動して知らせるものはある。

が、「報知」はするんだが、火災そのものは「放置」だ。
何の手当もしない。



スプリンクラのように、自動で放水されるものもあるけれど、
消火器、消火栓、粉末などの特殊消火設備、排煙などなど
誰かが操作しなければ何の役にも立たない設備も多い。


ちゃんと操作されてこそ消火能力を発揮するのだけれども
操作されない限りは、ただの置物である。
高いカネをかけて設置されていても、
操作されない限りは無意味だ。



だから、本来は国民全員がそれぞれの操作方法を熟知していて
いざという時には的確に操作できたほうが良いに決まっている。

が、残念ながらそんな状況にはなっていない。


そもそも存在すら知られていない。



よしんば知っていたとして、
本当に操作する勇気があるかどうか。



たとえば上の粉末消火設備を作動させてしまうと、
その区画は粉まみれになるのだ。

どこかから賠償請求されたりしたら困る……。

自分がやらなくたって……。


たぶん、躊躇する。



だから、本気で火災から防護したくば、
自動作動する設備のほうが良いだろう。


法的には屋内消火栓を設ければ良い建物であっても
スプリンクラがあれば誰かの操作に期待しなくても初期消火が始められる。



しかしながら、誤作動という事態もあり得る。
火災をいち早く消し止める能力があるけれども
誤作動したら火事でもないのにあたり一面水浸しになる。



何ごとにも、メリットとデメリットがあるのだ。



状況に応じて、それらを理解した上で
取捨選択するしかない。



世の中、そんなに都合よく「いいとこ取り」はできないものなのだ。



時として「設けないほうが良かった」という事態もあるかもしれないのだ。

でも「設けておいて良かった」となる可能性だってあるのだ。

それは、なってみないとわからなかったりする。
そして、なるかならないかは、誰にもわからないのだ。
だから、どこかでエイヤッと決めるしかないのだ。



そう。たいていの事柄は
メリットとデメリットとの狭間をたゆたっているのである。



コロナ(に限らず)ワクチンだって、いろんな薬だって
自動車や飛行機だって、
使った場合、使わなかった場合のメリット、デメリットとが存在する。


そういうものなのだから、仕方がないのだ。



デメリットを重視して拒絶するもよし、
メリットを重視して受け入れるもよし。



ただね、「公共の福祉」ってものも
ある程度は考慮しなきゃならんのだと、
ワタクシは思うんだけどね。


ワクチンやらマスクやら、
そういうのが顕在化するご時世になったものだと
痛感するこの頃。
(「使う機会は無いほうが良いけれど」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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