この建物の中を、見てみよう。
下から見上げると、
ガラス清掃ゴンドラ用のレールがついているのが
わかるだろうか。
建物は、日々の風雨に晒されて
ホコリやチリや黄砂などが付着して
だんだん汚れていくものである。
汚れのつきにくい素材が、
日夜研究開発されていくにしても
全くのノーメンテ、ノー清掃で平気なほどのガラスは
今のところ建築に利用されたという話を聞かない。
だから、ガラスで覆われた外観の施設では
それを清掃するための何らかの装置が設けられているものなのだ。
さて、このA棟。
虹の下水道館の2フロア上、最上階には
大体育館と展望回廊が設けられている。
その展望回廊から、
実際に展望してみようじゃないか。
と、上がってみるのだが。
外の景色よりもまず、
廊下天井面の汚さが目についたのであった。
これは……?
屋根なのか、外壁面なのか、
どこからか雨水が入ってきて
こういう事になったのかどうか。
もしくは、結露水か。
天井裏を見もしないで、
屋上や外壁を間近で見ることもなしに
不用意なことを言ってはいけないのだけれど。
ま、「何ともない」わけじゃない、とは
誰が見たって言えるのである。
ガラス面に向かって並ぶ、
線状吹出口。
ここから空調空気をガラス面に吹き付けることで
ガラス面からの外皮負荷を除去しようとしている。
歩行面上部に点々と並ぶのは、
ダウンライト。
ちょっと間隔をあけて
スプリンクラヘッドや、非常照明や、スピーカー。
空気を吹き出すばかりじゃ、
空気が余ってしまうから
ちゃんと吸込口もあるのだ。
四角いやつ。
って、もしかするとこれも吹出口なのかもしれないけど。
それに、線状吹出口の数に対して、
吸込口がこれだけじゃ、ぜんぜん足りない。
だから、
廊下面に、でっかい吸込口が
設けられている。
この壁の向こうは、
空調機械室かな?
ただのDS(ダクトスペース)であるかもしれない。
消火栓や、誘導灯も
見えるだろう。
壁についている、センサーに気づくだろうか?
温度と、湿度のセンサーじゃないかと思う。
測定するだけではなくて、
測定結果に応じて調節する機能がついているものも
使われる。
温度調節器(サーモスタット)、
湿度調節器(ヒューミディスタット)である。
でも、ちょっと複雑な制御をしようとなると
センサーとして温湿度データを取るだけにして
別途どこかのバックヤードスペースに設置した制御盤内で
演算やら予測やらを経て
電動ダンパーやら自動弁やらの開閉調整などによって
室が目的の温湿度になるように制御する。
ここについているモノが、
センサー(温度検出器、湿度検出器)なのか、調節器なのか、
この見てくれだけじゃ、わからない。
小さく書かれたメーカーの型式番号を見て、検索でもすれば
きっと出てくるだろう。
窓越しに「展望」すると、
すぐ隣のB棟屋上に突き出た煙突が見える。
何らかの、燃焼機器が設置されているということだ。
って、展望というには近すぎるな。
東京タワーが見える、くらい言わないとね。
そして、B棟のガラスアトリウム内部は
プールになっている。
このガラスも、掃除しなくちゃならない。
右側にある梯子に登って、掃除するのは
おっかなそうだ。
内面も掃除できるようになっているはずだ。
……展望回廊に上がったけれど、
近場ばかり見ていて、展望してないや。
ま、それはそれで、良いのだ。
(「有明水再生センターA棟」おわり)