2019年01月10日

福島第一原発を見てきた

過日、東京電力福島第一原子力発電所を見てきた。


いまだ「発電所」と称されてはいるが
もはや発電はしていない。

廃炉に向けて、
途方もない作業をひたすら続けている状況である。



現地の写真は、無い。

一切の撮影機器は持ち込み不可である。

カメラ・スマホどころか、
カバンから財布から何から、
すべて置いていくように指示される。

事前に参加者名簿を提出し、
当日も免許証など写真付きの身分証明書を持参して
個人個人の確認を受けてからでないと
見学することができない。

実際、うっかり免許証を忘れた方は
見学を許可されず受付場所で待機させられる羽目になっていた。



また廃炉が決まるまえの「もんじゅ」を見に行ったとき
同様であった。

セキュリティなどを考えると
まあ当然の措置とは言えよう。



まずは現地からだいぶ離れた場所で、
現状についてのレクチャーを受ける。

免許証を提示し、個人確認を受ける。
当然、コピーも取られる。

そして、東電で用意した見学者用バスに乗り込む。



そして、30分ほどバスで走る。
国道6号線である。



帰還困難区域外も、人の気配が少ない。

実際、町外に避難したまま、戻らない方も多いという。



田畑が放置され、雑草や低木が繁茂している。
または、太陽光発電パネルで覆われている。



国道のみ、自由通行が許可されている地域を通る。
その区間では、枝道はすべてバリケードで閉鎖されている。

車の換気も、内気循環にすることが推奨されている。

帰還困難区域の国道両側の街は、
原発事故以来、時間が停止している。



原発敷地に入ると、
バスを乗り換える。


参加者一同の、集合写真を撮る。



これは想像なのだが、
記念写真なのではないのだ。
「この人物たちが、入場した」という
証拠写真なのだ。

何か事があれば、
貴重な捜査情報となるはずである。

まあ別に、ワタクシには疚しいことは無いのだが。



セキュリティチェックを受け、
線量計装着などを経て、
敷地内用のバスに乗る。



それから一時間ほど、
説明を受けながら、バスで敷地内を巡った。



燃料棒を取り出し終わった、4号機。

デブリは残されたままだが、
ひとまず燃料プールの燃料棒を取り出すべく鋭意作業中の、3号機。

上部建屋を壊してから、燃料プールから燃料棒を取り出そうと図る、2号機。

上部建屋は吹っ飛んでいて、同様に燃料棒取り出しを目指す、1号機。



原子炉格納容器から溶け出して燃料デブリの処理は、
まだまだ手付かずだ。

しかし、それ以外の部分については、
7年超にわたる途方もない努力によって
かなり片付いてきている印象である。



とうてい、このようなブログで、
様子をお伝えすることは適わない。

ぜひ、ご自分の目でご覧になることをお奨めする。



現地に行けない場合であっても、
出版済みの資料を見ることはできるであろう。



たとえば、

ニュートン別冊 よくわかる,発生から事故処理まで
        原発を考えるうえでの必須資料

『検証 福島原発1000日ドキュメント』



また、

『福島第一廃炉の記録』西澤丞/みすず書房/2018.3.1



西澤氏の撮影により、
東電のサイトにも逐次画像がアップされている。


廃炉プロジェクト




ぜひ、見ていただきたい。

考えていただきたい。



原発推進賛成にしても、反対にしても、
よくよく思考を巡らせていただきたい。

単純化しないでいただきたい。

物事にはいろいろな側面があり、
個々人により、さまざまな評価があり、
価値観がある。


その中で、
国民として、
総体的に、どのように考えていくべきか。
捉えていくべきか。
合意形成をしていくべきか。



土木、建築、機械、電気など
技術にかかわる方々は
それぞれの工学分野において

研究に携わる方々は、
それぞれの理学・工学分野において

社会科学に関わる方々は、
その領域において

各位の知識と経験を元に、
発信していただきたい。



大本営発表のような形ではなく。



ともかくも、
事情がゆるすならば現地を見ていただきたい。

ワタクシ自信も、
できれば数度にわたり
訪れてみたい。

考えてみたい。

感じてみたい。
(「福島第一原発を見てきた」おわり)
posted by けろ at 22:00| Comment(0) | 電気設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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