旧北海中学校(現・北海学園大学)は校舎そのものがある。
村内の少し高い部分にあるから、
日光に白く映えて目立つ。
明治18年の北海英語学校を起源とし、
昭和27年に4年制大学が開設された
北海道における最初の私立大学 ということである。
明治41年築の本館が、復元されている。
レンガ基礎を基礎とした木造校舎。
当時の外構がどうであったのかは、わからないけれど
現在は豊かな自然に囲まれた洋館、という雰囲気だ。
煙突が各所に取り付けられているが、
2つ前の画像のように、眼鏡石だけあって煙突が無い部分も多い。
屋根からの落雪にも耐えなければならないから
実際に使用しないものについては撤去してしまったのだろう。
維持が大変だから。
内部で照明やコンセントは使用されるから、
電気設備関係は後付けでしっかり設けられている。
建物よりも、盤のほうが古そうに見えるのが、何とも。
校舎内には、当時の様子が感じられるような展示が設けられている。
ずいぶんと、天井の高い教室だ。
この天井高で、この照明で、
冬の午後はさぞかし暗かったのではないだろうか。
暖房は、教室後方隅にある石炭ストーブだけ。
近くの席では、背中だけが異様に熱くなるし、
教室対角上の席では、全く暖かみを感じなかったんだろう。
しかも、暖気はどんどん室上部に昇ってしまう。
足元は、いつだって冷気がスースー走っていたに違いない。
使用されていない眼鏡石は、
塞がれていた。
各室の天井四隅には、
換気口が開けられている。
当時の服装……って、
服装持ち物よりも、顔のほうが気になってしまうのだが。
なぜ、この手のマネキンを使ったのか。
この時代に中学校に通う生徒たちは
小学校卒で働きに出る子どもたちの多い中で
一定のエリート層だったのだろうか。
カネさえ出せば、希望者ほぼ全員がどこかしら「大学」に行ける現代とは
隔世の感である。
科学技術も、人文科学も、学ぶことが格段に多くなっているということもあるが
「意欲」という面では、どうだろう。
コロナ禍の影響で、遠隔授業になった学校が多くあった。
むしろ、通学して対面で授業を受けなくっても
別に構わないんじゃないか。
ネットでも書店でも、
昔よりも遥かにわかりやすく、段階別によくまとめられている教材が
ゴマンとある。
外国の大学の講義だって、ネット経由で視聴できる。
本気で学ぼうとするなら、
現代は過去に比べると
非常に恵まれているといえる。
惜しむらくは、
学ぶ「意欲」という、売買できないものだけが
現代ではむしろ欠損しているのかもしれないのだが。
(「旧北海中学校」おわり)