手宮を起点に最初に走ったのは
蒸気機関車である。
この施設では、国鉄時代の気動車や客車のほかに
蒸気機関車も展示・保存されている。
機関車庫、転車台、貯水槽、危険品庫、擁壁を含めて
『重要文化財 旧手宮鉄道施設』として登録されている。
右側の間口3の機関車庫3号は、
明治18年(1885年)完成の、わが国に現存する最古のものであるという。
上の画像左側の間口5の機関車庫1号のうち
右側2間口が明治41年(1908年)完成、
左側3間口は平成8年(1996年)復元の部分であるという。
よく見ると、機関車庫1号と3号とで
レンガの積み方が違っているのに気づく。
3号がフランス積み、
1号がイギリス積みとなっている。
あ、拡大写真が無いや。
申し訳ない。
機関車庫3号の中に、
蒸気機関車が保存されている。
明治28年(1895年)に、
この地で製造されたものだ。
文明開化から30年を経ずして、
外国からの技術支援があったにせよ
この頃にこのようなモノを造った当時の技術屋さんたちの努力と苦労は
いかばかりであっただろう。
塗装は何度も塗り替えて、美観を保っているに違いない。
足回りも、キレイに保たれている。
階段をつけてあって、
乗り込むことが出来るようになっている。
機関車停車中に吐き出す煙を捕集できるように
煙突上部に排気フードが設けられている。
だから、外観を見ての通り
屋根に煙突が立っているのだ。
機関車庫1号の復元増築部分には
動態展示としての蒸気機関車が保管されていて、
日々整備され、運転されている。
日に数回、車庫から出して、
転車台(これも重要文化財だ)で方向転換させ、
客車をつないで構内を走らせている。
運転も整備も、
技術継承はうまく行われているのだろうか。
ここで走らせている「アイアンホース号」は
アメリカ合衆国のH.K.ポーター社において
明治42年(1909年)に製造されたものだという。
各地で活躍した後に小樽市に買い取られて
現在も運転されている。
あちこちの部品は相当入れ替わっているのだろうが
製造後100年以上にわたって運転し続けられているのが
貴重なところである。
決まった運転時間に行きさえすれば
博物館の入館料のみで追加料金無しで乗ることができる。
採算性云々を言うならば、
何かするたびにいちいちカネを取る方式が望ましいのかもしれないが
見学者の立場では「追加なし」は嬉しい。
さまざまな車両を保存・展示してある構内を走り、
末端の転車台で再度向きを変えて戻ってくる。
平成29年(2017年)にはボイラーの安全装置が故障して
長らく修理・運行休止していたようであるが
現在は復活を遂げている。
こういう類のモノには
「また機会があれば」ではなくて「今!」乗っておくに限るであろう。
「また」は、もう来ないかも知れないのだから。
本館の建物は、
車庫に合わせたデザインとなっていることがわかる。
上に乗っかった冷却塔は
なかなか大胆ではあるが。
(「小樽市総合博物館本館の蒸気機関車」おわり)