ガラス越しに日射が入ってきて
でもその入射エネルギーがすぐに外部に放出されることはない。
だから、建物内部に日射熱が溜まっていく。
要するに、温室なのである。
デザイン的には
ガラスカーテンウォールは秀逸であろう。
スッキリした質感が
他の素材では表現しにくい。
さりとて、この暑いニッポンにおいて
『温室』を造っておいて
「でも、冷房しなきゃ。省エネもしなきゃ』というのは
自己矛盾と言えなくもない。
「設備で何とか……」というのは
今の時代には相応しくない。
エネルギー収支を勘案した上で
建築物理を意識した上で
「設備」は補助的な位置づけでなくてはなるまい。
そう。
物理現象に逆らっては、
何事も出来ないのだから。
物理現象を超える状態を実現しようと思えば、
エネルギーを投入した上で別の物理現象を強制的に実現する必要が生じるのだから。
うまく使えば、
たとえばヒートポンプだったり
ヒートパイプだったり
投入エネルギーを上回る効果を得ることもできる。
下手に使えば、
ただのエネルギーの無駄遣いだ。
あいにく、このビルでどのような設計がなされているのか知らない。
ワタクシのような者が、
こんな大規模プロジェクトに関わる機会など
未来永劫無いかもしれない。
きっと、どこかの誰か、
優秀な設備技術者や建築環境プランナーが
相応しい計画をしているに違いない。
そう思いたい。
温室を造りました。
惜しみなくエネルギーを投入して冷房しました。
……そんな事には、なっていない筈だ!
いずれにしても、
意匠設計者がそのあたりを理解した上で「最適解」を追求していく必要があるのだ。
(「温室の日射負荷をどうしたものか」おわり)