『アイヌ語地名と北海道』なる特別展が開催されていた。
札幌市郊外、隣の江別市との境界近くに、
それは建っている。
かなり重厚なファザードである。
江別市が「レンガのまち」だということも
関係しているかもしれない。
「江別のれんが」は、北海道遺産に登録されているし。
重厚、なんだけれど
なんかちょっと、古ぼけた感もしないでもない。
メインアプローチのタイル貼りが
一部崩れていて、コーンが立ててあったりするから
余計にそう思わせるものがあるのかも。
近年になって、大規模改修をしたようである。
軟石づくりの塀に館名が彫り込んであるが
その上部には、かつて照明器具でもあったのかどうか。
玄関上部は、見上げるとすごい。
エントランスを入ると、
吹き抜けに掛けてある布。
北海道章と、それをモチーフにしたデザインの
タペストリー(って呼んでいいのかな、これ)。
「ようこそ北海道へ。」
空港にあるかのような、横断幕だ。
北海道の地名に関わる重要文化財とか、
いろいろ展示がある特別展なのであったが
第1章・第2章部分は、撮影禁止であった。
だから、撮っていない。
伊能図とか、いろんな文献原本だとか、
見始めるときりがないくらいの資料が満載で
非常に見応えがある。
そんなに広〜いスペースじゃないから
周囲の人たちはどんどん流れていってしまう。
校外学習とおぼしき、小中学生の団体とか。
一般のお客さんも、結構足早に通り過ぎていく。
まあ、それはそれで良かろう。
そんな楽しみ方もあるのだ。
ワタクシは、「じっくり眺めたい派」であるというだけだ。
さて。
第3章以降は、撮影OKである。
天皇陛下行幸の際に描かれたという
北海道観光地図!
でかい!
そして、大胆なデフォルメ。
伊能図は、学術的・技術的に圧倒されるのであるが
これはこれでまた、すんごい存在感がある。
あとね、
明治時代の、北海道移住開拓者に向けたパンフレット。
これを見て、現地状況を知って
一旗揚げようと大勢の人たちが北海道に渡ったようだ。
ホント、かなり詳しいんです。これ。
国策だったから、力を入れたんだろうな、きっと。
そして、夢やぶれて、あるいは寒さに屈して、
郷里に戻った人たちも少なくなかったようだ。
子どもも大人も楽しめる、
ゲーム形式の展示もあって。
よく作ったなぁ、という感想と
この発想はどこから? という素朴な疑問と。
白地図に一所懸命書き込む地理の勉強を
遊び心でできる、そんな逸品。
地名しりとりって、
すぐに限界が来そう……と思ったら
北海道内の市町村は179もあるから
なかなかどうして、結構続くのであった。
50個もつなげられなかったけど。
挑戦した後に「元の位置に戻してね」が
けっこう大変なのであった。
今や博物館・美術館には欠かせないミュージアムショップは、
エントランスすぐのところにある。
(建築士の製図試験課題では、当然押さえておくべき点だろう!)
そこには、特別展の図録が売っていた。
展示資料すべてを載せていて、
いろんな解説が載っていて、
普通だったら2、3千円しそうな気がするモノが
なんと! たったの880円(税込)!
本物の息づかいとかスケール感とか、
そういうのはわからないから
「本展示を見なくてもこれさえあれば十分」とは思わないけれど
本展を見た上で購入するにはうってつけに違いない。
少なくとも、ワタクシの感覚では
この上ない掘り出し物レベルである。
迷わず、購入した!
とにかく、いろんな土地の博物館は
楽しいのだ!
(「北海道博物館『アイヌ語地名と北海道』」おわり)