上部がすっきりしている。
昔は、そうではなかった。
建物本体の上に、
エレベーター機械室と
高架水槽室とが乗っかっていたのだ。
(高置水槽、と記したりもする)
こんなふうに。
本体の上、塔屋1階部分が、エレベーター機械室だ。
更に上、塔屋2階部分が、高架水槽室だ。
上のは寒冷地の写真だから、水槽は躯体の中に納められているけれど
凍結の恐れが無い地域であれば、水槽は露出で乗っかっている。
集合住宅の規模にもよるけれど
エレベーター機械室よりも、
高架水槽のほうが床面積を必要とするから
塔屋2階部分のほうが広くなっているのがわかるだろうか。
もちろん、今の建物でも
高架水槽を絶対に置かない、というわけではない。
でも、かな〜り、少なくなっているはずだ。
今どき、高架水槽を置くメリットがあまり無いから。
整備された公共上水道網、
性能の良い加圧給水ポンプの登場、
直結増圧給水方式の開発と採用可能地域の拡大、
高層部における重量物を避けることによる耐震安全性への配慮、
などなど、制度的・技術的・社会的環境も整ってきている。
築何年って書いていなくても
建物の形状である程度の年代がわかろうというものだ。
エレベーターをマシンレスタイプに更新して
高架水槽方式から直結増圧給水方式に改修して、
という改修が行われている建物は
結構多いのではないだろうか。
それでも、あの塔屋部分の躯体を切り取ってしまった例は
ワタクシは見たことがない。
(「昔の建物には高架水槽室があった」おわり)