2018年12月11日

後志トンネルの切羽

後志(しりべし)トンネルは、
現在まさに掘り進められている最中だ。


掘削中の先端部分、切羽(きりは)まで行く。

shrbshtnnlnkrh1.JPG

岩盤に穴を開けて、ダイナマイトを詰める。

発破をかける。

発破で出たズリを搬出する。

地山が崩れないように、セメントを吹き付ける。

ロックボルト(鉄筋棒)を打ち込む。


これを繰り返して、
掘り進めていくという。

shrbshtnnlnkrh2.JPG

吹き付けられたセメントの表面に
ロックボルトの赤茶けた色が見て取れるであろう。

shrbshtnnlnkrh3.JPG



今は、いろいろな建機を駆使して施工を進め、
ありとあらゆる安全の手立てを行使して事故を防いでいる。

人力とダイナマイトだけで掘り進めていた時代とは
まったく違うものになっている(当たり前だ)。

建築だって、
大工さんが建物一棟丸々造っていた時代とは
まったく異なっているのだからね。



当然、こういう作業を続けているのだから
粉塵がスゴいことになる。

だから、換気もスゴいものがついているのだ。

shrbshtnnlnkrh4.JPG

右上に見える円筒は、
給気ダクトである。

外気を延々と引っ張ってきて、送り込んでいる。


右横のベルトコンベアは、
ズリを搬出するためのもの。

この写真の段階では、搬出してしまった後の作業だから
動かしていない。



もちろん、給気だけしているわけではなくて
排気用のダクト(と言うには、あまりにも太い)も設けられている。

shrbshtnnlnkrh5.JPG

上部に逆光で黒く見えるヤツが、それである。

当然のことながら、このまま排気するようなことはない。
フィルター装置でしっかり除塵する。



水を送り込んだり、
排水したりするから、
壁面下部には配管が何本か通されているのが
最初の画像に見えるであろう。

電気も使うから、
電源ケーブルも伸ばされている。



ダクトも、配管も、ケーブルも、
トンネルを掘り進めるとともに
どんどん伸ばされていく。



ふつうの建築設備とは違って、
キロメートル単位の長さになる。



まったく、見当もつかないや。

だが、それがイイ。

見に行った甲斐があったというものだ。



切羽では、交替勤務・24時間稼働で作業が進む。

工期も(建築に比べて)長い(気がする)が、
掘削距離も長いのだから、
このくらいで進めないと、発注者の求める工期では収まらなくなるのだから。



だから、施工管理の職員は
抗口近くの現場事務所(と言っても切羽から数キロ離れている)に
寝泊まりしている。

もちろん彼らも交替勤務ではあるが
なかなか気も抜けまい。

各職種の作業員は、
ちょっと離れた街中近くに建てられたプレハブ宿舎で生活するという。

適当な物件があれば、
建物ごと借り上げたりすることもあるようだ。



同じことの繰り返しのようで、
地質がどんどんかわり
切羽の状況も変わってくるので
「全く同じ」というわけでもなくなる。



建設現場は、
土木であろうが建築であろうが
それぞれ特有の困難があって、
それを日々解決しつつ、
施工を進めていかなくてはならない。



モチの絵を描くのにも、
多大な労力とコストはかかるのであるが
食えるモチを実際に作る際にかかる労力・コストは
比べることもできないほどに、莫大なものだ。


あまり一般の人々には知られていないし、
出来上がった暁には利用されるのだけれど
誰の気にも留まらない、
そんなインフラである。




「コンクリートから人へ」

そんなキャッチフレーズが使用された時期があった。



確かに、景気対策や人気取りのための公共工事というものもあって
無駄遣いとしか思えないような事業が取り沙汰されるのも事実であって
ある面では的を射ていると言えるのかもしれない。

けれど、その「コンクリート」によって
人の生活が支えられ、あるいは成り立つ基盤となっている面もまた
存在するのである。



ネット社会のもとでは
とにかくあらゆる事象が「簡潔に」「カンタンに」「短文で」
表現されることが多い。

熟慮の無い、刹那的な言葉が
矢のように飛び交うことも多い。

そういう中で、
すべての事が「善か、悪か」「好きか、嫌いか」「気にいるか、気に入らないか」
というような二元論に収束されてしまうのは、
いかがなものかとワタクシは思うのだ。



現在でも毎年赤字を垂れ流している北海道新幹線を
ひたすらトンネル、橋梁、トンネル、橋梁でつないでいく
高コストで延伸していく事業が
必要なのかどうか?

そういう議論は、大いにしたら良いと思う。

いくら議論したからと言って、
「絶対賛成」の人は必ず居るし、
「断固絶対反対」の人も、やはり居る。

それでも、
考えるための材料をしっかり提示し合いつつ、
議論をすることに意味があるように思う。



新幹線しかり、
原子力発電しかり、
ダム、高速道路、音楽ホール、役場庁舎、
再生可能エネルギー、ILCしかり。



消費税だって、外国人労働者だって、
働き方改革だって、ベーシックインカムだって、そうだ。
技術・工学に限らないのだ。


もっと、
じっくり考えなくちゃね。
まとまらなくったって、いいんだ。
まずは、思い巡らさなくっちゃ。

いろんな事について。


そう思う、今日このごろ。
(「後志トンネルの切羽」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 土木工事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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