だから、混合栓を一番熱い側(左側)にすると
熱湯(といっても60℃だけれど、十分に熱い)が出てしまう。
幼児や高齢者が使用する場所では
うっかり熱湯を出してしまって火傷をすると大変だ。
というわけで、熱源機や貯湯槽から送られてきた給湯を
あらかじめ水と混ぜて温度を下げてから
各混合水栓に送る……というようなことをしたりする。
たとえば浴室で熱湯シャワーが出ないようにするために
こういうものを脱衣室とかバックヤードに設けたりする。
右下の部分(布が巻いている)に給水管がつながっていて
左下の部分には給湯管がつながっている。
この装置で両者を混ぜ合わせて、たとえば40℃にしてから
浴室内に送る。
上から出ている管が、それだ。
温度計も取付けられていて、何℃で送る設定になっているか
見ることができる。
(画像では見づらいが、40℃になっている)
この40℃の管を伸ばして、シャワー混合水栓の給湯側に接続すれば
一番高温にしても、40℃までにしかならないから
火傷事故を防ぐことができるのだ。
ちなみに、右下の給水管側に布が巻いてあるのは
おそらく結露しちゃって水滴がつくから、なんだろう。
浴室用のシャワー水栓には、温度調整部分にポッチ(ボタン?)がついていて
そのままでは40℃以上に上がらないようになっている製品もある。
ポッチを押して回すと、もっと高温にできる。
熱い湯を使いたい場合には、これでよいのだが。
そんなに熱い湯が必要ではない場所であれば、
危険防止のために大形サーモスタットを使用するもの一考である。
安くはないが。
じゃあそもそも、ボイラーや貯湯槽で40℃の湯をつくって供給すればいいのでは?
そう。
瞬間湯沸機くらいならば、それで良いのだけれど
ちょっと離れた熱源機で加熱して、貯湯槽にためておくような給湯システムの場合には
60℃くらいまで加熱する必要があるのだ。
40℃だと、いろんな菌が繁殖しやすいから。
常在菌で、健常者には特に悪さをしないものたちが
40℃の湯の中で大量増殖して、
幼児や高齢者、病者といった、抵抗力が一般成人よりも弱いひとたちに
重篤な症状をもたらすことがあるのである。
だから、60℃というのは、抗菌のためでもあるのだ。
このような器具の他に、
そもそも40℃以上の湯が出せない(熱湯が出る範囲まではレバーが動かせない)
タイプの混合水栓もある。
そういうものを使うことも良かろう。
熱湯による火傷。
意外に気づきにくいかもしれない。
(「大形サーモスタットで熱湯防止を」おわり)
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