『旧三菱鉱業寮』がある。
保存復元工事を経て、
たいそう綺麗になっている。
旧永山武四郎邸との接続部分付近。
かつて、煙突を通していた孔が見える。
玄関。
いきなり、バリアフリーではない。
時代的に、そんな発想は無かった。
文化庁登録の、有形文化財である。
耐震補強を兼ねて、保存修理工事が行われて
現在のようにきれいになったという。
内部の暖房は、
FF式温風暖房機で行われている。
給排気トップは、高く高くカーテンボックスの上まで
立ち上げられている。
天井に設けられていた換気口は、
塞がれていた。
そりゃ、寒いに決まってるから。
母子像。
この外壁に、昔は煙突が貫通していたのであろう。
「電話室」というスペースが、
残されている。
もう、時代劇の世界だな。
2階への階段は、狭くて急だ。
それが当たり前の時代だ。
流石に、手すりが取り付けられていた。
2階。
天井裏に上がるための梯子と、天井点検口。
火災報知器や非常照明は、現代法規の要請による。
使われなくなったスイッチボックスは
プレートで塞がれている。
こちらのトイレは、来館者が使えるように
新しくされている。
洗浄便座付である。
電気ヒーターも取り付けられている。
200Vコンセントも、そのための電源ケーブルもメタルモールも
後付だ。当たり前のことながら。
換気扇。
どうせなら、コンセントは左に付けたら良かったんじゃないだろうか。
室内の照明器具も、
現代のもの。
2階のFFストーブの給排気トップも
立ち上げてあった。
灯油配管は、床ころがしだ。
このオイルサーバーで、地上の灯油タンクから
揚油する。
揚油管と、送油管。
タブレット盗難防止用のケーブルを巻きつけるには
たいへん心許ない、細くて弱い配管なのであるが。
所轄消防によっては、返油管を付けるように
指導されることもある。
照明器具や火災報知器や誘導灯は、現代のものだ。
昔の雰囲気を損なわないように
それでいて現代の利用に耐えるように
さまざまな苦労があったのであろう。
この時は寄らなかったが、
1階には オシャレなカフェ もある。
こういった形で文化財の中で楽しめるのは
良いことであると思う。
記念物として単に鑑賞するのも良いけれど、
せっかくの建物なんだから、「使ってナンボ」であるとも
言えるんじゃなかろうか。
旭山動物園 よろしく
「動態展示」ってやつだ。
古〜い設備の、動態展示も
やってみたらおもしろいんじゃないかな。
効率が悪くて、排ガスが濃くて、材料劣化が早くて、
難しいのかな。
(「旧三菱鉱業寮」おわり)