次は「せつび」なのである。
何度も用途変更を含む改装が行われているので
内部の設備関係はかなり入れ替わっているはずだ。
20世紀初頭の建築時は銀行であり、その後ホテルとしても利用されていたのだから、
給排水も空調換気も配電も何度も更新されているに違いない。
防火耐火避難関係も、消防設備関係も、一切合切基準が変わるのだから。
それでも、いにしえの香りのする設備類と、最新の設備類とがほどよく混在する
そんな状態になっているように思えてくるのだ。
1階展示室、ステンドグラスギャラリー内には、床置の放熱器が据えられている。
あるものは、露出で。
あるものは、壁埋込みで。
用途はじっくり追いかけていかないとわからないであろう配管も
ところどころに見ることができる。
ただし、目立たないように壁と一緒の真っ白に塗装されている。
配管は、床下から来ているのであろう。
この展示室は2層吹き抜けだからか、
上部にも放熱器が吊られている。
放熱器、といっても水系ではなくてHFC冷媒系だけれど。
そういえば、外にGHP室外機が並んでいたっけ。
船室をイメージしたような……
エレベーターの かご である。
これは、ホテルとして利用されていた頃のものであろうか。
そして、照明器具。
展示室内は、基本的に現代の照明器具なのだが
階段室や廊下などに使用されているのは、
展示室から出張してきたような、美術品そのものである。
結構贅沢に、ふんだんに利用されている感じである。
現代のライティングレールとスポットライトは真っ白なので
「美術品照明」が映えるのである。
ミュージアムショップで、ふと上を見上げると
このシャンデリアもまた、結構な美術品そのものであるようだ。
後付けのダクトは、これまた真っ白に仕上げられていて
たぶん誰にも気づかれない。(exceptせつび屋さん)
展示室内には、機械排煙設備の排煙口。
どうせ暗いから、目立つことはない。
ちなみに、上記写真は地下1階の撮影可能な展示室内である。
2〜4階は撮影禁止だから、画像は無い。
「せつび」の仕事をしていて嬉しいのは、
こうやって展示品、建築とともに「設備」をも楽しめるということなのだ。
1粒で3度「おいしい」のである。
グリコ にまさる、おいしさ!?
(「似鳥美術館のせつび」おわり)