「味わい」に欠ける面もある。
だって、何もかもぴっかぴかで、
しかもほとんどの「せつび」は
あるものは天井内に、あるものはシャフト内に、
またあるものは床下に隠されてしまって、
見えやしない。
ほんの一部、グリルとか放熱器とか水栓あたりが見えるだけなのだ。
その点、年季の入った建物はひと味もふた味も違う。
建てられてから現在までの、
いろいろな歴史をその身に刻み、
それが随所に残されているからなのである。
ここに、1つのガスメーターがある。
取り付けられてから幾星霜。
こののち、あとどのくらい利用されるものなのか。
ん……。
それにしても、古すぎないかい?
計量法の規定では、8年ごとに取り替えられるはずだが?
いや、でもわからん。
これは飽くまで、内部的に使用量を把握するためだけのもので
使用料金の根拠として利用されるようなものではないのかも知れない。
そのあたりの経緯がわからない以上、
軽々に疑念を挟んではなるまい。
とにかく、味わい深い、ガスメーターなのであった。
(「古い型のガスメーター」おわり)
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