曲線と、全面に貼られたガラスが目立つ建物だ。
昨日のビル側面 には、多数の換気フードが散りばめられていたけれど
このビルにはそんなものはついていない。
でも、これだけの建物だ。
必要とする換気量は、相当なものだ。
どこかに、それに相当する空気取り入れ口と排気口が
ついているに違いないのだ。
反対側の面にも、
それらしきものは見当たらない。
こういうビルだんだから、
こんなによく見える場所に換気用のフードやガラリを並べるような
野暮なことはしない。
バックヤードとか、他ビルで陰になる裏面とか
そういうところに集中して設けられているんだろう。
その、怪しい裏面は……。
この外装に、それらがうまいことカムフラージュされているんじゃ
ないだろうか。
こっちの面を、平面計画上の「コア」にして、
設備機械室やPS、EPSなどを並べるようにすれば
このようなビルにも必要な換気量をまかなうことができよう。
実際のところは、
このビルに入ってみたわけでもないし
図面も見ていないから
わからないけれど。
こういう見てくれの建物にしようとすれば、
当然設備費もその分たくさんかかる。
「カネは全然無いけれど、すばらしく洒落た建物にしたい!」
いろんな知恵を絞って実現しようと努力するにしても
すぐに限界は来てしまうのである。
服だって車だって食べ物だって
「すばらしく洒落たモノ」にはカネがかかるのだ。
建物だって、同様なのだ。
無理やり見た目だけ何とかしようとすると……
「ハリボテ」と称するものが、出来上がる。
それを「残念な」とか「痛ましい」とか「情けない」とか言う人もいるし、
「頑張ってるな」とか「見た目これなら十分」と納得する人もいる。
それだけのことだ。
(「壁にはなんにも見えないけれど」おわり)