窓と網戸との隙間に、テープが貼ってある。
もちろん、網戸は開けられない。
開けてもらっては困る、そういうことだ。
ネズミ一匹どころか、虫一匹も通さない、
厳重な隙間処理である。
なぜ?
テーブルの上に、
説明文をラミネート加工したものが置いてあった。
ガムテープと一緒に。
「手付かずの自然の中にある施設」ゆえ、
虫が、とくにカメムシが侵入してくるから、
そういうことなのであった。
「虫出たくらいで、いちいち騒いで従業員を呼びつけないでね。
自分で取ってちょうだい」
ぶっちゃけ、そういうことなんだろう。
そうそう。
すっかり都市化された場所に住んでいる人にとっては
ムシたちが我が物顔でやってくるのは非日常なんだろうけれども
やつらの生息域に割って入っているのはヒトなのであって
ヒトこそが邪魔者であったりするのだ。
それが嫌なら、自分で何とかする。
または、それらの生息域から出ていく。
それしか、ないのである。
オロフレ荘、明治32年からあるっていうんだから、
北海道内としてはかなり由緒あるところだ。
登別温泉から、更に奥地に入ったところに存在する。
北海道発の 国民保養温泉地 に指定されたところだともいう。
こういうリストを順に訪れてみるのも
一つの楽しみ方であろう。
(「網戸だけじゃあ足りない」おわり)