仙台空港ターミナルは、東日本大震災の時に津波に襲われ、
浸水した。
しかし、現在は通常稼働している。
空港ターミナルビルには
ガラスが多用されている。
下から、空調空気が吹き出されるようになっている。
上の方は、よく見えない。
けれど、おそらく上からも吹いているのであろう。
ライトアップ用の照明器具も
これでもかとついている。
実際に全部点灯されるのかどうかは
時間的にわからなかった。
日射遮蔽は、
ロールスクリーンで行っている。
完全に遮蔽する必要があるわけでもないから
このくらいの隙間があっていいんだろう。
ところどころにある、空調塔。
上が吹出し、下が吸込みなのか
どちらも吹出しまたは吸込みなのか
わからない。
が、こういうモノが、ロビー内にいくつも立っている。
これだけの大空間だから
空気の流れについてもシミュレーションを行うんだろう。
こんなに天井が高いのだから。
ガラス面たっぷりで、
日射をスクリーンで遮蔽するくらいなのに
照明器具は照明器具で点灯されている。
あんまり褒められたものではないかも知れない。
屋根全体がうねっている。
変な形を、トラスで支えて、支えて。
こういうのの構造計算って、
とっても面倒臭そうだ。
いくら計算そのものはコンピューターでやるとは言え、
その前段は人間が段取りしてやらなくちゃならないから。
左下に『出雲へ』という看板が立っているけれど
仙台〜出雲という旅客需要がそれなりにあるんだね。
意匠的仕上げに合わせて
空調・換気やら、照明やら、
放送やら、スプリンクラやら、
いろんな設備がきっちりはめ込まれているのだ。
搭乗待合室は
こういう形状だ。
中央に空調塔が立っている他に、
左壁面にノズルが並んでいる。
ガラスは、透明であってこそのガラスなのだから
まめに掃除しなくてはならない。
だから、掃除用のゴンドラがついている。
当然中だけじゃなくて外も拭かなくちゃならない。
ガラスを多用した建築物を計画する場合、
ゴンドラをどのように支持するか、動かすか、
考慮しなくてはならない。
なかなか、大変なことだ。
ガラス面に沿っている、肋骨のような鋼管。
よく見ると、小孔がたくさん開いている。
ひょっとして、これが吹出口かな?
鋼管を、空調ダクトとして利用しているということなのだろうか。
だとしたら、面白い。
ぐるっと回った鋼管の先、
ガラスと反対側の壁面を見ると
なんとなくダクトを囲ってあるっぽい細工に見えてくる。
柱のような部分は、立ダクトだったりして。
真相は、わからないけれど。
空調塔近影。
ルーバーの内部に、
別のルーバーがついているのが見える。
あまりにもガラスガラスで
日射がきつすぎたかな?
この形じゃ、
ロールスクリーンにするわけにもいかないし。
ボーディングブリッジから搭乗口を振り返ると、
床下にたくさんの空調機が並んでいたのだとわかる。
仙台だと、雪の吹込みとか、あんまり心配する必要が無いのかも知れない。
上空から、宮城県の沿岸が見渡せた。
震災の半年後に訪れたときには、
津波によって渫われてしまった沿岸部が異常であったが
歳月を経て復興が進み
かなり平常感が感じられた。
松島付近も。
そう。
たとい、巨大地震であろうと
広範囲な津波であろうと、
地道な復興・復旧によって
新たな日常が造り上げられていく。
現地で遭遇した方々の
そして全国各地から駆けつけた方々の
想像を絶するはたらきによって
ここまで回復しつつある。
(もちろん、まだ途方もなく道半ばであることは
概念としては理解しているつもりだ)
しかし、どうだ。
福島第一原発の事情は。
あまりにも、途方もない状況下にある。
だから、思うのだ。
地震、津波、台風など
災害の多い日本国には
原子力発電所は適切ではないのだと。
それに携わる多くの技術者たちの
途轍もなく偉大な努力の結晶であることは
重々理解しているつもりだ。
しかし、ひとたび事故のあった際のリスクが
あまりにも大きすぎることを考えざるを得ないのだ。
そんなこんな思いつつの、
空路。
(「仙台空港ターミナル」おわり)