2021年12月20日

パイプシャフトが無くっても

建築士の製図試験に関連して、
良く訊かれた質問。


「機械室やパイプシャフトって、
 延床面積の何パーセントくらい必要?」


確かに、何らかの資料を見ると、
統計資料としてそのような率が書いてあるものも
無いわけではない。


けれども建物なんて、それぞれが一品生産品で
設備システムもさまざまだから、何とも言えない。

どんな用途で、どんなシステムを採用して、
どんな使い方をするかによって、
グレードをどうするか、どのくらい隠すかによって
全然違ってくる。

そうとしか、言えない。



まあ、試験の場合だったら
「このくらいにしておけば無難」っていう線を
押さえておけば合格に近づくのだろうから
試験対策としてはそういうアプローチもあり得よう。


でも実際の建物の計画であるなら、
まずは前提条件からおさらいしていく必要があろう。

面積云々は、それからだ。



統計資料は、さまざまな実例の傾向を見るために
処理された結果であって、
個別の事情とはいささか異なるものであったりする。



30代女性の所得はどのくらい?

日本人の寿命は何年?

○○県人の体重は何kg?



たくさんの事例を集めて、平均したり標準偏差を取ったり
中央値を見たり、いろいろ統計処理すれば
何らかの数字は出てくる。


けど、個々の人間にピンポイントで当てはまるかというと
全然そんな事はない。


設備スペースに関する数字も、そんな感じだ。



21122001.JPG


こんな建物だと、
空調のための機械室やパイプシャフトのスペースは
無いのかもしれない。床面積としては。


熱源である室外機も、配管も、
全部外壁に貼りつけてあるのだから。


機械類を全部屋上や外壁に据えてしまって、
配管も全部屋外露出にしてしまえば、
機械室もパイプシャフトも要らない。

その外観を、意匠的に許容できるのであれば。


ポンピドー・センターみたく、
敢えて観せるという意匠も、あり得よう。



外壁に、蔦を這わせて、配管も這わせて、
あらすてき。


21122002.JPG


そういう感覚が社会一般に広く受け入れられるような
そんな日が来ることがあるのならば、
これでも良かろう。



ただし、台風の襲来が多いとか、
冬期は凍結するとか、
噴煙が常に襲来するとか、
そういう自然条件によって「露出」が望ましくない場合もあるので
何ごとも条件次第なのである。


でもって、いちばん影響の大きい条件が
「コスト」だったりするのかもしれない。
(「パイプシャフトが無くっても」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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