公営の団地なんだろう。
各階住戸用の集合煙突が
屋上から何本も生えている。
煙突ストーブが当然だった時代には、
集合煙突は無くてはならないものであった。
建築基準法第2条第三号の定義によれば、「煙突」は「建築設備」とされている。
でもこんな感じの煙突は、どうみたって「建築」だよね。
工事区分も「建築工事」だし。
躯体とは別に建てる鋼管煙突だって、設備屋さんの範疇とは言い難い。
ステンレス板製の細くてペラペラの丸い煙突くらいが、設備の扱える範囲だろう。
もっとも現代は、煙突式ストーブ自体が
新築ではまず利用されないのだろうけれど。
ただ、こういう集合住宅に引っ越すのであれば
煙突式ストーブを購入する必要がある。
ホームセンターなんかにも売ってるし。
ストーブ本体だけじゃなくて、
本体設置場所から集合煙突までの煙突直管、曲管をつないで、
それらを天井から針金か何かで吊ってやる。
ストーブまで灯油を運んでくる配管も必要だし、
灯油を貯めておくタンクだって置かなくちゃ。
古いタイプの建物だと、給油設備を中央式にはしていないだろう。
各住戸の玄関先なんかに小型のタンクが置いてある。
タンクローリーから給油ホースを長〜く伸ばして入れてもらうか、
ポリタンクに入れてもらったやつを、えっちらおっちら運んで
自分で自分の家のタンクに移すか。
バブルの頃のマンション(当時、石油価格がとても安かった)なんかだと
地下オイルタンクからオイルポンプで屋上の中継タンクに送り、
そこから重力で各階PS内にある戸別タンクに送り、
各住戸の各室の灯油コックへと配管でつないでいく。
これだと、住人に給油の手間はないのだけれど
設備費は当然のことながら結構かかる。
急に寒冷地に転勤になったような場合、
どんなタイプの暖房器具を使えるのか、
リサーチがとても重要だ。
コタツがあれば……なんてわけにはいかないものだから。
燃料は灯油か、ガスか、オール電化か。
煙突式か、FF式か、蓄熱式か。
燃料調達は自分でやるのか、建物単位でできるのか。
ごくたまに都市部だと地域暖房も無いわけじゃない。
給湯にも言えることなんだけど。
(「煙突のある集住」おわり)