2022年01月16日

キミはボクのファンなんだ?

キミは、ボクのものじゃない。
だから、あんまり勝手なことを言ってはいけない。


それは、わかっちゃいるんだよ。
モノゴト、弁えなくちゃいけないんだ。


それでもね、敢えて、言おうじゃないか。

「キミは、ボクのファンなんだ」と。


22011601.JPG


「ワタシはアナタのモノじゃない」


うん、わかってる、わかってる。

そうさ。法的に、ちゃんとキミの所有者は居るんだ。

でもね、法律は心の中までは縛ることはできないんだ。
この気持ち、ボクとキミとだけの場だったなら、
口にさえ出さずに、密かに心のうちで思うだけなのだったら
それほど人倫に悖ることでもない、よね?


美しいよ。その輝く鋼板のボディ。


これっぽっちも錆びたりしてないじゃないか。
出荷されたばかりのようなその肌が
ボクの目を引くんだ。


正面から、柔らかなキャンバスダクトが伸びて
しっかりしたスパイラルダクトのレジューサーに繋げられている。

そのフォルム、なんて魅力的なんだ。



22011602.JPG


そのダクトの先には、
赤と黒の表示も麗しく、
風量調節ダンパーが、
そのハンドルを下に向けて取り付けられている。

すぐ脇を、吊って支えてある。


国産の製品のはずだけど、
表示は英語なんだね。


むか〜し昔、日本語を廃止して
公用語を英語にしようなんていう意見もあったそうだから
その名残かな。

いや、そこまで古いもんじゃないね。



その先は、ずいぶん複雑だ。


22011603.JPG


エルボとか、あんまり好まれないのかな。

ダクト直付けとボックスとが多用されている。

まあそれは、キミのせいじゃない。
ダクト屋さんの都合なんだから。


それにしたって、亜鉛メッキの結晶がキレイだね。

ファンであるキミの前途を、祝福しているようだよ。


22011604.JPG


曲がる部分は、フレキダクトか。

まあそれがトレンドだよね。
90度・45度のエルボと直管スパイラルだけでつなぐなんて
大昔の考え方だよね。

圧力損失計算上は、テキトーだけどね。



VVFが途中で剥けて、さてどこの何に繋がっているのやら。



きょうボクは、
キミの所在と、周りとの関係性が知りたかったんだ。


そうか。


こういう環境に存在していたんだね。


よくわかったよ。



ボクのファンにはなりたくないって?



そうだね。ボクの家には、
キミは器が大きすぎるよね。


キミの吐息は、
ボクの家には激しすぎるよね。


いや、最初っからキミを狙っていたわけじゃないんだよ?


キミのことを、少し詳しく知りたかっただけ。

ボクの興味はそこまでだよ。



所有欲も、独占欲も、そんなのはないんだから
気にしなくていいよ。



今日はありがとうね。

急に、明るくしてゴメンね。
眩しかったでしょ?


天井内にしては、妙に埃っぽいなと思ったけど、
まあそういう所だってあるよね。



さて、目的は達したから、
もうおいとましようか。

もう、キミに逢うことも無いかな。


もしも縁があったなら、
またこの天井点検口を開けて
キミに逢いに来る可能性も、ゼロじゃない。



でも、ずっと先の未来に
ボクがここに来たとして、
キミがまだそこに居るとも限らない。



一期一会。

世の中、そういうものなんだ。



それじゃ、ね。サヨナラ。
(「キミはボクのファンなんだ?」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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