北海道登別市にも、その名の土地があって。
博物館や資料館といった、
人の手による事物の展示は面白いものだ。
それとは別に、
自然の織りなす情景というものもまた
感慨深いものであったりする。
特に、火山地形には、
動きを感じられるという特性があると思う。
とにかく、ワタクシは火山地形も好きなのである。
石積みから、管が生えていて
「地熱注意」と表示がある。
水抜き用のパイプから、
熱水でも出てくるのであろうか。
模型が置いてあった。
これを見れば全体像がわかる……かな?
至るところに噴気孔があって
湯気が立ち上っている。
その場所によって岩肌の色が異なっていて
成分やら何やらの違いが出ているのであろう。
この「地獄谷」を囲むように
遊歩道が作られており、
「地獄のパノラマ(?)」を見て歩くことができる。
ところどころに
「○○地獄」と彫り込まれた石が立てられている。
いろいろ名前を付けたようだ。
が、徐々に地形も変わっていくようで、
正直良くわからない。
誰かが、あれをあそこに置きに行ったのであろう。
もちろん、観光客は遊歩道外に出ることは禁止されている。
向こうに見えるのは、
登別温泉街のホテルの一つだ。
第一滝本館。
「だいいちたきほんかん」
ではなくて
「だいいちたきもとかん」なんだそうだ。
この地獄谷の景色を展望できる
絶景の浴室が備えられているという。
……ということは、地獄谷を歩く観光客からも
丸見えのはずなのだが、まあそこは温泉地のお約束なのだろう。
まあ、双眼鏡を構えて覗く輩も多くはあるまいし、
それにたぶん、見えるのは男性浴室のはずだ。
木材で組まれた遊歩道は、谷の縁に沿うようにつくられている。
比較的地熱が低く、植物が生えるあたりギリギリを狙っているようにも見える。
古い遊歩道跡も各所に残っているのが見えるので
火山活動の状況に合わせて随時作り替えられているのであろう。
実際、この遊歩道は随分新しく見えた。
まだ1年も経っていない、いや、つくりたて、という感じだった。
まだ「木の匂い」が漂うくらい。
岩石とか鉱物とか詳しかったら、
なお面白かろう。
谷の中央部を、
小川が流れている。
湯の川になっている。
噴気孔とともに、
湯が湧き出している孔も随所に見られる。
あの川自体が、
そのまま源泉となりそうだ。
そこここに、「立入禁止」の看板。
てことは、立ち入る輩が時々いるんだろう。
あの看板を付けた人は、
関係者だからいいのだ。
植物の分布で、
地熱の様子がわかりそう。
風雨による斜面崩壊や侵食も
進んでいるのであろう。
一部、谷の中央部に降りていける部分がつくられていて
降りていった先に
湯溜まりがある。
あるのだが。
こういうところがあると、
硬貨を投げ入れる人が
一定数いるようで。
4ヶ国語で注意書きがあるものの。
しっかり投入されているのである。
そして、ここは硫黄泉。
各種金属でつくられた硬貨たちは
激しく腐食していくのであった。
夜でも歩けるように
遊歩道には照明器具が取り付けられているのだが。
当然のことながら
金属部分はボロボロになる。
だから、時々付け替えられるのであろう。
火山地形。
地球の大規模活動のうち
ごく一部が露呈しているものに過ぎないけれど、
人間のスケールからするとやっぱり大きくって
それを目にすると圧倒されるのだ。
土木構造物を見ると
「建築の設備って、なんて小さくて細かいんだろう」と思うのだけれど
地球の構造物を見ると
「人間の涙ぐましい努力も、地球規模で見るととっても矮小だ」と
感じざるを得ない。
それもこれも含めて、
楽しい火山地形なのだ。
(「地獄谷は全国各地にあるが」おわり)