「徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと」
を読んだ。
氏は、建築のギョーカイの人ではない。
その方が実際に自分のマンションをリノベーションした体験を綴ったものである。
この本の最大の特徴は「徹底的に顧客目線で書かれている」ことです。リノベやリフォームに関する本の多くは、設計士やリノベ会社などプロによって書かれており、「専門的で詳しいけれど、初めてリノベする客の気持ちがわかっていない」と思うこともよくありました。
だからこの本は、リノベ業界で仕事をされている方にもぜひ読んでいただきたいと思っています。(「はじめに」より引用)
そう。
ともすると、「ギョーカイの常識」は「世間の非常識」だったりするのだ。
多くの人にとって、
自分が関わっている以外のギョーカイについては、
いろいろと疑問に思うことが多いはず。
医療機関にかかったとき、
報道機関に関わったとき、
学校関係者に出会ったとき、
経営学の研究者に会ったとき、
クリエイターと話をしたとき、
いろいろと「違和感」を感じることがあるかもしれない。
そんな「違和感」は、
建築ギョーカイも周囲に振りまいているはずなのである。
そこにどっぷりと浸かっていると、
気づかないだけで。
そんなこんなが、
とってもよく分かった本だった。
建築や設備に関わる方々にとっても、
そうではない方々にとっても、
参考になる部分が大変多いのではないかと思う。
氏はブロガーとして今まで多くの文章を書き、
数冊の著作がある。
だから、文書も読みやすいし。
ビフォー・アフターの写真も多く掲載されていて
視覚的にもわかりやすい。
個人的に、特に印象に残った言葉。
「両者で共に創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」
共同プロジェクト型取引では、「問題は起こって当たり前」で、「それをどう共に解決するかが重要」です。
実はリノベ会社の人も、リノベが共同プロジェクトだということを言語化できていません。
共同プロジェクト成功の鍵はコミュニケーション(「第3章 リノベは客と業者の共同プロジェクト」より引用)
自分自身、漠然とそういう感覚を抱いていたようなのだけれど、
ちゃんと言語化されて提示されると、すんごく納得できたのである。
ご一読をお薦めする。
(「リノベ体験本を読んだ」おわり)