2018年09月16日

『北海道地震』ではない!

『平成30年北海道胆振東部地震』と命名された
9月6日に発生した地震。

この名称は、発生年と発生場所(都道府県と地域)とを示しているに過ぎない。

『平成7年兵庫県南部地震』や
『平成16年新潟県中越地震』と同じである。


しかし、ニュースのタイトルには「北海道地震」などと
大ククリに省略して表示されているものも見られる。

「北海道大震災」という呼称さえ見られる。

でもそれ、やめたほうがいいんじゃないかな。


震央であり、震度7を記録し、
大規模な土砂災害に見舞われたのは
「胆振(いぶり)東部」なのである。

もちろん、胆振中西部でも日高西部でも
石狩南部に位置する千歳市や札幌市でも
震度6強、震度6弱の揺れに起因する建物被害や
液状化による被害が生じている。
だが、地域的に見ればかなり限定的でもあるのだ。



札幌市東区の、陥没した幹線道路や
札幌市清田区の、傾いた住宅や泥に埋まった道路の映像を見て
札幌市中どこもかしこも凄い被害を生じていると思ってしまうことは
ないだろうか?

「北海道地震」「北海道大震災」などと呼称されると
北海道中が、震災被害で大変な状況に陥っていると
思われはしないだろうか?



「ブラックアウト」と言われ、
北海道全域が停電に見舞われたのは事実である。

しかし、6日未明の停電発生から
その日の夜までに一部回復している

8日までに、震災被害の大きかった地域を除いて
ほぼ復旧している。



停電のため、
各所が混乱した。

空港しかり、鉄道しかり。
自動車交通も、信号が消えて支障を生じた。

物流がストップし
冷凍冷蔵がダメになり
携帯基地局も予備電源が切れ
確かに一時的に大きな混乱を生じた。

(しかし、信号が作動していなくても
 結構うまいこと車は流れるものだ)



停電の解消とともに、
各所の機能が徐々に回復し
元の日常に戻りつつある。

震災被害の少なかった地域では
「長時間続いた停電」に関連した被害(不具合?)が大きかったが
復電とともに被害解消が進んでいるのである。



「北海道地震」とひとくくりにしてしまうと
「停電被害のみ」であった地域の実情が伝わらない。

釧路や知床や稚内では
停電さえ無ければ
地震動そのものによる被害は無い(ごく少ない、と言う方が正確かな?)のだ。

むしろ、台風21号の被害により未だに停電が続いている
関西の一部地区のほうが余程困難な状況に置かれているのである。



直下型の地震であったから、
最大震度は7が記録された。

しかし、マグニチュードは 6.7 である。



東日本大震災の 9.0 と比べたら
ものすごく規模が小さい。
(モーメント・マグニチュードの定義やら何やら細かいことは
 この際省略する)

マグニチュードが 0.2 増えるごとに
地震のエネルギーは2倍になるのだから
東日本と胆振東部とを比べたら
2の11乗のルート2倍も違うのだ!

 (追記)
 これだと、量が良くわかりませんね。
 胆振東部は東日本の約2,900分の1、ということになります。




胆振東部地震の地震情報は
いろんな所で公表されている。

たとえば、Yahoo!天気・災害より引用すると、

2018-09-06 地震情報 - Yahoo 天気・災害.png



震度3や震度4の揺れなんて、
日本全国いたるところで
時々あるではないか?

そんな揺れで甚大な被害が広範囲に波及することは
なかなかないのではないか?



googleマップででも、
日本地図をよく見てほしい。

北海道の寸法や面積を見てほしい。

ここ全域が地震による被害を受けたと思えるだろうか?

そんな被害は、マグニチュード6.7の地震では生じない。
それこそ、東日本大震災(地震の名称は『平成23年東北地方太平洋沖地震』)並の
規模でなければ生じ得ない。



「北海道」と一括りにしてしまうことは、
東京から大阪までを一括りにするのと同じくらい
広域をまとめ過ぎてしまっていることになる。


距離感で言えば、
同じく震度7を記録した熊本地震を
「九州四国中国地震」と呼ぶくらい、

新潟県中越地震を
「関東北陸東海近畿地震」と呼ぶくらい、
まとめ過ぎているのだと感じて欲しいのだ。



地震の影響で、
観光客が激減していると報道されている。

熊本地震の際にも、
九州全域に亘って観光客減があったという。



海外からの観光客であれば
「『日本』で地震!」
という感覚かもしれない。
それはまあ、仕方がないだろう。

ワタクシだって、
外国の事情は良くわからないから。



でも、国内の方々なら、
日本語も通じるわけだし
もうちょっと何とかならないかなぁと
思ってみたりもする。



東日本大震災の時も、
被害状況は地域によりいろいろであった。

地震動、津波、土砂崩れ、地すべり、ダム決壊、
火災、停電、断水、放射能汚染、関連死、その他いろいろ。

複数が同時に襲った地域もあれば、
1つの事象だけ生じた地域もある。

あまりにも多くの犠牲者と、
あまりにも甚大な各所の被害であったから
大括りにして「東日本大震災」と称した。

けれど、地域ごとに、特有の状況があったのである。



北海道胆振東部における地震は、
少なくない犠牲者と軽くない震災被害があったのは事実であるが
その規模と拡がりは、
東日本のそれと比すると小さなものであったということは
認識していただきたい。
(被災した方々を軽く見ようと言うわけではないので誤解なきよう)





というわけで、
電力交通物流が回復してきている今、
北海道観光が狙い目である。

普段は混んでいてゆっくりできない観光地であっても
今ならゆったりと心ゆくまで堪能できよう。

宿も、安くなっているだろう。

行く先々で、歓迎されるであろう。

交通網の現状を把握しておきさえすれば
移動もあまり問題あるまい。



ただし。

余震は続いている。
ある程度揺れることは
お含み置きいただきたい。

いろいろな機関・サイトの
地震情報をチェックすれば、
実は北海道の大部分では有感の余震は
そんなに多くないことが判るであろう。

有感余震がある地域でも、
それは日本のどこででもたまにある地震の域を超えてはいない。

そして、震度6や7の大地震は
日本列島のどこにおいても
いつ起きてもおかしくないということを
肝に銘じざるを得ないこともわかるであろう。




最後に繰り返しておく。

『北海道地震』ではないのだ。

『胆振東部地震』なのだ。
(「『北海道地震』ではない!」おわり)
posted by けろ at 08:00| Comment(0) | 防災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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