2021年09月21日

ストーブもいいけど換気には注意を

すんごく暑かった夏も、今週の秋分を経て徐々に収まり
一日のうち昼間の時間が短い季節へと移っていく。


朝晩寒さを感じるような季節になってくると
暖を取りたくて、ストーブなど燃焼機器を引っ張り出してくることに
なるかもしれない。


こんなやつとか。


21092101.JPG


灯油タンクを自前で持っている、石油ストーブ。



これなら、ストーブ本体と着火源としてのコンセント電源があれば済むから
お手軽に暖を取ることができる。



できるんだけど。



特に近年の比較的新しい建物であれば、要注意だ。



こういうストーブは「開放式」と言って、
室内の酸素を使って灯油を燃焼させ、
燃焼後の廃ガスはそのまま室内に放出するタイプなのである。


燃やせば燃やすほど、室内の酸素を消費していくものなのである。


だから、常に室内に酸素が供給される環境に置かなくてはならない。

「酸素発生装置」があるわけじゃないから、
新鮮な外気を取り入れて酸素分を補給してやる、ということになる。



たとえば、時々窓を開ける。


たとえば、換気をしっかりする。
ただし、排気用の機械を動かすだけじゃ、心配だ。
ちゃんと外気が取り入れられる状態でなければ
酸素が供給されないから。



室内の酸素が減ってきたら、どうなるか。


燃料中の炭素原子が酸素原子としっかり結びついて
二酸化炭素になりたいのに、
酸素が足りなければ一酸化炭素しか作れなくなって
廃ガス中の一酸化炭素濃度が上昇する。


一酸化炭素は血中のヘモグロビンと結びついてしまって
酸素を運ぶ邪魔をする。
それによって一酸化炭素中毒になる。


それで死亡する危険性が、かなり高くなるのである。



古い古い、隙間だらけの建物だったら、
自然に隙間風換気が行われるから、少しマシではある。



築100年近い古民家に済んでたじっちゃばっちゃが
新築の住宅に引っ越した際に、
「今まで平気だったけん」と同じようなストーブの使い方をすると
危険だよ、ということなのだ。



というわけで、
燃焼機器を使う際には、くれぐれも換気に注意していただきたい。


暖房用でも、給湯用でも。



灯油やガスで暖房するなら、FF式の機器にすれば、
屋外の空気を使って燃焼させ、廃ガスもそのまま屋外に放出するので
給排気管の施工がちゃんと出来ている限りにおいて、安全だ。


排気だけ行うFE式の機器だと、燃焼用酸素の不足はどうしようもない。
安全装置が働いて自動停止するように作られてはいるが、
換気が不全だと、頻繁に停止して「故障かな?」と勘違いすることになる。

あんまり頻繁に止まるので、安全装置を切ってしまった結果起きたのが
昔のパロマの給湯機事件だ。

直接的には機器メンテナンス担当者の責任ではあるが、
燃焼空気への配慮が無かった建築設計にも責任の一端はあったはずだ。
FEの機器を据えながら、ちゃんとした給気を設けなかった故に生じた
設計不良が本質的な原因なのだから。
そういう報道は、ほとんど無かった気がするけれども。



というわけで、だんだんと燃焼機器のお世話になってくる時期に向かっていく。
(ま、給湯は年中使用しているだろうけど)

換気には、ご注意。
(「ストーブもいいけど換気には注意を」おわり)
posted by けろ at 09:00| Comment(0) | 換気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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