古い浄水場を改修して「記念館」として整備した施設という。
階段を上がったところが、正面入口……と思いきや、
1階のガラス自動ドアから入る。
(階段の上のドアからも入れる)
「入り口」と表示してあるのは
1階だ。
隣には、現在の浄水場が建っている。
少し小高い位置にあるので
市内中心部を見渡すことができる。
「パノラマ」というには、ちょっと高度が足りないけれど
テレビ塔やJRタワーなどの建物が見えるようだ。
マンションも、すごくたくさん見える。
本施設自体はだいぶ古いようであるが
外装はきれいに改修されている。
見た目は新築と変わらない。
後方にあるのは、現浄水場。
中には、いろんな展示があるのだ。
古い時代の、木樋水道。
明治初期までは、こういうものだったのか。
現在は……
鋳鉄管を使用し、継手部分の機構も耐震化されているのだ。
地下に埋まっている配水管がどうなっているのか
様子がわかる展示もある。
実際にこういう感じで見えたら、
おもしろいだろうなぁ。
十字型の継手などは
普通の建築設備では使用しない。
水道資材ならでは、である。
細い給水引き込み管は
本管にかぶせて孔をあけて取り出すのである。
かつての躯体の肌が
少し残されている。
配管なども展示として残されている。
その他は、説明展示やら、子どもたちのための遊具など。
水道用のマンホール蓋なども
床にはめ込んである。
「抜けない」を可視化するために
こうやって持ち上げた写真があったりする。
家庭内の水道管のつながりも
見えるようになっている。
蛇口が反対向きについているのがわかるだろうか?
冬期、水道管が凍ってしまわないように「水抜き」をするのだが
鳥居配管部分の水が非常に抜けにくい。
水抜き栓を操作したあと、
この「逆向き蛇口」を少しずつあけると
ここから空気が入っていって
配管内の水がスムーズに抜けるようになる。
寒冷地にしかない設備かもしれない。
水抜きをしたあと、うっかりこの蛇口を開けたままにしていて
次の日にそのまま水抜き解除してしまうと……。
この逆向きの蛇口から水が噴き出すことになる。
気をつけないとね。
「子供向けの施設」という体裁を取っているが
それだけ「わかりやすい」展示・説明となっているのであって
大人が見ても、ためになるのではなかろうかと思う。
日本全国に、こういった水道関係の展示施設があるはずだ。
ぜひ、いろんなところを見てみて欲しい。
共通のものは何か、その土地特有のものは何か、
そういった観点で見るのも、おもしろかろう。
水道も下水も電力も道路もそうだけど
「インフラ」というものは、
長い年月をかけて地道に整備されてきて
今日がある。
そして、都市として機能している限り、
廃墟として放棄されない限り、
定期的に補修・更新され続けて
将来にむけて維持・拡張・高度化されていく。
先人と現代の人の合作であると言えよう。
これらのインフラを、後世に良い形で残していくのも
現代人の務めだと言えるのではないだろうか。
(「札幌市水道記念館」おわり)
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