2020年04月14日

三浦綾子記念文学館

旭川市の外れ。


「見本林」という場所がある。



『旭川市外国樹種見本林』というのが正式な名称で
明治31年に植栽されたのだという。


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多くの外国樹種が植えられ、今は立派に聳えているのだが
近くを流れる美瑛川とともに自然豊かな散策場所として
親しまれている、という。


その一角に、三浦綾子記念文学館 が建っている。



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あまり三浦氏のことを知らなくても、
『氷点』という作品名は、
どこかしらで耳にしたことがあるかもしれない。

何度も何度も、
ドラマ化、映画化されてきた。

時代を超えて普遍的な、愛憎劇である。
そして「人間」を、深く抉る。



三浦氏は、若い頃教員として過ごし、
敗戦を迎え、社会の価値観の大転換に面食らい、
そして結核を患い……と、波乱の半生を歩んだ。


40歳を過ぎてから懸賞小説に応募して後、
作家としての歩みを始める。


そんな、氏の足跡が展示されている場所なのである。



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この類の箱物は、地元自治体によって整備されたり
するものであるが、
ここは民営の施設である。


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北国の情景に馴染む、
洒落た造りである。



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「文学館」とは、何を展示するのか……。



博物館にも書の展示があったりするが、
文学館は「文」がモノを言う。

そんな、展示。



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氏が遺した数々の作品中から、
さまざまな文が並べられている。


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令和の時代からみると、
少々古めかしい文体と感じる向きもあるかもしれないが
「重み」のある作中のセリフが、妙にしっくりと来る。


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展示室を仕切る暖簾にも、
作中の言葉。



小ぢんまりとした建物の2階から
ホールを見下ろす。


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星、雪、といったモチーフが
基本デザインとなっているようである。



吹き抜けの上部は、
明かり窓である。


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吹出口のノズルや
間接照明という部分に
「せつび」を感じるだろうか。



たびたび展示替えをしているようである。


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階段踊り場の窓から
見本林が見える。


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天井に並ぶ、「せつび」の数々。



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結構にぎやかではあるが、
展示の邪魔をしている感はない。


設計の段階で、
また現場の途中で、
建設に関わった方々の苦労が
いろいろとあったのであろう。



だいぶ前の、日本。

それでも、明治や大正ではなくて
昭和の時代の日本。

そのあたりを体感するのに
良い施設ではないだろうか。



「郷土資料館」的なところだと、
一気に江戸時代くらいまで遡ってしまうから。



旭川といえば、旭山動物園 かもしれないけれど
こんな文学館も訪ねてみてはいかがであろうか。
(「三浦綾子記念文学館」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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