2019年08月05日

設計外気温度というものがあって

たしか、7月中旬くらいまでは
あんまり暑くなかったんじゃないだろうか。


5月下旬、突発的に
北海道で今期国内最高気温を観測するような事態があったにせよ
このところの全国の猛暑は凄まじい。

昨夏の酷暑も大変であったが
遅ればせながらやってきた今夏の高温は
体が慣れるための猶予が無かったこともあって
なかなか堪えるのでは。



「記録的猛暑」とか「非常に厳しい寒気」とか
毎年何らかの極端た気候がやってくるものだ。


で、そんな時に思うのだ。


「設計外気温度を超えちゃってるな」



そう。



冷暖房を設計する前提となる「熱負荷計算」では
過去の気象データなどに基づき、「設計外気温度」を決めている。

地球温暖化傾向に伴って、徐々に高めの数字になってきているが
夏はそれより暑い日があるし
冬はそれより寒い日もある。



「建築設備設計基準」平成30年版では
東京における冷房設計用の日最高乾球温度は 34.7℃である。

たとえば設計室内温度が 28℃(かつては 26℃であったが)の時、
外気温が 34.7℃を超えてしまったら、
室温は 28℃を上回ってしまっても仕方がない、ということだ。

でも、そういう日はたくさんあるはずだ。


そもそも、「東京」という括りで設計条件を設定しているけれど
東京都内でもかなり気温の差が大きいことは
アメダス記録や地区別気温予想などを見れば
一目瞭然だ。



だから「冷房の効きが悪い」って
文句を言いたくもなる気持ちはわかるけれど
「そういう設計なんです」と言うしかなかったりするのだ。



暑い、寒い、というクレームは
その感じ方の個人差も大きくて、
なかなか難しい面がある。


だから、設計条件は条件としてあるのだけれど
ある程度の余裕を考慮したくなるものでもある。



余裕を見過ぎると「過大設計」だし
あんまりギリギリだと、
設計条件を超えた時にクレームの嵐になるのも心配だ。



とっても細かい数字たちを使って
さも厳密そうな体をして出てくる熱負荷計算書だけれども
じつにアバウトで、あいまいで、
不確実なものであったりするのだ。

自然の脅威の前には、
かくも脆いものだったりするのだ。



数年後、さらに温暖化(なのか、それとも都市排熱の増加に伴う
ヒートアイランド現象の激化なのか)が進んだ場合のことだって
無視するわけにもいかないし。



そんなこんなを考えつつ、
いろんな数字を弄びつつ、
最終的に、計算結果の[W/u] の数値も参照しつつ、
しばし頭を悩ませる時が必要となるのだ。
(「設計外気温度というものがあって」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 空調設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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