公共下水道網が寸断されてしまい
建物の排水を流すことが出来なくなることがある。
水道管網が生きていたとしても
排水が流せない、というのは非常に困る。
災害対策本部が置かれる役場庁舎とか
生命の危機が生じる病院とか
なんとかして機能を維持しなければならない建物も
少なからずあるのだ。
そういう建物では、
公共下水道が復旧するまでの間、
建物のピット内に汚水を一時的に貯留しておけるように
対策をしているところもある。
具体的には、建物各所から出てきた排水を、
公共下水道に流すのではなくて
流路を切り替えて建物ピット内に戻すための
「切替桝」 のようなものを設置する。
普段は、普通に下水に流すだけのインバート桝である。
左から右へ、ただ排水が流れるだけなのだ。
けれどもイザ事が起こった場合、
中の部分(インバートプラグ)を持ち上げて、90°回転させて置く。
こんな深い場所には手が届かないから、
穴に引っ掛けて引っ張り出せるような
フックのついた棒を用意しておくわけであるが。
こうなる。
左から来た排水は、右に行かずに下に落ちる。
下部に配管をつないでおいて、
緊急時排水槽まで配管しておけば
イザという時に役立つのである。
飽くまで、緊急時用。
だから、全然使用されないのが望ましい。
けれども、緊急時に使用できない状態になっていたら意味がないから、
たまに操作試験を(訓練を兼ねて)したら良いのだろう。
関東大震災の教訓を元に9月1日に催される、
あるいは東日本大震災を契機に9月11日に開催される、
避難訓練などの際に。
その際には、排水が流れない状態で行うのが望ましいけれど。
役場庁舎とか、大規模病院などで
この排水桝を探してみてはどうだろうか。
あんまり見かけないけれど、
見つけられたらラッキー、ってことで。
(「下水道がやられた時のために」おわり)
【関連する記事】