2019年03月20日

ミライザ大阪城と相互理解

大阪城公園の本丸地区に
ちょっと小洒落た建物が建っている。

ミライザ大阪城』という施設として
営業しているらしい。


いろんな店舗・施設が入っていたり
イベントが開催されていたり、
中もなかなか楽しそうではあるのだが
あいにくそこまでの時間がない。

でも、せめて外回りくらいは見て回ろうか。



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大阪城天守閣と時を同じくして
昭和6年に建てられた第四師団司令部庁舎。

戦後は、大阪市警視庁、大阪府警本部を経て
平成13年まで大阪市立博物館。

平成29年(2017年)から、ミライザ大阪城としてオープンしたという。


当時としても、
相当気合の入ったデザインだったに違いない。



機械換気なんてロクに設けられなかったであろうから
地階の採光・換気としてドライエリアを設けるのは
当然の要請であったかもしれない。

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ここに入ってきた雨水は
堀に流れるようにでもしてあるのだろうか。


電気系はみんな後付だけれど
建築的にも設備的にもいろいろと
手を加えていることだろう。



せっかくだから、
裏手に回るのだ。



正面側も、それ相応の美しさを備えているのだが
やはり「せつび」は裏手に回ってこそ、だ。

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機器類、配管類、ダクト類、ケーブル類が
みっちりと据えられるのだ。


2017年オープンに合わせて改修したのであろうから
設備系はみな新しく見える。



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荘厳とも言える歴史的建築物に付加された
さまざまな設備。


それぞれに理由があって、意味があって付加されている。

「ミライザ大阪城」がその機能を果たすために必要だから
設置されたものである。

フェンスや植栽で視覚的に緩和を試みているようだ。



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受水槽も、それなりの容量が必要だ。

キュービクルも、結構なサイズになる。

昭和6年当時には、どのくらい電気を使っていたかわからないが
現代の電気使用量は比べ物になるまい。



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非常用発電機も必須。

大改装して用途変更して商業・娯楽複合施設として整備するのだから
建築基準法、消防法をはじめ、
さまざまな関連法規を満たすようにしなければならない。



建物の隅角には『隅塔』が設けられている。

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中世ヨーロッパの古城をイメージした意匠なのだという。



庇すら、凝っている感じがする。

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金属手すりの類は、後付だろう。
いつごろからあるのやら。



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純和風の大阪城と、
古欧風のミライザと。



防災関係は、ピッカピカ。

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連結送水管、連結散水設備の送水口は
もうこれでもかというくらいのビカビカ・ステンレス。



水道メーターのボックスも、新しそう。

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露出でポリ管が出ているのは
一体なんだろう?



敷地用の屋外消火栓は古いまま。

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せめて塗っても良かったのではないかと
思ったり。



制水弁筺も、年季が入っている。

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建てた当時は
「無駄金使って、欧州かぶれしよってからに」と
批判があったかどうかはわからないけれど
建物の意匠って年数が経ってみてその真価を発揮するような気がする。

構造的には、必要な強度(だんだん要請が高くなる)を満たすために
何らかの対策をしなくてはならないし

設備的には、必要な機能(用途や時代によって変化する)を果たすために
随時変更していかなくてはならない。

時代を経て価値を継承してきた意匠をあまり損なうこと無く、
いかに補強し、機能を構築するか。

そのあたりは、それぞれの領域の担当者が
どのくらいお互いを理解できているかにかかっているのだろう。

そんな気がするのだ。

「お互いを」というところが、ミソだと思うのだ。


言うのは簡単なのだが
実務的にはなかなかどうして大変なことなのだ。
(「ミライザ大阪城と相互理解」おわり)
posted by けろ at 22:00| Comment(0) | 設備一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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