高木記念館という建物が保存されている。
それは 北海道長沼高等学校 の敷地内にあって
白い外壁が青い空に映える、そんな建物である。
なぜか、北海道の高校は「北海道立〜高等学校」と称さずに
「北海道〜高等学校」と呼ばれるようだ。
歴史的経緯 があったのか、無かったのか。
だいぶ年季が入っている感はある。
また、いろいろな部分に手が加えられていることもわかる。
小さいから目立たないけれども
白く塗られた換気用のセルフードがついているのもわかる。
あれは、当初の建物には当然無かったはずのものである。
階段を上がって、入り口がある。
今だったらバリアフリーの観点からあり得ないけれども
浸水や腐朽から建物を守るために
床面を地面から上げて造るのが当たり前であった当時は
普通のアプローチであった。
「であった」なんて書いているけれど、
そんな時代にワタクシは存在していないから
全部伝聞でしかない。
町教委による説明文には、こうある。
大正12年築の旧役場庁舎であって、
しかもその「2階部分」なんだそうだ。
1階部分は、保存するほどの価値が無かったのか、
予算その他大人の事情なのか、
あまりに朽ち過ぎていて仕方なかったのか、
その経緯については書かれていない。
建築当時は、おそらく薪か石炭のストーブにより
暖房していたことであろう。
けれども現代はむしろそれらの調達が大変であるし
取り扱いの難もあるから、
移築に際して灯油ストーブを取り付けたものと思われる。
なぜなら、タンクが屹立しているから。
脚の錆び具合から見ても、
相応の年数を経ていることがわかる。
長沼町は内陸部に位置するため、
潮風による腐食ではないのだ。
ずいぶんと長足だねぇ。
仕方がないのだ。
これだけ床面が高い建物の暖房機器に灯油を供給するなら
タンクはこの高さにしないと自然流下で到達できないのだ。
さもなくば、オイルサーバーにて揚油してやらなければ
ならなくなるのだ。
そんなに多量の電力を要するわけではないけれども
自然流下で供給できるなら、それに越したことはないのだ。
そんなわけで、こんなに長い脚となっているわけである。
重心が高いので、これを留めるアンカーやコンクリート基礎も
それなりの強度を持ったものにしてやる必要がある。
短い束石を埋めただけじゃ、
ひっくり返ってしまうから。
学校の敷地内だから、
無断で出入りすることはできない。
校門を入って駐車場脇にあるから
物理的には用意に到達できるけれども、
正当な理由なく立ち入れば「不法侵入」に該当する恐れがある。
なので、気になったとしても無闇矢鱈に見に行くことはできない。
えっ? ワタクシは?
学校に用事(お仕事でんがな)があって訪れたので
不法には当たるまいて。
でもさ、せっかくこうやって保存してあるんだから、
せめて案内のWEBページくらい作ればいいのに。
そして、見学案内でも載せておいて、
「ご見学の方はご自由にお越しください。ただし
校地の他の部分へのお立ち寄りはご遠慮下さい」
くらい書いておけばいいのに。
そしたら、仕事のついでじゃなくて
目的地としてじっくり見に行くこともできるのに。
なんて、好き勝手なことを書いてみたりする。
(「長沼町の高木記念館」おわり)