『ニッカウヰスキー余市蒸溜所』が存在している。
観光地として、それなりに知られていたが、
NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」で一気に知名度が高まり
今や海外からの観光客も多く訪れる場所となっている。
少し季節を遡った頃に訪れた。
古くからの石造りの建物に手を入れつつ
現在でも使用している。
当然、屋根を葺き替えたり、傷んだ部分を補修したりして
かなり手が加わっているのであろう。
それでも、全体の雰囲気をうまく作り出しているように感じる。
最初からあったもの、
後付のもの、
修理したもの、
撤去したもの、
いちいちわからないけれど、
頑張って痕跡を探してみると
何となくわかった気になる部分もある。
さっぱりわからん部分も、
少なくはない。
1934年(昭和9年)に『大日本果汁株式会社』の
余市工場が出来てから、さまざまな試練を経て
現在がある。
現在は、アサヒビールのグループ会社となっているようだ。
現代の日本ならいざしらず、
昭和初期の北海道で起業することの
何と大変であったことだろうか。
正直、想像もつかない。
大抵、この手の施設に来ると
時間の許す限り、じっくり見入ってしまう。
何組もの観光客が、
足早に通り過ぎていくのを横目にしつつ。
新旧様々な、雑多な組み合わせの構内。
そして、展示スペース以外は基本的に
現役で稼働しているのである。
配管やら装置類やら構造物やら
後から後から付加されて
現代に必要とされる機能を果たすようになっている。
この鉄骨階段、
ずいぶん急である。
元々は無かったはずの、
配管やらダクトやら電気モノやら
たくさん見ることができる。
蒸溜している建屋もあって、
入口付近から眺めることができたりする。
ふつうに、働いている人たちがいる中、
大勢の観光客が来ては去り、来ては去り。
ウヰスキーのスモーキーフレーバーは
これで付けるらしい。
「お手を触れずに」というのは良く見るが、
「お手に取って」というのは少ないかも。
屋根からの落雪(氷)で
窓ガラスが割れるのを防ぐための、
養生板。
FF式の暖房機か給湯器か、
給排気トップを通気の良い場所まで
伸ばしてきたようである。
この上に雪が積もらないように
ちゃんと傾斜屋根が取り付けられている。
京都・奈良のような古い古〜い歴史ではないけれど
北海道各所にも時代を映す記念となる場所や建物が
多数遺されている。
和人以外の先住諸民族の痕跡も、
そこかしこに遺されている。
これはこれで、
大変興味深いものなのである。
(「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」おわり)