現物がそこにあるのは、心も踊る。
この石垣、補修されているとは言え、
やっぱり良いではないか!
これが出来てから、一体何百年を経たか。
時を経て、今なお存在することに
感嘆するのである。
一方で。
かつてのモノ、実物とは異なるけれども
「復元」「再築」などを経て、
今その姿を現すものも、ある。
鉄筋コンクリート造で、エレベーターまでついているから
「現物」には程遠い。
それでもまあ、これが建てられてからそれなりの年月を経ているし
往時のホンモノとは異なるにしても、
それらしい意匠と威厳とを放っている、と言えなくもない。
これはこれで、
唾棄すべきものとは思われない。
やっぱり、ステキなのである。
学術的には、いろいろと齟齬もあろう。
歴史に精通している方にとっては、
非常に物足りないものであるかもしれない。
しかり、これはこれで、
実際に各地より訪れる人々が多く居るということからして
やはり魅力的な存在なのである。
元々のものから、様々に手を加えて、
特に設備系はもうそっくり入れ替えたような状態で、
それでも「現物」の良さは(100%ではないにしても)残っているわけで。
現行法規、耐震、防災、バリアフリー、その他多くの制約をクリアしながら
現代に遺してきたその事実がまた、尊いのである。
最新の建物は、いろんな流行り廃りに左右されつつも
やっぱり魅力を持つものであるし、
朽ちかけの廃墟を専門に回るマニアだっているし、
世の中の様々な事象には、
とにかく魅力が詰まっている。
そんなこんなを、垣間見つつ、
仕事に、学業に、励むのも良かろう!
あ、なんか報道らしきカメラが回ってる。
府内で、なんかの事件なり不祥事なりあったんだろうか。
ニュースの背景に、役場庁舎や警察庁舎が写っているのは
とってもよくある構図。
でも、そんな安易に流されないで、
もちょっとちゃんとした「画」を撮ったらいいと思うんだけれど。
面白くないじゃん?
現物でも、復元でも、それぞれが特長を持っていて、
魅力を放っているからこそ、画になるんだ。
没個性の、ありきたりの、決まりごとのような「画」なんて
望まれちゃいないんだと思うよ。
いや、他の人のことはわからんのだけれど、
少なくともワタクシは、望んじゃいないのだ。
それにしても、「報道」って、
もっとどうにかならんものか……。
(「現物は現物なりに、復元は復元なりに」おわり)