普段ほとんど隠れてしまって見えないモノたちも
そのまま見られる。
鉄骨梁やブレースも見られるほか、
普段は壁や天井の中に納められていて
その存在すら知られることのない「せつび」も
ぜんぶ見ることができるのだ。
壁についている、照明器具。
照明器具を取り付けただけでは
明かりはつかない。
電気を流すための電線かケーブルを
電源からずっと引っ張ってきているのである。
それらを納めている『電線管』が露出になっているから
そのルートを追いかけることが可能だ。
直線部分、曲がり部分、分岐部分に
それぞれの材料が使用されているのがわかる。
電線管が壁材や鉄骨に留められているのもわかる。
普段、壁の中や天井の中に入ってしまっているから
「器具」だけが「せつび」だと勘違いされがちだけれども
「つながり」があって初めて「せつび」として成り立つのだということに
気づいていただけるのではないだろうか。
よぉく見ると、
火災報知器の感知器がついていたり、
整備に使用するのであろう、
圧縮空気の細い配管も通してあるのがわかる。
それぞれを鉄骨からどのように支持するか、
ちょっとずつ違ったりする。
もしも、「ケンチク」に関わっていて
「設備は苦手」「設備は嫌い」「設備はわけわからん」と
公言してはばからない方がおられたら、
すこーし、そういう「目」を養うべく
関心を向けてみていただきたい。
「ケンチク」を学んでいる最中の方々ならば
なおさらである。
そんな「せつびの目」で見ると
今まで見えていなかったものが
見えてくるようになるものだ。
気付かなかろうが、
よくわからなかろうが、
必要性があって存在しているものなのだから
それらに気付くことは
きっと益となるはずだ。
一方、「せつび」の人間の場合には
鉄骨のスパン感覚とか、
接合部の位置関係だとか
折板屋根と梁との納まりとか
そういう「コウゾウの目」、
防火区画や避難経路の位置関係や
鉄骨梁と壁、角型鋼管柱と壁との納めや
間口・天井高の空間感覚とか
そういう「イショウの目」
それらを養う機会となる。
解説がつくわけじゃないから
目には映っているけれど見えていないモノを多数残しながらも
ゼロよりは増やしていく機会となるのだ。
そういう発見ができるから、
実際の建物を眺めて回るのは
興味深いのである。
(「車庫の電気設備」おわり)
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