住宅はかねてより木造が多かったのだけれども
中大規模の建築物にも採用されるようになってきた。
木造耐火建築物なんかも定義されて、
大規模な庁舎や、高層の共同住宅なども
企画されるようになってきた。
国の政策 として、木造化率を高めようとしているということだ。
林野庁でも 説明 されている。
さて、そうなると建築設備においても木造建築物とのコラボが
多数生じてくるわけである。
従来であれば、木造戸建住宅、
あるいはせいぜいアパート程度の小規模共同住宅くらいでしか
採用の無かった木造。
ほぼ「設備設計」など行われず、プロット図だけを元に
水道屋さんや電気屋さんが状況に合わせて施工していた。
けれども、中大規模の木造建築物が建てられるようになると
それに伴って「設備設計」「設備施工」が
今までRC造やS造との付き合いしかなかったようなワタクシのような者にも
関わりを持ってくるようになってきたのである。
RC造とは、機器類や配管類の納まりが大きく異なる。
月刊建築技術6月号でも 記事 になっていた。
何が違うって、一番大きいと感じるのは、梁との付き合い方であろうか。
RC造やS造であれば、梁貫通という手法が通用する。
構造の梁成に応じて、ある程度の貫通孔を設けて
そこに配管やダクトを通すことができる。
しかし木造の梁の場合には、基本的に貫通ということができない。
よって、梁下に通すか、梁を横断しない形の納まりにするか、
どちらかになる。
梁下に通す場合には、天井高にも影響してくる。
RC造マンションやS造事務所ビルのように、
梁貫通でダクトを通しまくって階高を抑えるなんていうことは
できなくなるのである。
上の写真、梁下ギリギリを狙って、冷媒管とドレン管とを通している。
電力ケーブル類は、梁下をまたいで通している。
梁の形状は、コンクリートに比べると縦長だ。
梁の間隔も、RCやSよりも狭く、本数が多い。
よって、納まりの制約も多くなってしまうのだ。
木造ゆえ、下地も軽量鉄骨ではなくて木材だったりする。
となると、PSの造作も木材で行われることになる。
ドレン管と冷媒管が通るだけの、ちっちゃいパイプシャフトだけれど
とにかく何らかの囲いを設けるにもこんな感じになる。
機器を吊る場合にも、RCスラブやデッキプレートからの
インサート金物やアンカーからというわけにはいかないから
木材に打ち付けた鋼材から吊り棒を吊ることになる。
とにかく、梁成が納まりを支配することになる。
木造架構の構造計算とのやりとりが、RCよりも大変である。
梁成が小さい部分や、天井が下げられる部分だと
少〜し納まりが楽になるけれども。
これからは、確実に木造の建物の規模が大きくなる。
高層建築物も、増えてくる。
だから、設備業界も追いついていかなくてはならない。
設計者も、施工者も。
RC造やS造とは、全く別の論理がそこにあるのだから
油断しているとなかなか大変なことになってしまう。
なんて、周回遅れのような記事を書いているようじゃ
ワタクシも底が知れているということなのだけれど。
(一応、今までもいろいろ木造には触れちゃいるんですけどね)
(「木造の天井内は梁との闘いだ」おわり)